推手

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推手の要点理論

推手の具体的な要点に絞る。

相手との接触部位は、自分の二の腕に近い肘関節のところを使うべきであり、相手に掛ける時もその部位を取って始めて優位に立つことができる。

関節の曲折を利用して交差する場所を中心感覚を伴う支点にし、足の踏む反作用力を利用して力点とする梃子の原理を使用、実は局部の対立を主して全体的な矛盾力を活用する。

マスターすれば、半分の労力で倍の成果が期待できる

肘は、しっかりと横を維持して支えて巻く力を立てる千変万化に関わらず、全て一定の傾斜度を維持して永遠に両腕は斜面を形成する

この種の訓練を通じて推手における全身の法をようやく体現することができる。

推手においてもリラックスの中に緊張があり同じように緊張の中にリラックスがある。

推手における外形動作も手は、高く眉を越えない。低く臍を越えない。腕は半円、左手は鼻中の右へ、右手は鼻中の左を越えない、腕は胸につかない、外側に一尺を越えない。両手の変化は、この範囲内にあり、形はリラックス、意は緊張し、全身の関節はいずれも曲がっていて、力は、真っ直ぐになるようにし(形曲力直)、絶対的力は、持ってはならない。また上下中心線が重要である。

練習を行う際、不動の動、即ち、静中の動を身体で学ぶ。

活動においては、動中の静を身体で学ぶとともに、身体全体に及ぶ順逆矛盾の争力と空気抵抗等の矛盾の状態を身体全体で掌握する。これら、矛盾の状態を踏まえて、接触と邪魔の対抗練習、推手と断手へ移行する。

推手を行う時は、あらゆる条件下と制限の無い断手を想定し、断手を行う時は、あらゆる条件下の推手を想定し、互いに利点を追求し欠点を修正し、回帰する。

推手において、接触を条件とし、環状に手を回すことへの疑問をいだく練習者は、手を回すことと、局部的な力学を重視しているためであり、あらゆる条件を想定して、全体的な力学による断手を想定していないためである。

これらを随時、接触を条件とし、相互に邪魔する推手と、瞬時に接触して相互に邪魔する断手においても、次の感覚を持って行うことが必要である。

①打ってくる相手に対し、身体を斜面に寄りかからせて、

②片方の手により、中心線を守り(守中)、同時に

③反対側斜面をもう片方の手により、中心線を用いて(用中)、相手の中心線を崩す

この瞬時、順逆の均整を分銅はかりの様に、自然に調整できることで、梃子の原理を活用できる。

接触を条件として、密接かつ継続的に中心線を守り、中心線を用いて(守中用中)、あらゆる条件における機会を想定し、あらゆる方向から梃子入れの機会を追求する相互練習が推手である。

要領として、揺法、旋法による重力波は、いつでも、どこでも、適度なリラックスと緊張を持って、順逆方向における矛盾の力は、力学的に効率よく妨害が起きない。また、心理的にも、邪魔が小さく、体力を存分に活用できる。

中心線感覚により、地面からの反作用を利用して、位置エネルギーから運動エネルギーを脚部からの伸長力を効率的に上体へ伝達するため、身体を操作し、全身くまなく、空気抵抗を感じ、争力を感じ、全ての動作において、矛盾の状態を知り、矛盾の力を知り、ゆっくりの動作から速い動作までの過程で快適なリラックスしている状態を追求する。

このように練習全体においても、アンバランスを制御しながら、相互に順逆の練習を行うことにより補完的に練度向上を図る。

見直すべきところ、まだまだ多くあり尽きることがない。

日頃から我、振り返り回帰することで能力の向上を図ることが重要である。

中心とは、重力に対して抗力が働く様に順逆に働く力となる作用反作用、応力、軸力、弾力等のつり合い力であり物体の合力の中心が重心である。

また逆に働く力は分力である。

これに伴い生体における防衛反応となる感覚統合は自己の中心(重心)を捕らえる。

中心(重心)を捕らえるには、有る力が働けば、必ず反対に働く力が発生するこれらをつり合い力(相対的操作)となる技術(梃子体)を体得して重心的中をさせる。

この重心的中の状態は重力による位置エネルギーであり運動エネルギー「0」保存の状態でもある。

これを捕らえることにより即ち運動エネルギーに転化できる状態である。

動中の静となる全ての動作は動的つり合い運動であり動く中で重心の在りかを的中させる。つり合いとは、バランスを捕る有る力が働くと同時に反対に働く力が発生した相対的中間作用となる均整の状態であり重心の在りかである。

力学的には、位置エネルギーから運動エネルギーへの転化が何時でも発揮できる矛盾の状態である。