いつもやっている土鍋焙煎の手順です。ロースターは買えないとして,フライパン焙煎とか,直火焙煎とか,いろいろある中でのあえての土鍋です。これが一番安定した加熱ができるような気がしていますが,どうでしょう。全くの我流で,いろいろ試行錯誤しながら今のところこのやり方で落ち着きつつあります。
モンジュラスSHG 品種名不明,たぶん水洗。
Amazonで買った安物です。安物と言ってもコーヒー豆が値上がりしていて1kg 2000円ぐらい。あまりよさそうな豆ではないですが,私の焙煎技術ではそんなにいいのは使えない。。。よく熟れてしっかり乾燥した豆は白くてつやがあるけど,安いのはくすんだ緑でしわしわ。
1kgの豆を3回に分けて焙煎するので,1回の焙煎で333g。
とりあえず,欠点豆のハンドピックを行います。
ハンドピックなんて,こだわりのひとがやるもんだと思っていましたが,やってみると,虫食いやらカビやら,ちょっとムリ?というのも混じっています。今回はありませんでしたが麻袋の繊維や,ひどいのになると小石が入っていたことも。特に小石はコーヒーミルの歯を破壊するので,絶対見つける必要があります。
左の図は,ハンドピックでよけた豆。虫食いやらカビで,うげ~って感じです。
今回は330g中約20gをよけました。でも,このくらいの安物の豆ではいい方。
ピーベリーはこの際残しました。
ピーベリーというのは,ひとつのチェリーに2つ入っている豆が1つしか入っていない豆で,丸っこい形をしています。「希少」として珍重したり,フライパンや土鍋で焙煎する人にはコロコロ転がるので焙煎しやすいと言われたり・・・
でも,言ったらなんですが,正常に育たなかった豆ということですよね・・・実際ピーベリーは傷があったり虫食いがあったりといった欠点豆が多いように思います。
一度,ピーベリーばっかり集めてカッピングしてみたことがありますが,私の舌では普通のと変わりませんでした(ような気がしました)。ので,きれいなピーベリーはそのまま残します。
焙煎前に豆を洗います。摂氏50度のぬるま湯で,軽く1回すすいで,もう一回ぬるま湯を足します。
なんで50度かについては全く科学的な根拠はありません。50度というのは不思議な温度で,しなったモヤシとかシャキッとするし,アサリ貝の砂抜きする時も50度で一発で砂抜きできたりします。だからコーヒー豆にもいいんじゃないかと思っただけです。
問題の温度なんですが,50℃はちょっと高すぎる気がしてきました。現時点(2023年12月)で,できるだけ香りを残すには…と奮闘しているんですが,ここであまりにも洗いすぎると,香りどころか味が抜けてしまっているように思います。今は普通に水道水の温度で洗っています。
豆を洗うことについては賛否あるようです。洗うことで風味が抜けるという人もいるし,洗ったほうが雑味がとれてすっきりした味になるという人も。
私が豆を洗う理由は2つあります。その一つは,水に浸けることで,乾いた時には見えにくかったカビなどが鮮やかに見分けられます。特にアオカビはきれいに見えます。
水に浸けてから2~3分でこのぐらい濁ります。これで風味が抜けたというのかもしれませんが,汚れがとれたようにも思えます。
いずれにせよこのくらい濁ったらどうせ欠点豆も見えないので,次は水道で洗います。
2~3分も浸けてはダメです。味がどんどん抜けていきます。乾いた豆を水につけたら,表面のカビや汚れをさっと洗い流したと思ったところですぐに焙煎に入った方がよいです。ちなみにこの濁りは汚れではありません。豆自身から流れ出たものです。(2024年8月)
水道水をぬるま湯にして,米を洗うようにじゃぶじゃぶ洗います。(最近の米はじゃぶじゃぶは洗いませんが)
