試声

試声001

試声とは、発力における重要な構成部分である。

具体的に言うと一挙に息を飲み込み下腹部に落下させた瞬間その反動で息が漏れる。

例えると井戸に石を落下させると水面に落ちて振動を与えるともに水しぶきを上げ、その音響が帰ってくる

練習のポイントとしては、身体をリラックスさせ、上下中心線感覚を保ち重心落下線に一挙に下腹部に向かって息を飲み横隔膜を降下させた反動により息吹きが自然に漏れる。

この時、手のひらを口元に置き、息吹きがあたらなければ練習は、良好である。

発声は、初期の頃は第1声のイーの音はリラックスして明瞭に長く、その後の第2声のヨッ音は短節に強くする。

要領を把握して行くにつれ第1声と第2声の発声間隔を短くして行く。

更に要領を得て第1声と第2声の間隔は、ほぼ同時に発声する。

更に向上すると発声は無音となる。

身体の行動は横隔膜の降下刺激に対し無意識に反応し振動する。

まるで、とても深い渓谷の中で鐘がなり振動だけが響くようである。

この発声は、各発力動作に併せて、あるいは推手、断手などの各機会に併せて練習をして向上をさせ、その全過程は極めて短く通常は1秒以下で行われる。

発声による外力作用で刺激を与え、全身の弾力性を向上させる。

このようにして発声の感覚により横隔膜筋の受容を刺激することにより、反対方向に働く筋肉の相反性制御つまり脊髄運動細胞を興奮させ相反性の筋肉支配と交叉神経支配は全ての行動に際して交互にバランスをとる。

即ちある力が働いた時必ず逆に働く力が存在する矛盾の状態である。

これらの発声による反射訓練の効果を図るにはリラックスの状態から刺激を与えることが重要である。

更に最良のリラックスを追求すると発声による反射は、中心線感覚を伴った起動と制御により矛盾の状態から矛盾の力を発揮することができる要因である。

中心とは、重力に対して抗力が働く様に順逆に働く力となる作用反作用、応力、軸力、弾力等のつり合い力であり物体の合力の中心が重心である。

また逆に働く力は分力である。

これに伴い生体における防衛反応となる感覚統合は自己の中心(重心)を捕らえる。

中心(重心)を捕らえるには、有る力が働けば、必ず反対に働く力が発生するこれらをつり合い力(相対的操作)となる技術(梃子体)を体得して重心的中をさせる。

この重心的中の状態は重力による位置エネルギーであり運動エネルギー「0」保存の状態でもある。

これを捕らえることにより即ち運動エネルギーに転化できる状態である。

動中の静となる全ての動作は動的つり合い運動であり動く中で重心の在りかを的中させる。つり合いとは、バランスを捕る有る力が働くと同時に反対に働く力が発生した相対的中間作用となる均整の状態であり重心の在りかである。

力学的には、位置エネルギーから運動エネルギーへの転化が何時でも発揮できる矛盾の状態である。