沖縄でコーヒーをやる強みといえば,世界第4位のコーヒー消費国の国内産地ということ.日本人の国産支持は根強いのです.そしてなかなか目にできないコーヒー生産の体験・学習の場も提供できます.沖縄は必ずしもコーヒー栽培に最適とまではいかない自然条件ですが,今や個性そしてローカル志向の時代.台風などいろいろ懸念材料もありますが,沖縄がどれだけ個性を発揮できるか,そこが勝負どころだと思います.
企業が自社の経営資源や組織の強み(Strength)と弱み(Weakness)は何かを整理し,PESTLEといった外部環境を自社にとって機会(Opportunity)か脅威(Threat)かに分けて考えてみる現状認識のフレームワーク。
強み(Strength)
沖縄コーヒーの強みといえば,やはり世界第4位コーヒー消費国日本の国内産地になるということです。この強みは,沖縄コーヒーにとって様々な機会を与えてくれます。
まずは,日本人の「国産」支持。残留農薬などの食品安全性への懸念があるのかもしれませんが,外国産の方が品質がよいと言ってもやはり国産がよいという日本人は相当数います(あまりにも価格が高ければ別ですが)。私たちは,バターで「国産」支持の強さを測ったのですが,牧草のみで飼育されたニュージーランド産バターもエシレなど高級品で名高いフランス産バターも国産バターには勝てませんでした。全員がそうではないのですが,ほとんどの人はやはり国産なんですね。いろいろあって信用を失墜した中国産ならわかるのですが,ニュージーランドもフランスも国産には勝てないのはちょっと意外でした。光成・吉野 (2021)
また,コーヒー農園が日本には珍しいこともこの強みを生かすことになります。日本人は毎日のようにコーヒーを飲んでいるのに,コーヒーの木もコーヒーチェリーも見たことが無い人がほとんどではないでしょうか。コーヒーにうんちくを垂れている人でもそうなのではないでしょうか。かといって,アフリカや南米,アジアでも,なかなかコーヒー農園を訪れる機会はなかなかないでしょう。沖縄でコーヒーを栽培すれば,日本人のコーヒーの体験・学習の場を提供できます。
機会(Opportunity)
こうした強みに加え,世は個性重視・ローカル重視の時代へ。コーヒーと言えば,ブラジル,コロンビア...でしたが,今や様々な産地のコーヒーがその独自性で勝負しようとしてます。そしてその個性が評価されています。いわゆるスペシャルティコーヒーです。「スペシャルティコーヒー」の語源は,1978年にフランス・モントルイユで行われた国際コーヒー会議の代表者らへのスピーチで,Knutsen Coffee社のErna Knutsen 氏が鋳造した言葉「独特(Spetial)な地理的微気候が固有の風味を持つ豆を育む。それがスペシャルティコーヒーなのだ。」に由来すると言われています(SCAA)。どこの産地のどの品種が一番おいしいかではなく,この産地のこの豆は個性が発揮できているか,なのです。もちろん,一定以上の品質の高さは必要なのですが,必ずしもコーヒー生産に向いていないかもしれない沖縄でも,その個性を発揮できれば,それは強みになるはずです。そうした意味で,今時代は,沖縄コーヒーにも機会を与えています。
脅威(Threat)
沖縄に限らず世界のコーヒー産地の脅威の一つが地球温暖化です。ちょっとした微気候がその風味に影響を与えるコーヒーですから,急激な気温変化はコーヒー生産には致命的となりかねません。とはいえ,コーヒーベルトの最北端に位置する沖縄,温暖化で最北端が上昇するのではないかと思ったりするわけです。素人考えなのですが... もっとも,コーヒーは暑ければよいというわけでもなくて,適温と言うのがあります。確かにコーヒーベルトは,赤道付近にあるわけですが,高品質の豆を生産する地域は,標高が1000メートルぐらいあるわけです。平均気温も言うほど高くはありません。問題は,冬の最低気温です。沖縄の冬の最低気温がもう少し上がれば,気候条件的に有利になるのではと思ったりするのですが...このあたりは確認が必要です。
その後,わかったことですが,沖縄の場合,冬の最低気温よりも夏場の高温の方が問題なのだそうです。ということは,温暖化は沖縄にはマイナスに作用しそうです。残念。
弱み(Weakness)
世界中のコーヒー産地にもたらしている温暖化の脅威のもう一つは,気象災害です。特に中南米の産地では過去に数多くのハリケーン被害がありました。直近では,2020年11月に2つの台風が中央アメリカを襲い,ホンジュラス、ニカラグア、パナマ、エルサルバドル、グアテマラに多大な被害をもたらしました。ホンジュラスとニカラグアだけで1000haのコーヒー農園が壊滅あるいは部分的な被害を受けたようです。(Daily Coffee News)そして,沖縄には台風被害があります。かつて沖縄でコーヒー農園が台風で壊滅した事例もあるようです。