動物は、採餌や移動、時には捕食者からの回避まで、さまざまな活動に時間を割く必要がある一方で、睡眠時間も確保しなければならない。睡眠中は基本的に他の覚醒行動をとることができないため、睡眠パターンは、動物が置かれた生態的・生理的な制約に応じて調節されると考えられる。特に、水中で生活する肺呼吸動物は、呼吸のための水面への浮上や体温維持など、陸上動物とは異なる制約のもとで眠る必要がある。しかし、こうした動物の睡眠パターンがどのような要因によって変化するのかについては、未解明な点が多い。
発表者はこれまで、海洋に生息する肺呼吸動物である鯨類とウミガメ類を対象に、睡眠行動とその調節要因について研究してきた。修士課程では、泳ぎながら眠る鯨類と静止して眠る鯨類が存在することに着目し、水族館での行動観察に基づく種内・種間比較を通じて、体温維持に関係する体サイズや環境温度と睡眠行動の関係を調べた。博士課程では、夏季に三陸沿岸に来遊するアカウミガメを対象に、小型の記録計によって動物の行動や生理状態を計測するバイオロギング手法を用いて、行動学的基準に基づく睡眠行動の同定と野外での睡眠パターンの推定に取り組んでいる。さらに、給餌条件を操作した個体を海洋に放流する実験を行い、エネルギー要求量の違いが睡眠パターンに及ぼす影響を検証している。
本セミナーでは、これらの研究成果を調査の様子も交えながら紹介するとともに、海洋動物の睡眠パターンが生理的・生態的な制約のもとでどのように調節されるのかについて議論したい。
参加申し込み締切:2026年11月25日(水)23:59 (対面参加者はお早めにご登録お願いします)