◎情報システム戦略の意義と目的
・業務の現状を正しく把握して経営戦略の実現のために最適な情報システムを導入する
ことが重要。
・情報システム戦略が経営戦略と整合的に実現されているかどうかを継続的に評価する
ことが重要。
○IT投資効果
事前評価
・投資目的に基づいた効果目標を設定し,実施可否判断に必要な情報を上位マネジメントに提供する。
中間評価
・事前に設定した効果目標の達成状況を評価し,必要に応じて目標を達成するための改善策を検討する。
・実施計画と実績との差異及び原因を詳細に分析し,投資額や効果目標の変更が必要かどうかを判断する。
事後評価
・投資効果の実現時期と評価に必要なデータ収集方法を事前に計画し,その時期に合わせて評価を行う。
◎全体最適化
●全体最適化方針
情報システムに対するニーズは部門や利用者ごとに異なることが多い。そのため、個
別にシステム化を行っていくと、組織全体としては効率や整合性の悪いシステムにな
ってしまう。また、情報システムの人員にも限りがあるので、個別のシステムそれぞ
れに対応することには限界がある。そのため、システム化については、全体最適化目
標を設定し、全体システム化計画により組織全体で考慮していくことが重要となる。
●全体最適化計画
全体最適化方針に基づき、全体最適化計画を策定する。全体最適化計画は、より具体
的な計画で、システム構築・運用のための標準化方針及び品質方針を策定し、これを
もとにシステム管理基準を作成する。
→個別開発計画の優先順位付け、そのルールを明確化
◎情報化推進体制、情報化投資計画
システム開発では多くの費用と時間がかかる。そのため費用対効果を考慮して、情報化
投資方針に基づき情報化投資計画を策定することが重要となる。
◎モデル
●ビジネスモデル
ビジネスとしての本来の仕組みを抽象的に定義したもの。
●業務モデル
企業が行っている業務の仕組みを抽象的に定義したもの。
●情報システムモデル
ITを使用した業務の仕組みを抽象的に定義したもの。
※ザックマンモデル
EAの基礎となっているフレームワーク。
5種類の視点と5W1Hの側面から分析・記述。
※データモデル
対象業務を情報システムやDBMSにおける抽象的な形式としてモデル化したもの。
◎エンタープライズアーキテクチャ(EA)
●EA(Enterprise Architecture)
企業や政府機関・自治体などの組織を包括的かつ体系的に記述することによって、組
織のあらゆる構成要素を階層化して整理し、経営の効率化を図る方法、またはそのよ
うな組織構造を実現するための基本理念。
最初に現状を分析した現状モデル(As-Is)を整理し、目標とする理想モデル(To-Be)を描き、
最後に現状と理想目標を比較した現実的な次期モデルを作成。
○政策・業務体系(BA:Business Architecture)
政策・業務の内容、実施主体、業務フローなどの姿を体系的に示したもの。
○データ体系(DA:Data Architecture)
各業務・システムにおいて利用される情報(システム上のデータなど)の内容、各
情報間の関連性を体系的に示したもの。
※機能情報関連図(DFD)
業務・システムの機能と情報の流れを明確にする。
○適用処理体系(AA:Application Architecture)
業務処理に用いられる情報システムの形態を体系的に示したもの。
○技術体系(TA:Technology Architecture)
実際にシステムを構築する際に利用する諸々の技術的構成要素(ハード、ソフト、
ネットワーク)を体系的に示したもの。
◎プログラムマネジメント
●プログラム
複数のプロジェクトがお互いに連携して成り立っている作業・事業のこと。
●PMO(Program Management Office)
組織全体の複数のプロジェクトやプログラムを俯瞰して経営戦略に基づきマネジメン
トするための組織。
◎フレームワーク
●プロセスフレームワーク
○SLCP(Software Life Cycle Processes)
ソフトウェアの企画段階から開発,運用にわたる全工程のライフサイクルをモデル
化しその枠組みを定めたISOの基準。
○SLCP-JCF(Japan Common Frame)2007
SLCPドキュメントを元に日本国内の事情に合わせて検討しまとめたもの。
共通フレームと呼ばれている、ソフトウェアの作成から廃棄までのライフサイクル
の作業内容を定義。システム開発取引共通フレーム。
●コントロールフレームワーク
○COBIT(Control Objective for Information and related Tecnology)
ITガバナンスの成熟度を測るための、国際的なフレームワーク。
●品質統制(品質統制フレームワーク)
情報システムにかかる標準に対する準拠性を確保し,継続的な遵守状況をモニタリン
グし,情報システムの品質を確保するための組織,体制,一連の活動。
◎評価とマネジメント
●情報システム戦略評価
情報システム戦略の実施状況を評価する。
●情報システム戦略実行マネジメント
情報システム戦略の実施状況をモニタリングし、管理するための活動を行う。
●IT投資マネジメント
○ITIM(IT Investment Management)
IT関連にかける費用を有効に使うための手法。近年は全社的観点からIT投資を行う
必要があり、より効果的なIT投資が求められる。
●IT経営力指標
経済産業省が作成した、経営者が取り組むべき事項をまとめた「ITの戦略的導入のた
めの行動指針」をベースに、その達成度合いを4つのステージに分けた、企業のIT活
用度合いを客観的に測るための指標のこと。
