三行半3:団塊世代からの『安倍自民党政権への三行半』 2015.3.31
~税金を自らを含む既得権益層のために使う自民党(世襲議員党)への離縁状~
行動指針① 今後の国政選挙、統一地方選では、憲法無視、原発再稼働・辺野古移設
など民意を無視する*世襲議員党の“自民党”ならびに異様な安倍総裁を選
んだ“自民党議員”には投票しない。
*内閣府発表の世論調査結果(2015.3.21):69.4%が政策に民意が「反映されていない」と回答。「反映されている」は少なく、27.6%。
<政党&候補者投票基準>
・憲法(国民主権、平和主義、基本的人権)の堅持。
・特定秘密保護法の廃案、武器輸出三原則の復活。
・税金の無駄遣い撲滅と議員定数削減の敢行、そして原発ゼロ推進。
・格差拡大阻止、官富民貧の官僚支配・傀儡政権体制の改革(道州制導入)。
行動指針② 参議院を良識の府にするための無報酬党(非職業議員団)“団塊党”の結
成。
前号『自公政権への三行半』で、“国民の命と生活を守る”のが使命といいながら、“国民の命を守る”どころか国家権力を縛る立憲主義への無知から憲法解釈を勝手 に行い、世界中の人びとが認める平和国家日本を、戦争ができる並の国家に変えようとする好戦的世襲議員党の安倍政権への離縁状を突きつけた。この『安倍自民党政権への三行半』では、“国民の生活を守る”どころか、大企業・富裕層優先の政策で国民の生活を破壊する安倍政権の実態を明らかにし、離縁状を突きつける。
経済の好循環とは、規制緩和を含む新たな産業創出でGDPの60%を占める個人消費(需要)を刺激し、企業投資と雇用創出(供給)、すなわち需要を喚起し供給を促す持続性のある景気循環だと思うのだが、金融政策主体のアベノミクスには、実体経済を好転させるための第三の矢・成長戦略は無きに等しく、TPP反対組織(農協)のビジョン無き解体と反社会的な武器・原発の輸出しか見えない。残るは、カジノ解禁と天下の愚策、一時的な消費喚起策で財政悪化をもたらす商品券のバラマキだけとなった。
アベノミクスは景気の好循環をもたらしていない
景気が良くなるとインフレになるがインフレになれば景気がよくなるとは限らないのにデフレ脱却と称して、景気低迷の中で、2%の物価上昇目標を設定(昨年12月実績2.5%。2%が消費増税分で残りは輸入物価上昇と、デフレ脱却にはほど遠い)という疑問符付政策によって、国民の不可分所得は低下(対前年比実質3.2%減少/2014.2.17総務省)した。景気回復を感じない人が8割にも及んでおり(読売新聞2015年2月調査)、本年3月21日発表の内閣府の「社会意識に関する世論調査」結果でも、景気は「悪い方に向かっている」と思う人が昨年の1月の19%から30.3%に増え、「良い方に向かっている」が22%から10.4%に減少。アベノミクスは、安倍のリスクになってきている。
その批判をかわすために、政府は、円安・株高*によって利益が出た大企業に賃上げ圧力(官製春闘)をかけている。しかし、恒常的なコスト増になる賃上げは、アベノミクスで潤った一部大手企業では膨らむ内部留保批判を避けるために応える(大企業連動の公務員給与も上がる)だろうが、四割を超える非正規雇用者や就業人口の70%以上を占める中小企業労働者の給与アップは期待できず、景気の牽引役となる個人消費を促すことはつながらないだろうし、持続的な成長戦略無きその場限りの金融政策下では、国債購入のお金は日銀の金庫に眠り、円安・株高による企業利益も投資には向かわず内部留保に回るだけで、実体経済の成長には寄与せず、個人消費の低迷と合わせ日本経済の将来に明るさは望めないだろう。
*伊藤光晴京都大学名誉教授は、大幅な金融緩和や財政出動が円安や株高につな
がったのではなく別の要因によるとし、安倍・黒田は何もしておらず、この間違った
経済政策が問題を起こすという。詳しくは、2013.8の岩波書店『世界』参照。
アベノミクスのこの道は、強者富豪・弱者貧民への道
安倍政権は、国民の犠牲(消費増税、社会保障削減)で生まれたお金を、①議員 報酬や国家公務員の冬のボーナスアップ(前年比21%、国会議員は25%アップ)に配り、さらに、②国民から300億円以上の政党交付金を徴収した上に、税金を補助金という形で企業に流し、企業から与党議員に献金させる。そして、③消費増税と円安による物価上昇で苦しむ国民に25年間の復興税を課す一方、法人には、復興税(法人税への10%上乗せ分)をたった2年間で13年度に廃止し、④社会保障費負担を考慮すると実質アメリカやドイツ、フランスよりかなり低い法人税を減税する。そしてこれらによってもたらされて利益を政治献金として自民党に還元させる。
