摩擦歩

摩擦歩001

摩擦歩001

摩擦歩002 応用の歩法

摩擦歩002 応用

1.訓練時における摩擦歩の要点

摩擦歩においても、必ず中心線感覚を伴って中心からの起動力と制御力を訓練する。

その独特の移動方法は、横への移動が特徴的な三角歩とも言われ、連続する三角形が目標に向かってジグザグに移動する。

中心線起動により、斜面へ誘導する攻防逆転への転移である。

感覚とてしては、どのように動くとも、中心線を通る精神は頭上を貫き、その中心の落下点、即ち重心はその下にあることを、いつでも、どこでも必ず感覚として自覚していなければならない(動中の静)。

中心線起動により、摩擦歩による半歩移動は、中心線の寄りかかりにより、裏股と膝関節による内旋と外旋が同時に発生する矛盾の力による慣性の力を得て前進後退をする。

例えれば、左足から前進する場合は右後方へ寄りかかり、後ろ足に当たる右足を引き寄せる場合は左前方へ寄りかかる。

また、連続して前足を前に送くる場合、後ろ足と裏股関節の争力によって前足を一足先に送り出すことにより滑り出す。

このように矛盾の状態を知り、矛盾の力で起動制御を行う。

この移動間、足裏の感覚は、非常に繊細である。

熟練者は、スケートのように自由自在に滑走することが可能である。

まるで薄い氷を割らないように、また足の裏に小さな丸太があり、身体全体の矛盾の状態に慎重に併せて転がしながら前進後退による上下相随運動を行う。

これらを、実践性の高い状態に置き換えると、単なる半歩ではなく、内旋と外旋を伴って繊細で小刻みに横への移動も可能である。

その動きは、外部から動くより速く、相手が先んじて動き、我遅れて発しても相手より先に到達する。

また、その動きはまるで相手の状況に併せて時計回りまたは、反時計回りに回転しつつ動くコマに似ているが、相手の中心線を観察しながらも守中用中を発揮する。

また、必要以上に腰を落し行う必要はない。

無理な固定的なやり方は、潜在的能力を劣化させる。

裏股関節と膝の使い方、内旋と外旋が極めて重要となる。

2.実戦の歩法

双方が対峙するとき、進撃の機会を巡って連続した斜め前方に進路をとる。

左足前の場合、半歩ごと時計回りに回転し、相手の側面対峙となる斜面で真っ直ぐ仕掛ける。

右足前の場合、半時計回り左足前と同様に仕掛ける。

応戦する動作のなかで、横への移動はとても重要である。

進撃も後退も先行的に横方向に移動して、相手の外形側に沿って半円包囲の情勢を形成する。

進撃・後退の横方向への変換は、後足からのまたは、前足による半歩づつの調整により発力の機会を得る。

相手がこちらの方向変換に応じて調整を引き起こした時点で、主導権はこちらの手中にある。

進撃し相手の位置を奪う場合、外側面、斜面方向から包囲体勢を足取り調整して元いた相手の位置を奪う。後退して相手の位置を奪う場合、こちらの元の位置を相手に譲ってこちらは調整迂回して、迎撃する。

一歩は、引き金を引く如く距離感を保って発力に備える。

実戦の足取りは、基礎的な摩擦歩の足取りに融通をきかす。

3.摩擦歩の重心的中

中心とは、重力に対して抗力が働く様に順逆に働く力となる作用反作用、応力、軸力、弾力等のつり合い力であり物体の合力の中心が重心である。

また逆に働く力は分力である。

これに伴い生体における防衛反応となる感覚統合は自己の中心(重心)を捕らえる。

中心(重心)を捕らえるには、有る力が働けば、必ず反対に働く力が発生するこれらをつり合い力(相対的操作)となる技術(梃子体)を体得して重心的中をさせる。

この重心的中の状態は重力による位置エネルギーであり運動エネルギー「0」保存の状態でもある。

これを捕らえることにより即ち運動エネルギーに転化できる状態である。

動中の静となる全ての動作は動的つり合い運動であり動く中で重心の在りかを的中させる。つり合いとは、バランスを捕る有る力が働くと同時に反対に働く力が発生した相対的中間作用となる均整の状態であり重心の在りかである。

力学的には、位置エネルギーから運動エネルギーへの転化が何時でも発揮できる矛盾の状態である。