◎BPR(Business Process Reengineering)
業務の本来の目的に向かって、既存の組織や制度を抜本的に見直し、プロセスの視点で
職務、業務フロー、管理機構、情報システムをデザインし直す(リエンジニアリング)
考え方。
◎BPMS(Business Process Management System)
企業戦略を効果的に実現するために全体最適指向で継続的にビジネスプロセスを改善す
ることであり、EAはBPMを効果的に実現するためのツールとして位置づけられる。
◎BPO(Business Process Outsourcing)
企業活動における業務プロセスの一部を一括して専門業者に外部委託すること。
◎オフショア (オフショアリング)
コスト削減などを目的に、企業が自社業務の一部や全部を海外に委託・移管すること。
◎SFA(Sales Force Automation)
パソコンや携帯電話、PDA等の最新の情報・通信機器を活用して、営業生産性を向上さ
せる営業支援ツール。
◎ソリューションビジネス
情報技術の急激な進歩や経営を取り巻く環境が短時間で変化・複雑化したため、企業が
経営課題を解決するための情報システムを自社で開発することができない場合に、業務
システム提案を行い、対応する情報システムを提供するビジネス。
●システムインテグレーション(SI)
ある事業者が顧客の要求するシステムをあらかじめ定められた期間に、あらかじめ定
められた価格で事業者の責任の元に提供し、顧客と合意した検収条件を満たした場合
に契約が終了するビジネス形態。
(情報サービスに限らず、建設業のゼネコンの提供サービスなども該当する。)
○SIのねらい
・業務改善による収益性の向上
・顧客に対するサービスの向上
・部門間での情報の共有化による業務改革
○SI事業者の役割
・高度な技術を持つ専門家集団
・ユーザが希望するシステムの実現
・情報システムの構築・運用・保守
・情報システムのコスト抑制
○ターンキー方式
システムを一括受注して開発し、すぐに動作可能な状態の完成システムを提供する
方式。
◎ソリューションサービスの種類
●ASP(Application Service Provider)
インターネットを利用してアプリケーションソフトウェアをユーザーに提供するサー
ビス。単一のユーザーが自分のためのアプリケーションを提供されるシングルテナン
ト型のサービス。ユーザーは利用した分だけの使用料を払う。バージョンアップなど
のアプリケーションの管理をする必要がなくなる。
●SOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)
ソフトウェアの機能や部品を組み合わせ別の独立したサービスとしてシステムを構築
する手法。
●クラウドコンピューティング
○SaaS(Software as a Service)
インターネットを利用して、ソフトウェアの必要な機能だけを提供するサービス。
○PaaS(Platform as a Service)
アプリケーションソフトが稼動するためのハードウェアやOSなどの基盤(プラッ
トフォーム)一式を、インターネット上のサービスとして遠隔から利用できるよう
にしたもの。
○IaaS(Infrastructure as a Service)
情報システムの稼動に必要な機材や回線などの基盤(インフラ)を、インターネッ
ト上のサービスとして遠隔から利用できるようにしたもの。また、そのようなサー
ビスや事業モデル。
●アウトソーシングサービス
情報システムの開発や運用・保守のそれぞれまたは一括して専門の業者に外注するこ
と。
●ホスティングサービス
所有するインターネットサーバを顧客の利用状況に合わせて貸し出すサービス。
●ハウジングサービス
ユーザー・企業の所有するインターネット機器やサーバーを預かり、専用設備で管理
された施設で管理・運用するサービス。ユーザーは管理料を支払う。
●セキュリティソリューション
システムの安全性と信頼性を高めるための機能を提供するソリューション。
●CRMソリューション
顧客との関係を強化するためのシステムを提案すること。
◎情報リテラシ
情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のこと。
◎データ活用
システムに蓄積されたデータや情報はそのままでは役に立たず、企業の目的や問題解決
のために有効に利用することが重要となる。そのための環境やツールをセキュリティを
考慮しながら提供することでデータの活用が広がる。
◎普及啓発、人材育成計画
情報リテラシを高めるために適切な教育を行い普及啓発活動を行うことは重要である。
システム利用マニュアルや業務マニュアルの整備e-ラーニングや講習会を通じて、
システムを利用するための知識を教育する。
◎システム利用実態の評価・検証
情報システムのパフォーマンスや運用状況、情報システムの利用実態などを常に把握す
ることで、システムの信頼性を確認することができる。そのために、ログ分析やログ監
視などを行うことが重要となる。
●ディジタルディバイド
パソコンやインターネットなどの情報技術(IT)を使いこなせる者と使いこなせない者
の間に生じる、待遇や貧富、機会の格差。個人間の格差の他に、国家間、地域間の格
差を指す。
◎システム廃棄
システムライフサイクルからシステムの寿命を見極め、情報システムを廃棄することも
重要となる。コストや情報セキュリティの観点から修正するのではなく作り直すという
ことを検討する。システムを廃棄する場合には、情報セキュリティポリシに従って、適
切にデータを取り扱い不要であればデータの消去を行う。