生息環境に応じて浮力を調節する淡水魚類

海鳥の行動時間配分がつがい外父性に及ぼす影響の評価

2017年2月8日(水) 16:30-18:00

「生息環境に応じて浮力を調節する淡水魚類

〜形態・機能・行動の接点を探る〜」

吉田誠

(東京大学 農学生命科学研究科 博士課程)

水中を泳ぎまわる多くの魚類は、うきぶくろに空気をためて浮力を得ることで自らの体重を支え、泳ぐ際のエネルギー消費を低く抑える一方、十分な浮力の得られない状況下においても、尾びれを振らずに潜行するグライド遊泳を活用 することで、移動コストを低く抑えるとされる。本発表では、流れの有無に応じた浮力調節をみせる、淡水性の外来魚チャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)および、浮力調節に関連する形態に差異のみられる、琵琶湖産の2 系統のコイを対象としたバイオロギング研究の事例をとりあげる。野外でのかれらの行動記録から浮力状態を推定し、生息環境に応じた浮力調節の実態を明らかにしたこれらの研究を通じて、動物の形態およびそれらのもたらす機能が 個体の行動にどのように影響するかを探る、最近の試みについて紹介する。

「海鳥の行動時間配分がつがい外父性に

及ぼす影響の評価」

坂尾美帆

(東京大学 大気海洋研究所 博士課程)

鳥類には一夫一妻、一夫多妻や乱婚など様々な配偶システムがある。その中で、一夫一妻のメスがつがいではないオスと交尾して子孫を残すことをつがい外父性という。つがい外父性を引き起こす遺伝的要因や環境要因についての研究 が数多く行われてきたが、繁殖期の個体ごとの行動がつがい外父性に及ぼす影響の評価はあまり行われてこなかった。本発表では、日本近海で繁殖する海鳥であるオオミズナギドリを対象とし、野生動物の行動を記録するバイオロギン グとDNA分析を組み合わせ、つがい外父性に個体ごとの行動が及ぼす影響を評価する試みについて紹介する。