「胸の泉に」塔 和子
かかわらなければ この愛しさを知るすべはなかった
この親しさは湧かなかった
この大らかな依存の安らいは得られなかった
この甘い思いや さびしい思いも知らなかった
人はかかわることからさまざまな思いを知る
子は親とかかわり 親は子とかかわることによって
恋も友情も かかわることから始まって
かかわったが故に起こる 幸や不幸を
積み重ねて大きくなり くり返すことで磨かれ
そして人は 人の間で思いを削り思いをふくらませ 生を綴る
ああ 何億の人がいようとも かかわらなければ路傍の人
私の胸の泉に 枯れ葉いちまいも 落としてはくれない
「孤独なる」
今日は出会わなかったか そんなことはない
書物の中の人と出会い 物語の中の人と出会った
今日はなにもなかったか そんなことはない
顔を洗ってお化粧をした それから鏡の中ですこし微笑み
何ももたない自分を あわれんでやった
閉じこもった今日さえも やっぱりなにかと出会い なにかを考える
ぼんやりしているときにも ぼんやりとなにかを思っているように
生きることはやっかいなことだ
少しの休息もなく 心が体をひきずっている
でも そこは 出会うよろこびによってささえられている
小さな私の城だ
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