緯度に伴う生物の形質の違い(緯度勾配)は、生物多様性を形成する主要な要因の一つである。従来はこのような緯度勾配がどのように形成されるのかを明らかにするために、自然選択に着目して多くの研究が行われてきた。一方で近年、自然選択だけでなく、性選択も緯度勾配をもたらすことが示唆された。この緯度勾配は、低緯度ほど実効性比(ある時間断面における繁殖可能な雌雄の比)が雄に偏ることで雄間闘争が強く、雄の繁殖形質が発達する方向に進化することで生じると考えられている。しかし、野外の動物では繁殖可能な個体数や繁殖可能な期間の推定が困難であることから実効性比の測定が難しく、片方の性別でのみ観察される緯度勾配は珍しいため、ほとんど研究されてこなかった。
そのような中で演者は、卵のうを巡った雄間闘争が生じ、集団中の繁殖可能な個体数や繁殖期間を推定しやすいクロサンショウウオを対象とすることで、実効性比の偏りや繁殖形質に緯度勾配がみられるのかを野外において検証した。本セミナーでは、演者がこれまでに行ってきたこれらの研究成果について紹介する。
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参加申し込み締切:2025年3月3日(月)