方針その2

具体的な目標は、下記に記した練度までの段階的な教習を行い体得できた段階までとします。

それ以降については、生涯学習としての自力、自立の段階となり、新たに何を目的とするのか、どの方向に行くのかは、本能的に個人が決める段階となります。

それでは、段階的教習目的と内容を紹介する。

何をもって、実戦と言うのか、よく問題化される。

現在、試合と呼ばれる競技は、実戦ではなく、それぞれの流派の特徴を活かすための独自性ルールの条件内の自由練習であることが前提であり、そのため審判があり、反則があることから決して無条件ではない。実戦的練習の一部であり、読んで字の如く、試し合いである。

実戦とは、無条件下における接触と邪魔により、心理的、力学的または、物理的、科学的に勝敗を決する。

意拳では、接触と邪魔における実戦的練習の一部として、両腕を接触して接触と邪魔の条件の中、環状運動により、身体全体を活用して、360度全周囲から梃子入れができる。つまり絶好の機会を逃さない推手練習がある。

推手練習で得た、360度全周における梃子入れができ、絶好の機会を得る段階から、次に離れた位置から中心線感覚による半歩調整により急停止、急発進、急方向変換を通じて、側面、斜面から介入することで、接触を容易にすることができる。

例えば、紐を互いに結ぶとき交差するだけでは、結ぶこと即ち、真の接触により相手を管理することができない。

管理するには、交差した瞬間、側面、斜面への寄りかかりを繰り返しながら結ぶことができる。即ち、相手を逃がさず、管理するとともに、無条件を追究して、どこに接触しても梃子入れができる絶好の機会を得る。即ち、一触即発の断手練習への抵抗、対人練習へ移行する。

この段階においても、無条件を追究する接触と邪魔の練習は、絶対ではない。

無条件とは、考慮すべきあらゆる条件を想定しても、絶対的はアンバランスを制御することであるため、追究して止まない練習課題で、更なる追究をし、目標と目的は、いつでも、どこでも梃子入れができ、絶好の機会を得て、一触即発の可能性を求める。

これらが意拳の実戦的練習法である。

練習間、常に我の上下中心線感覚を掌握し、相手の上下中心線感覚をも掌握して崩壊させる。

練習における効果的要因

その1

どのように動くとも中心線感覚を終始掌握する。

掌握すれば、全身一致運動を発揮することができる。

その2

どのように動くとも、中心線感覚による三尖相照を終始掌握する。

掌握すれば、全身一致した、強力な発力を発揮することができる。

その3

どのように動くとも、中心線感覚による形曲力直を終始掌握する。

掌握すれば、多面、多方向へと三次元的な融通性のある力を発揮することができる。

その4

どのように動くとも、中心線感覚による側面、斜面への移動を終始掌握する。

掌握すれば、正面から転移が容易となり、戦術の三要素、迂回、包囲、突破を有機的に発揮できる。

その5

どのように動くとも、中心線感覚を活用して、弾力性を終始掌握する。

掌握すれば、連続した弾力性運動が発揮できる。

その6

どのように動くとも、中心線感覚を活用して、寄りかかりからの慣性の力を終始掌握する。

掌握すれば、側面、斜面への融通性を持った転移と併せて連続的に発揮できる。

その7

どのように動くとも、中心線感覚を活用して、寄りかかによる位置エネルギーを運動エネルギーへの転化を終始掌握する。

掌握すれば、効率的な起動と制御を有機的に発揮できる。

その8

どのように動くとも、中心線感覚を活用して、梃子の原理を終始掌握する。

掌握すれば、僅かな力を持って大きな力を有機的に発揮できる。

その9

いつでも、どこでも、動けば、中心線感覚を活用した半歩の運用として、急停止、急発進、急方向変換要領を終始掌握する。

掌握すれば、受動的局面から主導権を獲得することができる。

その10

いつでも、どこでも、中心線感覚による矛盾の力を終始掌握する。

掌握すれば、順逆同時に発生する力、即ち、盾と矛の同時運用として、相手の中心線、重心を崩壊させると同時に発力を行うことができる。

その11

いつでも、どこでも、中心線感覚による体幹の操作、これによる手足の随行を終始掌握する。

掌握すれば、思った瞬間に先行的に主導権を容易に獲得することができる。

その12

いつでも、どこでも、中心線感覚による空気抵抗と争力を掌握する。

掌握すれば、快適性と矛盾の状態を獲得することができる。

その13

どのように動くとも、中心線感覚による相手の中心線感覚の察知と掌握を終始、怠らない。例えば、シャドウボクシングは、対人のイメージと自らのコンビネーションにより、調整を行う。

意拳練習者が行う場合は、自らの中心線感覚を守って、中心線感覚を用いた調整により、対人の中心線感覚獲得の為のイメージ練習を行う。

その14

どのように動くとも、中心線感覚による力の範囲は、左は、鼻中を越えない、右は、鼻中を越えない、上は眉を越えない、下は、臍を越えない、前は、爪先を越えない、後ろは、一尺を下回らない。これらを終始、掌握する。

掌握すれば、交換、転移における間隙を閉塞することができる。即ちピンチをチャンスに転化することができる。

動が、攻守関係なく、相手より先行的に実行でき、主導権を獲得することができる。

その15

揺法、旋法、内旋、外旋による中心線感覚の効果的な起動と制御を終始掌握する。

掌握すれば、相手の中心線バランスを崩壊させる攻防逆転による転移の瞬間であり、最も不利が最も有利となり、ピンチをチャンスに逆転変換できる。具体的には、どのように動くとも、左右の手と足は間断無く、中心線から外さない、また忘れない状態を継続する。

これらの効果的要因を有機的に活用できる補足練習、補強練習などは、指導者の経験及び潜在能力により、独創的であるため、文書にすることは困難である。しかし、的を得た練習は、実践と理論から導かれるので、実習者は、熱意と研究心を持って追究すれば、的を得たものかどうか、本能的に理解することができる。

即ち、我、日々振り返るを実践されたい。