安倍政権のこの道は、国会議員定数削減などの身を切る改革を表舞台から葬りつつ、消費増税分以上の財政出動や税金の無駄遣いを放置したまま、国民の税金を国会議員と公務員に配り、大企業優先政策に使い、自民党への還流させる我利我利亡者の道なのだ。
日本は、安倍政権によって世界一の貧困率国家になる
弱者の現状を見てみると、中小企業家同友会(全国4万人以上の会員)の景況調査(昨年10-12月期)は、景気は7-9月期より悪化し、アベノミクス不況下にあると報告(円安が主因)。生の声として「今の政府は大企業偏重の政策ばかりで中小企業を低く見ている」「地方の倒産が昨年度より増加している現状を政府はどう考えているのか?口先だけで国民を愚弄(ぐろう)している感じを受ける。格差だけが大きくなっていく政策に対し、憤りをおぼえる」「人口減少、円安、高齢化で景気が良くなるはずはもとからない。アベノミクスは幻影にすぎない。日本は別の道を探すべき」などが上がっている。
政府の主要な役目の一つは弱者を強者から守ることなのだが、安倍自公政権と官僚、御用学者は真逆の政策(強者優先→格差拡大政策)を進めており、小泉政権が04年に経済界の要請を受け、派遣法改正(専門職限定を製造業まで拡大)で始まった格差拡大路線によって、派遣・パートなど低賃金の非正規労働者が増え続け(労働者の約40%に迫る)、働く若い世代の3割が年収二百万円以下で、年収200万円以下の働き手が1100万人を超え、住民税が非課税となる低所得世帯の人が2400万人になった(2013年)。相対的貧困率(等価可処分所得の中央値の半分の額(2012年は122万円)に満たない世帯の割合)は年々悪化し、OECD加盟国30ヶ国中メキシコ、トルコ、アメリカに次ぐ4位(2014年7月厚生労働省)と、主要先進国では2位の貧困国なのだ。安倍政権下では早晩アメリカを抜き去りトップに躍り出るに違いない。
先日、部活を終えた高校生6人とラーメン屋さんで遭遇した。一人が注文もせずに店を出ていった。仲間の一人が「あいつは金がないのでいいんだよ」と言う。まさに子供の6人に一人が貧困という実態を目の当たりにしたのだが、このようなことが子供の世界で当たり前になってきている。これは、人間が人間らしく生きられる環境を整えるために存在する行政の怠慢と無能――格差拡大の放置、富の再配分を考えない――にあり、貧困問題を放置する政治家、それを許す大人(有権者)の責任は重い。
以上の如く、当初唱えていたトリクルダウン(富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる)が、国家予算(税金)を大企業と自らを含む富裕層のために使うための隠れ蓑なのだ。
国民は、トリクルダウン(お零(こぼ)れ)に騙されている
“政治は弱い立場の人間に最初に手を指しのべるべき”という基本とは真逆の富める者を先行させるトリクルダウンは、過去にアメリカのレーガノミクスを始め、サッチャリズムのイギリス、フランスで富める者をさらに裕福にし、貧富の格差拡大をもたらすだけで終わったのだが、日本でも前述したように貧困率増加と格差拡大の結果をもたらしており、トリクルダウンは強者の論理で、富のヒエラルキーの上層に位置する人々が、自分たちの恵まれた境遇を正当化する国民を騙すレトリックだということが明らかになった。そして、御用学者は黙り、安倍首相も最近、批判を避けるために当初の発言を覆し、「アベノミクスは、トリクルダウンをねらっているのではない」と言いだした。
ではどうするのか。安倍政権は「この道しかない」と、この道しか考えられない脳死状態にある。トリクルダウンは、たとえあったとしても言葉どおり滴(したた)り落ちるだけで、歴史とデータが示す通り格差の拡大は間違いなく進む。それは円安で最高益をだした大手自動車会社が昨年、高額の役員報酬を1.5倍と50%もアップし、従業員には物価上昇率以下の数%の給与アップ(すなわち格差拡大)で誤魔化していることからもわかる。トリクルダウンは、富裕層の繁栄からしたたり落ちるお零(こぼ)れを一部の大企業の従業員がご相伴にあずかるだけで、30%の大企業と公務員 対 非正規労働者と70%の中小企業従業員との格差拡大が進むに違いない。国民は、いつ安倍内閣と御用学者の企みに気づくのだろうか。
