「ながれ」から読み解く微生物の運動
その安定性と効率性
4月11日 16:30 15号館104
4月11日 16:30 15号館104
石本健太 (東京大学)
石本健太 (東京大学)
顕微鏡を覗くと見られる微生物の中には、鞭毛や繊毛と呼ばれる毛のような器官を使って泳ぐものがいます。これらの奇妙な形とその運動には、いったいどのような意味があるのでしょうか。この講演では、微生物の生み出す周りの流体の「ながれ」を調べることで、その答えに迫ろうとする試みについてお話しします。微生物の住むミクロの世界では、水の粘性効果が大きくなり、それゆえ生物周りの流体が生物自身の運動に大きな制限を与えることになります。その象徴的な例である帆立貝定理を中心に、微生物遊泳の流体力学における物理と数理の簡単な解説を行いたいと思います。講演の後半では、微生物と「ながれ」に関する講演者の(比較的)最近の結果を紹介し、時間が許せば、生態・進化の問題への力学的アプローチの可能性についても議論できればと考えています。