小笠原諸島の鳥類と哺乳類:

起源・生態・保全

2019年 2月4日(月) 16:00~

東京大学駒場キャンパス1 教養学部 15号館104

杉田典正 (国立科学博物館植物研究部)

伊豆諸島や硫黄列島よりかなり古い時代に、父島や母島のある小笠原群島が陸になった。小笠原群島は、鳥やコウモリのような飛翔の能力のある動物でも固有種の割合が高い。高い生物多様性と進化を観察できる貴重な場所として評価され、2011年に硫黄列島も加えて小笠原諸島は世界自然遺産となった。最近数年間のDNA分析により小笠原諸島の鳥類とコウモリ類の起源が次第に明らかになってきた。今回の発表では博物館標本や次世代シーケンサーを用いた研究から小笠原諸島の鳥類と哺乳類相の成り立ちについて延べ、これまで見過ごされてきた隠蔽種の存在、遺伝的多様性について解説する。次に特に海洋島に進出したオオコウモリが適応放散の過程で獲得した奇妙な生態・行動について解説する。最後に大型の種子散布動物の少ない海洋島におけるオガサワラオオコウモリの役割について延べ、海洋島の生態系保全へのオオコウモリの重要性について解説する。