アベノミクスは戦争幇(ほう)助の経済政策でもある
円安で過去最高の利益を上げた大手自動車会社が2013年には前年比25%増の6440万円(1位)の政治献金をした。自動車会社が集団的自衛権行使に前のめりの安倍政権を資金援助することは、フォードがあのナチスを資金援助したこととダブる。また、2014年4月の閣議決定で「平和憲法上重要な政策である武器輸出三原則」を止めて、武器輸出を可能にした結果、日本一の軍需企業が前年比3倍もの政治献金をしており、紛争を画策するるアメリカ型の軍産複合体化が進んでいる。これは日本の経済政策が戦争幇助(ほうじょ)システムになりつつあることを示している。
世界の最重要課題は貧困問題。格差拡大の抑制(富の再配分)が急務なのに・・・
世界の貧困問題に取り組む団体オックスファムが、格差是正のために、①累進的な課税の強化②富裕者の富を政治的に利用しない③税金を保健医療など社会保障に使う、などを提案。①は、話題の経済書『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティ氏も提唱しており、彼は、日本は富の再配分が低く貧困率は大きいとし、貧富の拡大・固定化がもたらす社会崩壊の危機を避けるために、低・中所得者には所得税の減税、過去20年間で実質的に下がってきている富裕層への累進課税と資産への増税が必要(膨大な資産なので、ほんの僅かの率でも低所得層への影響は大きい)と言っている。
立花隆の『天皇と東大 下』によると、大正から昭和初期の政治家は「社会がかかえる諸矛盾をえぐり出し、(中略)ラディカルな革命による国家の改造が必要だとする根本的な視点はどちらの党派(右翼と左翼)も持っていて、資本家、大地主に集中しすぎた富の偏在を諸悪の根源と見ていて、社会制度、経済制度を抜本的に改変して、社会的平等性、公平性を回復することを目指していた」とある。昔の政治家は、人間のための経済学を説いた宇沢弘文さんの言う「格差拡大はやがて社会の衰退を招く」が理解できていて、社会全体を考えていて超党派の動きをとった。ところが現代の国会議員の質の低下はあまりに酷く、富の再配分には目もくれず、雀の涙のトリクルダウンで国民を騙し既得権益層を優遇する政策をとり続ける。安倍政権のこの道では、国民の生活は守れないのは明らかだ。
企業内の所得格差においても、欧米に倣(なら)い所得格差が急激拡大してきており、過度な企業内競争が進み、企業目標を仲間とともに達成しようという気持ち、連帯意識が薄れ、企業が息苦しい組織となってきている。良い企業は人を育て、企業人の人間性が高まれば、社会は良い方に向かうに違いないのだが、人生の大半の時間を過ごす企業が息苦しい組織になれば社会も生きづらくなるに違いない。
際限のない欲が人間性喪失と倫理観欠如を加速させる。人間性を維持するためにも、また協調共生社会を維持する上でも、累進課税と同時に所得格差についても、向上心を削ぐことのない範囲で制限する必要があると思う。スイスで、2013年11月24日、企業経営者の報酬について、その会社で最も賃金の低い従業員の12倍を上限と定める提案「1:12イニシチアブ(最も低い人の月収の12倍)」の是非を問う国民投票が実施された。30~40%の支持は得たが否決されたが、それは平均的社員の約150倍から12倍にするという大幅減少が非現実的だったからだと思う。いずれにしても、自分だけが良ければ良いという連帯感欠如の競争社会を協調共生社会にするために何らかの制限が必要だと思う。因みに、米国では、大手の最高経営責任者(CEO)は平均的社員の300倍以上で、こうなる前に手を打つべきなのだろう。
「富の制限や累進課税を強化すると、優秀な人材が国外に逃げ日本の経済は回らなくなる」という意見があるが、2012年初のアメリカの研究者が行った調査結果「社会的地位の高い『勝ち組』ほどルールを守らず、反倫理的に振る舞う」が示すように、大企業の幹部、俗にいう優秀な人間は、守銭奴、倫理観欠如人間、の可能性が高く(それは、東電幹部やみずほ銀行の頭取の倫理観欠如の言動からも日本にも当てはまるのだが)、現代社会を牛耳っているこれら拝金主義・反倫理的政官財の人たちが国外に逃げてくれれば、高い社会性と倫理観故に煙たがられて排除された能力ある真のリーダー復活につながり、日本社会がより善い社会に転換する特効薬になると思う。
