発力

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1.発力の動作分析

意拳における各種発力において、最も基本となる動作を紹介する。

中心線感覚をもった六面力を掌握している状態でなければいけない。

一つは、各種動作に対して密接かつ継続的に中心線感覚があるよう終始怠らない。

この感覚が無い状態を不意または無備と言い、相手に対して戦機を与えてしまう。

反対に逆の立場であれば、戦機を獲得することができる。後方へ身体をよりかからせることにより位置エネルギーから運動エネルギーに転化させ慣性の力を得る。

一つは、斜め後方によりかかる時、頭・後ろ側の肩・肘・腰もよりかかると同時に後ろ足の膝・足首は外旋し、足裏は軸となり、摩擦力が発生し、前足は膝が突出して、前足は前方へ滑り出す。つまり滑走する。

一つは、前手にある中心線の見出しは、見送りながらよりかかると同時に、後ろ手に中心線が来るように、見出しと見送りを行い、自然に元のように前手に中心線が来る。この前手と後ろ手の変換の瞬間、間断の無い中心線感覚の維持が最も必要である。

2. 発力の出し方

連続した弾力性を有し、発すれば、すぐに止まる。

連続する弾性のある状態は意拳の特徴である。

まるで、リラックスして、連続的に身体全体で打つ。

卓球のスマッシュの動きのように見えて軽い打撃に見えるが、その拳は重く、効果は大きい、意拳の特徴である。

空打ち発力をいくらやっても、ミットやサンドバッグを叩きつけても、相手の中心及び重心を崩す感覚器官を鍛練しなければ、発力は未発でおわる。

本当の発力は3cmあれば十分である。打てる状態となるためのリーチは、ショートレンジへ、リードタイムはショートタイムへ、即ち距離、時間は短縮される。

これらを中心線感覚により身体を伸縮させ、身体全体をバネのように用いることを練習者は、よく認識されたい。

3.発力の実感について

気づいた人は、当たり前であるが、解らない人は現在、習っている拳法は、意拳ではないかもわかりません。

判断する方法は簡単です。

体から腕が慣性の力で、ミサイルのように飛んで行く感覚を、身を持って体現することができるか、確認することです。

あるいは、腕は釘、体は金槌と例えることができる。

逆に腕自体は打撃した感覚は無く、むしろ放たれた感覚の方が強い。即ち体で打つため、接触と邪魔において、最も接近した状態からも打つことが可能となる。

これらも接触と邪魔の技術の中で矛盾の状態を知り、矛盾の力を発揮することを理解できているかが重要である。

以前から、王岳崢・岳銘の両先生から教えて頂いた要領として、特に放つ瞬間、後頭部にあるうなじと呼ばれる部分が、後方へ向かうと同時に腕自体が、前方へと放たれる。

この瞬間、もちろん三尖相照を合わせ、内三合、外三合の六合を得て、見出しと見送り怠ることなく、中心線感覚によりバランスを追究し獲得すれば、位置エネルギーから運動エネルギーの転化を理解し、慣性の力と矛盾の力によるエネルギー保存の法則を体現することができるのは常識である。

迷っている人は、これらを参考にされたい。

4.発力の重心的中

中心とは、重力に対して抗力が働く様に順逆に働く力となる作用反作用、応力、軸力、弾力等のつり合い力であり物体の合力の中心が重心である。

また逆に働く力は分力である。

これに伴い生体における防衛反応となる感覚統合は自己の中心(重心)を捕らえる。

中心(重心)を捕らえるには、有る力が働けば、必ず反対に働く力が発生するこれらをつり合い力(相対的操作)となる技術(梃子体)を体得して重心的中をさせる。

この重心的中の状態は重力による位置エネルギーであり運動エネルギー「0」保存の状態でもある。

これを捕らえることにより即ち運動エネルギーに転化できる状態である。

動中の静となる全ての動作は動的つり合い運動であり動く中で重心の在りかを的中させる。つり合いとは、バランスを捕る有る力が働くと同時に反対に働く力が発生した相対的中間作用となる均整の状態であり重心の在りかである。力学的には、位置エネルギーから運動エネルギーへの転化が何時でも発揮できる矛盾の状態である。