古典的な生物学では個体のdiploid性を前提として多くの理論が構築されてきた。また、進化生態学の理論においては、その解析のしやすさから個体のhaploid性(あるいはクローン繁殖)が暗黙に仮定されることも多い。このような単純化に対し、植物や藻類では、しばしば生物体として認識される個体としてhaploidとdiploidの二種類が存在して、それらが世代交代する。そして、これらの異なる核相で特徴づけられる世代の共存や、配偶体として知られるhaploid世代の栄養的な独立性は、古典的に想定されてきた集団遺伝学に基づく理論的枠組みの拡張を要請しうる。本発表ではhaploidの配偶体とdiploidの胞子体という異なる核相世代の関係性を明示的に考慮した数理モデルを解析して得られた結果を紹介する。それらを通し、生活環の複雑性によって自然選択の働き方と遺伝構造が古典的な理解からどのように逸脱しうるのかについて議論する。
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