站椿

站椿001
【站椿】多面の螺旋とつり合い力.mp4
站椿における重力抗力及び作用反作用.mp4

1.站椿の要点理論

拳の真髄を知りたければ、先ず站椿より始めよ。

意念を統一し、動作を統一し、気力を統一し、身心同時に一致する鍛練方法である。リラックスするが形は崩さず。

自身と局部の対立を主して返答的感覚を求め、中身がない机上の空論の実際よりも、全体的な矛盾力の開発発展が必要である。

主要な根拠を持つ物体を抱くことを調整するにするべきことを求める。

少なくともボールを抱いて一応形成を感じたのち、大木を抱く。

この種の相対的かつ静止的に動かない訓練を通じてようやく全身の法を実現することができる。

リラックスは、怠らないで緊張は、こだわらない。

その為、リラックスの中に緊張があり、同じように緊張の中にリラックスがある。

内部感覚は、変化に富みとらえどころがなく、外形は、静寂である(静中の動)。

手は、高く眉を越えない。低く臍を越えない。腕は半円、左手は鼻中の右へ、右手は鼻中の左を越えない、腕は胸につかない、外側に一尺を越えない。両手の変化は、この範囲内にあり、形はリラックス、意は緊張し、全身の関節はいずれも曲がっていて、力は、真っ直ぐになるようにし(形曲力直)、絶対的力は、持ってはならない。

精神と自我を大きく果てしない大地に一人天に届くほどの巨人になったと想像する同時に意識的に四方八方いずれも自己を中心にしていると想像する。

具体的な意念活動において上下中心線が重要であり頭頂は縄で吊り上げられ同時に股下は縄で引き下げられる。

2.站椿の要点理論 続編

練習時における各種意念活動は、精神安静の状態で行い、段々自分を忘れる境地に入る。

最も良い方法は、自然に託し、思想を随意に活動させ、精神を少し快楽、あるいは気持ちの良い状態に導く。

注意を体の各部分に注ぎ、雑念等を払いのけ、リラックスしているところと緊張しているところを体験し、それら緊張しているところをリラックスへ導く。

総合的にこれらの方法は強制的に雑念を排除するのでなく、自然に雑念を忘れさせる方法である。

そして自分を忘れる境地に到達することが出来る。

内面的には、精神が活発に活動している状態である。

自然に任せて、自分自身が環境の中で静けさを保つ。

そして目で見て見えない、耳で聞いて聞いていない、という自己忘却の境地に入らないといけない。

3.站椿の身体の操法

外部の感覚としては、身体全体を空気が包容し、空気抵抗を感じる。

他に例えれば、まるで適温の水中の中にいて快適でリラックスをしている状態にある。あるいは、水飴のように粘性のある物質の中にある状態である。

内部感覚はイメージによる不安定な物を、両腕と身体全体で包括している。

包括の手段として、上方へ向かう心理的中心線と下方へ向かう重力落下線による中心線感覚により起動と制御を行う。

洋の東西を問わず、東洋の陰陽思想からニュートンの法則まで一貫して共通した事項がある。それは、ある力が働いた時、必ず逆に働く力が同時に発生することである。

意拳では、これを矛盾の状態という。

不動の中でも止まることのない上下、前後、左右に微動する状態が起きる(不動の動)。それに伴い中心線が移動する。その都度、矛盾の状態が発生し中心線感覚により矛盾の力を使って元の位置へ補正する。

例えれば、木を抱き抱え、引き上げ、引き下げ押し出し、引き寄せ、引き裂きなどにより、中心線感覚により起動と制御を行う。やがて自己忘却の境地に向かう。

即ち中心線感覚により何が起きようと全て中心線感覚により自然に起動制御が出来る。つまり外部感覚と内部感覚における矛盾の状態を総括しこれを矛盾の力で補正する。即ち自己を中心に上下、前後、左右に四方八方へ均一にバランスがとれている状態である。

また、これら矛盾の状態は、次々と新しく発生することになるので、これに伴い新たな矛盾の力を掌握することができるように更なる追求が必要となる。

4.站椿の重心的中

中心とは、重力に対して抗力が働く様に順逆に働く力となる作用反作用、応力、軸力、弾力等のつり合い力であり物体の合力の中心が重心である。

また逆に働く力は分力である。

これに伴い生体における防衛反応となる感覚統合は自己の中心(重心)を捕らえる。

中心(重心)を捕らえるには、有る力が働けば、必ず反対に働く力が発生するこれらをつり合い力(相対的操作)となる技術(梃子体)を体得して重心的中をさせる。

この重心的中の状態は重力による位置エネルギーであり運動エネルギー「0」保存の状態でもある。

これを捕らえることにより即ち運動エネルギーに転化できる状態である

体は、静止しているが、終始、矛盾の状態となる対立運動を続け中心(重心)の在りかを獲得している。

【即ち静中の動】である。

矛盾の状態とは、「有る力が働けば、必ず反対に働く力が発生する」この対立状態を体得することで動的動作となる動中の静へと転化することができる。

動中の静となる全ての動作は動的つり合い運動であり動く中で重心の在りかを的中させる。つり合いとは、バランスを捕る有る力が働くと同時に反対に働く力が発生した相対的中間作用となる均整の状態であり重心の在りかである。

力学的には、位置エネルギーから運動エネルギーへの転化が何時でも発揮できる矛盾の状態である。