格差是正提案の②富裕層の富を政治的に利用しないは、一握りの富裕層が社会、経済、政治に対して不当な影響力を行使することで、所得格差がさらなる不公平を生みださないための提案なのだが、安倍政権下で経団連が政治献金を復活させており、この提案とは真逆の方向(国民主権から経団連主権)に進んでいる。
サッチャー元英国首相(在任1979~1990)が「日本の政治家は三流、経営者は一流」と言ったが、いま日本は、「政治家も経営者も三流以下に成り下がった」ようだ。経団連は、大惨事を招いた原発事故を顧みず再稼働を政府に要請。日本の政官財が福島原発の大惨事に目を瞑(つぶ)る一方、原発全廃を決めたドイツ政府やアメリカ国民が福島の惨事から学ぶ。これだけを見ても非常識な人間がこの国を牛耳っているのは明らかだ。さらに経団連は、人件費抑制のための派遣法改正や武器輸出を政府に要請しており、金で反社会的政策を買う大企業連合になり下がったようだ。企業は健全な社会で生かされているということを忘れた経営者の何と増えたことか。自社の利益第一で社会的使命を忘れてしまっている。平和憲法の下で戦後の日本の復興を引っ張っていった倫理観の高い起業家たちが草葉の陰で泣いているに違いない。
提案③の税金を保健医療など社会保障に使うについても、安倍政権は、消費増税分は全て社会保障の充実に使うと言いながら、社会保障の充実には1割しかまわさず、国防費増強や公共事業費に回わし、しかも国会議員の定数削減や税金の無駄遣いをやめる気持ちはゼロに等しい。アベノミクスはギャンブル経済とも言え、政権維持のために株高に向けて年金(公的資金積立金)の株式運用比率をアメリカ以上にし、さらにNISA(小額投資非課税制度)で国民を株式投資に向かわせ、留めにカジノ解禁で刹那的金儲けのゲームに国民を駆り立てようとしている。国民を「今だけ、カネだけ、自分だけ」の3だけ主義に向かわせ、政治家にとって都合のよい考えない人間の大量生産化を狙っているようだ。
武力(集団的自衛権行使や武器輸出)ではなく、平和的産業で世界貢献を!
本来なら、人間が人間らしく生きられる環境を整えるために税金を、まず弱者の生活を守るために優先的かつ重点的に使い、そのうえで持続性のある経済基盤をつくるべきで、持続性のある日本らしい産業として再生エネルギーと観光業に力を入れるべきなのだが、その動き十分とはいえない。原発村の利権維持(国民から電気料の吸い上げ→政権・通産官僚による地域独占電力企業・開発企業・出資銀行の保護→その返礼としての官僚の天下り先保障と政権与党への献金)を止め、多くの企業が参入でき地域を含む雇用創出につながる再生エネルギー新産業への転換を図り、多様で豊富な自然エネルギー源を活かし世界に貢献できる再生エネルギー技術立国を目指すべきだ。次世代のために日本の未来を考えるなら、原発再稼働で国民の命と国土を破壊する政権を葬らなければならない。そして、観光産業だが、日本の外国人観光客数と観光収入は、おのおの世界で27位と20位で、観光客数はタイやマレーシアの半分以下、香港、マカオという小さな国以下で、その伸び代は大きい(現在はGDPの2~3%で、世界平均は9%)。消化不良の公共事業への投資を観光に回し強力に推進すれば、景気づけ、雇用創出、地域活性化に加え、幼稚な安倍外交のサポート(民間外交促進)になるだろう。
戦後最低最悪の政権が何故50%以上の支持を得ているのか―狡猾安倍政権の手口
社会の問題を解決するための政治が、逆に格差拡大や憲法を無視して戦争のできる国にしようとする(前号三行半(みくだりはん)2参照)など重大な反社会的問題を引き起こす。このような政権を何故国民は支持するのか、その先にどんな社会が来るのか、について考えてみる。
