断手

断手002

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断手008

1.断手とは

断手(だんしゅ)とは、自由に打ち合う散手の前段階の練習である。

断手を行う時は、あらゆる条件下の推手を想定し、推手を行う時は、あらゆる条件下と制限の無い断手を想定し、互いに利点を追求し欠点を修正し、回帰する。

離隔した相手からの打撃を接触によって邪魔をし、推手にてあらゆる条件に梃子入れの機会を想定した矛盾の力を活用して、瞬時に無条件に接触するや、無条件の中に機会を得て、中心線を守り、同時に中心線を用いて攻める相互練習である。

日本意拳協会では北京意拳研究会の例にならい、危険防止のためにボクシンググローブを用いて練習します。

2.実戦断手の要点理論

簡潔明瞭に説明すれば進撃と迎撃である。

迎撃とは、攻防一対である。

攻防一対とは、距離と時間を短縮すると同時に速度と力量を高める。

タイミングについては、戦機を捕らえる時機と条件である。

つまり推手接触時における点の技術と守中用中の技術により、我の中心を用いて相手の中心バランスを崩壊させた状態であり、攻撃の目標は相手の中心であり、的中させる状態でもある。

実戦歩法により進撃し、相手の外形側面に迂回包囲を形成しつつ、接触においては自分の二の腕に近い肘関節のところを使うべきであり、相手に掛ける時もその部位を取って始めて優位に立つことができる。

関節の曲折を利用して交差する場所を中心感覚を伴う支点にし、足の踏む反作用力を利用して力点とする梃子の原理を使用、実は局部の対立を主して全体的な矛盾力を活用してはじめて攻防一対の発力の機会を得る。

つまり戦機である。

この戦機を通じて断手における全身の法をようやく体現することができる。

断手においても同様、リラックスの中に緊張があり同じように緊張の中にリラックスがある。

断手における外形動作も手は、高く眉を越えない。低く臍を越えない。腕は半円、左手は鼻中の右へ、右手は鼻中の左を越えない、腕は胸につかない、外側に一尺を越えない。両手の変化は、この範囲内にあり、形はリラックス、意は緊張し、全身の関節はいずれも曲がっていて、力は、真っ直ぐになるようにし(形曲力直)、絶対的力は、持ってはならない。また上下中心線が重要である。

3.実戦の歩法

双方が対峙するとき進撃の機会を巡って連続した斜め前方に進路をとる。

左足前の場合、半歩ごと時計回りに回転し相手の側面対峙となる斜面で真っ直ぐ仕掛ける。

右足前の場合、半時計回り左足前と同様に仕掛ける。

応戦する動作のなかで横への移動はとても重要。

進撃も後退も先行的に横方向に移動して相手の外形側に沿って半円包囲の情勢を形成する。

進撃・後退の横方向への変換は、後足からのまたは、前足による半歩づつの調整により発力の機会を得る。

相手がこちらの方向変換に応じて調整を引き起こした時点で、主導権はこちらの手中にある。

進撃し相手の位置を奪う場合、外側面、斜面方向から包囲体勢を足取り調整して元いた相手の位置を奪う。後退して相手の位置を奪う場合、こちらの元の位置を相手に譲ってこちらは調整迂回して、迎撃する。

1歩は、引き金を引く如く距離感を保って発力に備える。

実戦の足取りは、基礎的な摩擦歩の足取りに融通をきかす。

4.断手の重心的中

中心とは、重力に対して抗力が働く様に順逆に働く力となる作用反作用、応力、軸力、弾力等のつり合い力であり物体の合力の中心が重心である。

また逆に働く力は分力である。

これに伴い生体における防衛反応となる感覚統合は自己の中心(重心)を捕らえる。

中心(重心)を捕らえるには、有る力が働けば、必ず反対に働く力が発生するこれらをつり合い力(相対的操作)となる技術(梃子体)を体得して重心的中をさせる。

この重心的中の状態は重力による位置エネルギーであり運動エネルギー「0」保存の状態でもある。

これを捕らえることにより即ち運動エネルギーに転化できる状態である。

対人的つり合い運動で相手の偏りや抵抗から重心の在りかを的中させる。

つり合いとは、バランスを捕る有る力が働くと同時に反対に働く力が発生した相対的中間作用となる均整の状態であり重心の在りかである。

力学的には、位置エネルギーから運動エネルギーへの転化が何時でも発揮できる矛盾の状態である。