抗重力運動

全身の法は、位置エネルギーから運動エネルギーに転化する際、足裏が力点となり起動し、更に機動力を発生させる。

習い始めは、フォームを真似て、手から起こし、手がリラックスすれば、肩から起こし、肩がリラックスすれば、腰から起こし腰がリラックスすれば肩と腰が合い、反方向性転移となる反面操作を起こし、裏股を起こし、裏股がリラックスすれば、足裏から起こし、足裏がリラックスすれば、地面からの反作用により力点を起こすことができる。

手の動きは、手によるものではなく、脳で直接操作するものでもなく、直接操作をすれば、力みが発生し、仮借の力を相手側に与える

その為、体幹を媒体に足裏の力点から操作したものであり、足裏の感覚は、運動神経の概ね3倍であり、この感覚は、体幹の抗重力機構を媒体にして、全身のアンバランスを補正するために三次元的に捉える必要がある。

捉えるには、重力を地面から反作用により頭頂まで伝達する重力線を構成することにより、脳と体幹と足裏を連動させる上下中心線の感覚を体得することが可能となる。

その速さは、全身一致による同時であり、六面に対し均一化して、相手側からの仮借の力によるアンバランスを矛盾の状態として捉え、物理的原則及び弁証 法的原則を体得した全身の法によりバランスを整え矛盾の力を発揮するものである。

練習レベルが向上するにつれ起動は、上手く裏股を操作すれば、上手く足裏を踏みつけ力点として地面からの反作用を捉え重力線が掌握でき、站椿や試力で体得した抗重力機構により、上下中心線を頭頂まで引き上げて、はじめて全身の法を運用することができる。

上手く裏股を使った足裏の踏みつけが力点となり起動する。

即ち、地上の動きが正しければ、その重力は、地面を鏡として例えれば、反作用により、抗重力として大きな力を発揮することができ、相手側の重力も抗重力として、運用することが、可能となる。

練習において、複雑多機にわたる巧妙な裏股と足裏の連動感覚は、大きな成果を秘めているため、練習のさいの秘訣である。

それ故に、力みにより上半身のバランスをとるために足裏を使ってはいけない。

これは居着いた足であり、地に足が着いていないため心理的にも動揺が発生しやすい。

まともでない起動力は、バランスをとるため、意識が上方から下方へ行く、下方修正であるため落ち着かず動揺するのが当たり前である。

足裏は、力点として地面から反作用を受け、重力を活用する起動力の為にあることに注意しなければならない。

まともな起動力は、意識も足裏から上方へ向かい上昇思考も伴う。

地に足がついているとは、地面からの反作用を受けている感覚を言い、踏ん張り居着いていることではない。外形動作に執着して、本質を見極めずナカミを無視してはならない。