ミジンコの環境依存型性決定の分子メカニズム

2020年1028日(曜日) 16:30~

豊田賢治さん (新潟大学佐渡共生科学センター臨海実験所・特任助教)

ミジンコの環境依存型性決定の分子メカニズム

要旨

ミジンコは、湖沼生態系の食物連鎖を支える重要な動物プランクトンである。ミジンコは通常、単為生殖によって短期間で爆発的にその数を増やすが、低温短日などの環境悪化に伴い単為生殖によってオスを産生する。つまり、ミジンコ類はメスもオスも同一のゲノム情報を有するクローンであり、その雌雄の発生運命は外部環境に完全に依存している。私はこれまでに、日長時間依存的にメスとオスの誘導が可能なミジンコ(Daphnia pulex)系統を見出し、トランスクリプトームやメタボローム解析から複数のオス性決定に関わる因子の同定を行なってきた。本セミナーでは、私のこれまでのミジンコ研究を概説するとともに、ここ数年新しく取り組み始めた他の甲殻類を用いたプロジェクトについても紹介したい