薄い皮膜のチャフ(銀皮,シルバースキン)が浮いてくるので時々水を変えながらじゃぶじゃぶ洗います。10回ぐらい洗います。
3~4回でいいと思います(2024年8月)
こんな感じでチャフが浮いてきます。これが私が豆を洗う2つめの理由です。
ちゃんとしたロースターで焙煎したらチャフは機械が分離してくれるようですが,土鍋焙煎ではコンロの周りに飛び散ります。ここでチャフを剥がして洗い流しておけば,焙煎時に出るチャフの量をだいぶ減らすことができます。
風味がどうのこうのと言う前に,家族に煙たがれないようにするのも大事です。焙煎だけに。。。
その点では,自家焙煎ではナチュラルよりウォッシュトの豆の方がチャフが少ないので焙煎しやすいです。
三角コーナーに流したチャフです。このぐらい出てきます。
土鍋を用意します。
土鍋といっても普通の土鍋ではなく、空焚き可能なニューセラミックのものを使っています。水滴を落とすとこんな感じですが、全然大丈夫です。
卓上のIHヒーターを使って家族で鍋をやるために買ったのIHとガス火兼用ですが、IHへの反応がすぐにダメになって、今はコーヒー焙煎専用です。
遠赤も出るとか謳っているので、焙煎にはさらによいと思っているのですが、真偽は定かではありません。
熱した土鍋に豆を投入。
洗ってあるので、当然べちゃべちゃです。
家族に迷惑がかかるので、換気扇は最強で!
火加減は、最初は少し強めでいきます。
とりあえず水分を飛ばしたいからです。
水分を飛ばす間は蓋を開けたまま加熱します。
数秒に1回かきまぜますが、その時は豆が吹っ飛びますので蓋をします。かき混ぜるときは両サイドを鍋つかみ手袋で持ってカシャカシャと振ります。(両手がふさがるので写真は撮れません)
蓋を開けて加熱し、蓋をしてかき混ぜて・・・の繰り返しです。1サイクル7~8秒ぐらいでしょうか。
蓋についたチャフをキッチンペーパーなどで拭き取ります。
蓋を開けて水分を飛ばすと言っていましたが、たまに蓋を閉めたまま加熱して水蒸気を蓋につけて出てきたチャフを捕獲します。たまにでいいです。
今回はチャフがあまり出ていません
豆の表面温度が100℃くらいまでいくと、だいぶ水分が飛んで、豆の色が白っぽくなります。
ここまでだいたい15分ぐらいかかりました。いつもはもうちょっと早めですが、少し火が弱かったかもしれません。
このくらいになると豆が焦げ付きやすくなるので、少し火を弱めます。
加熱時も蓋は閉めがちにします。「がち」というのは、まだこの段階では湯気が出てくるので、たまに蓋を開けて湯気を飛ばす必要があります。
豆の表面温度が120~130℃になると水気がなくなります。
鍋を振った音がシャカシャカといった少し湿り気のある音から、シャリシャリといった乾いた音に変わってきます。蓋を閉めていても、水蒸気が蓋につかなくなってきます。
豆の色もうっすらと黄みを帯びてきます。写真なんか撮りながら鍋を振っているので、ちょっと焦げ目をつけてしまっています。いつもはもうちょっと均一に色づいています・・・。
ここまで25分ぐらい。
※ここで一旦火から下ろし,冷めてから再び加熱するという方法もあります・田口(2003)でダブル焙煎と紹介されている方法です。煎りムラを防ぎ,味が重たくなるのを防ぐことができるそうです。これをもって,香りが飛ぶ,味が平たんになるという批判されることもあるが,むしろそれをプラスに捉えるという考え方もあるようです。土鍋焙煎をする私にとっては,ひと休憩挟めることで,焙煎の気楽さが増しますね。味の安定性も高まるので,最近,これをやっています。
※さらに,最近思いついた方法!
ここまで焙煎せずに,一旦カラカラに乾燥させてから焙煎するという方法.食品乾燥機を使って乾燥させたらどうなるんだ?ということで実験開始.実験の結果は別ページで!