大勢の貧しい者たちは、格差拡大・分断社会をもたらす統治者たちを敵と感じず、選挙には行かなくなる。そうした心理をもたらすのは、『ポスト・デモクラシー』(2007年)によると、「一つは諦(あきら)めだが、もう一つは、『分割して統治せよ』という鉄則を政治階級が守っているということである。(中略)この鉄則は、不安定な生活や貧困に喘(あえ)いでいる人間同士の中に、境界線を引き、それらを互いに反目させれば、エリートは安泰ということになる。高齢者と現役世代の間に線を引き、現役世代が搾取されている、高齢者は恵まれているというキャンペーンを張るのも一つの例である。あるいは、同じく低賃金でこき使われていても、正社員と非正規労働者の間に線を引き、パートタイマーやアルバイトに向かって、正社員こそ恵まれているというキャンペーンを張るのも一つの例である」とある。いま日本は、まさにこの状態にあり、安倍内閣の支持率50%超は、国民が、安倍政権の術中「社会を分断させ、権力者への批判を反らす」にまんまと嵌(はま)ってしまった結果といえる。昨年末の衆議院選挙でも既に法律で決まっていた消費増税延期を争点化して、700億円もの税金を使って政権延命選挙を決行したが、国民は、美辞麗句の背後に潜んでいる危険思想――政権延命で戦争のできる国に変える――を見抜けず、安倍政権が見做(みな)す“日本国民は愚民”どおりの選挙結果をもたらした。
日本は、日本の特徴とする調和、インフォーマル社会、コミュニティ、家族を大切にする協調共生の社会を目指すべきだが、安倍政権下で信頼感は30%とOECDの中で一番低い社会になり、調和ではなく他人との競争に勝たなければ生きていけない社会になった。日本社会は、大企業とそれに準じた給与水準の公務員たち富める者 v.s その他大勢の貧民、が進み、富める者と貧しい者との境が鮮明化し、寒々しい分断社会に向かっている。
国民の奮起を期し、改めて安倍政権へ三行半(離縁状)を突きつける
「国民の命と生活を守る」のが私の使命と言う安倍首相は、言葉の意味を解さない平気でウソのつける人間で、世界から今世紀最大の悪法と言われた特定秘密保護法(意訳者不明だが、これは国民皆監視法、為政者隠蔽保護法)で国民を監視しつつ秘密裏に国の基軸である憲法9条を集団的自衛権行使で壊し、国民を他国の戦争に送ろうとしている。生活面でも、貧富の格差拡大・固定化政策を進めており、生活に困窮する若者を戦場に送るというナチに酷似した政治を行なっている。
ナチという全体主義と対決した政治哲学者ハンナ・アーレントは、「全体主義は、人間の存在を許さない。人間の多様性を認めず、一色に染める。人それぞれ幸せの価値観は異なるが、それを認めない。リーダーが強力な権力を持つと一つの価値観で染めようとする。それに従わない者を排除する。(中略)異論を聞かないばかりか、権力で異論を排除することで全体主義化が進む」という。まさに安倍政権の政治そのもので、目指している方向を言い表している。さらに、「こういう人物に権力を持たせたら国家は破滅する」とも言う。日本は今、こういう人物に権力を持たせてしまったのだ。
権力者の意見への疑問・批判的思考力は民主主義の進化に欠かせないのだが、主権者である国民が、国の最高の法である憲法を蔑(ないがし)ろにし、国民の命と生活を壊す非常識な独裁的政権にレッドカードを示せず、国民主権を他人任せにし、棄権する。大多数の国民を不幸にする政権の暴走を止められないのは、仲間の不幸阻止に権利を行使しない怠慢なる国民にあるのではないだろうか。ハンナ・アーレントは「思考を放棄した凡庸な人こそが、ホロコーストに代表される二十世紀の悪を生み出した元凶」と看破していたが、ヒットラーの感想「国民が考えないということは権力者にとって何と幸運なことだろう!」状態が今の日本だと思う。
安倍首相の最大の問題点は、倫理観欠如、そして国民主権の民主主義、憲法が権力を縛るという立憲主義など基本の無理解と本音を隠すために議論を避けて異論を排除し、独裁的政治を行うことである。そしてその狙いは、自分の狂信的信念(軍事大国で存在感を示したい)を果すために、日本を政権の意のままに動く全体主義国家にすることなのだ。
国民の命と生活を奪うこの安倍総裁を選んだ責任は、自民党に騙され続けている有権者と地方議員を含む自民党議員にある。今後のあらゆる選挙を通じて、次世代のためにも、国民のお金(税金)と命を自分の持ち物のように身勝手に扱う異常な安倍政権へ、政権が見做(みな)す愚民からの三行半――棄権を止め、政権与党の対抗馬に投票=独裁政治阻止の離縁状――を突きつけよう。
(補足)安倍世襲議員政治の本質 ……普通の人間なら国のトップが“国民の命と生活を守る”という限り、多少約束を違(たが)えたとしても、真逆のことをやるわけがないだろうと思うに違いない。なのに、なぜ安倍首相は、狂信的で異常な言動を臆せず繰り返すことができるのかをスペインの哲学者オルテガの『大衆の反逆』を援用し、解明を試みた。
(意志道 一味)