結論として,食品乾燥機はダメでした。味がすっ飛びます。やはりW焙煎の方が全然いいようです。(2024年8月)
あとはひたすら加熱と鍋振りのサイクルを繰り返します。
140℃を超えるくらいになると豆がキツネ色になります。くれぐれも焦がさないように・・・
しつこいですが、いつもはもうちょっと均一に色づきます。
ここまで30分ぐらい
湯気がさきほどまでの水蒸気とはちょっと違った煙っぽいものに変わってきます。
写真の湯気、見えますかね?
豆の表面温度が170℃ぐらいまで達すると、コーヒー色に。しかし,まだつやがありません。
ここまで35分強。
もうちょっと頑張ります。
今回は41分で180℃に達しました。
豆の表面温度が180℃までいっても豆の中はわかりません。ここでひるまず、それ以上温度が上がらないように火を弱め、180℃をキープします。
いやいや,ここで火を弱めずに一気に表面温度200度ぐらいまで上げて,パチパチいわせた(イチハゼさせた)方がよいと今(2023年12月)は思っています。そっちの方が断然香りは残るし,渋みも消えます。
豆がふっくらとしていい感じの色になったら焙煎を終了します。
今回は焙煎終了まで49分でした。
今回、180℃に達してから火を弱め過ぎたので、最後170℃まで下がってしまっていました。
ちなみに、洗ってあるからか、低めの温度で焙煎を終わらせるからか、私の方法だとあんまりハゼません。180℃を超えるとパチパチ言いますが、ホンジュラスの場合、それはちょっとやりすぎかと思います(って、よくわからないくせに)
・・・というのかどうか知りませんが、豆をざるにあげて振り回して冷まします。それ以上焙煎が進まないようにすればよいので、130℃ぐらいまで冷ませば十分かと。
出来上がりはこんな感じです。だいぶ浅めに見えますが、写真は色の再現が難しく、実際はもうちょっと深めです。
最後の最後で、さらにハンドピックを行います。今回はしわしわの豆があって、これを取り除きました。こいつが渋くて、これが1個入っているだけで、ほかの豆までおいしくなくなるので絶対取り除いた方がよいです。
変形した豆もありますが、これは意外と大丈夫だったりします。どんな豆が大丈夫で、どんな豆は取り除いた方がよいかは、それらだけ集めてカッピングしてみればわかります。しかし、それも大変なので、もっと手軽に,豆をそのまま嚙んでみています。渋いのは、ぺっぺっ!という感じです。いいのは甘い香りがしたりします。全然違います。ただし、歯の弱い方は要注意です。自己責任でお願いします。
これらを取り除いて最終的に残った豆の重量が240gでした。
しわが残っているというのは,つまりカロリー不足(生焼け)ってことですね(しわを残したままおいしく浅煎りしてある大豆生もありますが…)。洗ってそのまま焙煎すると,豆によって水分の吸収が違ったりして,火の通りのバラツキがひどく出ます。こういうしわが残った豆があると同時に真っ黒に火が通りすぎた豆が混ざったりします。「豆を洗ってます」と謳っている店があったので覗いてみると,煎りムラが結構ひどかったので,やはりそうかと思いました。W焙煎の1回目で,130度ぐらいまで上げて,1日ほど放置することで,水分のバラらツキが均一化されて(たぶん),ずいぶんと焙煎しやすくなります。豆を洗う場合,W焙煎は必須のようです。(2024年8月)
今回の豆の表面温度の経過は左のグラフのとおりです。
水分を飛ばす130℃ぐらいまでに火が弱すぎたので少し時間がかかりすぎました。焙煎にも少しムラをつくってしまいました。
写真を撮ったり,温度記録したり,いらんことしながらの焙煎だったので、火加減の調整と鍋振りに集中できませんでした。いつもならもうちょっと・・・(くどいか?)