沖縄は第三波でしょう

第一波から第三派まで,外食,中食,内食に分けて細かく見てきましたが,そんなこといちいち言わなくても沖縄は,その規模と価格競争力から見て,第三波に照準を合わせるしかないことは自明でしょう。

第三波は小さな市場で高い成長性

現在,コーヒー需要は第三波の只中にあるわけですが,それではみんなが第三波にあるかというとそうではなく,昔ながらの第一波需要も当然健在な訳です。おじさんなんかには,おしゃれなカフェに入りにくかったり,街の居場所を求めて喫茶店に入る人もたくさんいます。入店したらお水出してくれて,「ホット!」と言うと店主こだわりの深煎りブレンドコーヒーを出してくれます。業態としてはセルフ型カフェに対して「フルサービス」という言い方がされるようです。フルサービス型の喫茶店チェーンも元気なようで業績を伸ばしています。第二波のスタバもまだまだ伸びています。公共の施設にちんまり入り込んでいたりして,すっかり市民権を得た感じです。

ちなみに,各業態の売上を比較すると,例えば,比較の対象として,2021年度末のマクドナルドの売上を見てみたら2,884億円でした。そのほとんどがハンバーガーとポテトでしょうから,コーヒーの売上はごく一部のはずです。これに対して,セルフ型カフェの代表,スターバックス・ジャパンの売上が同年度1,165億円,ドトールコーヒーが552億円でした。これもすべてがコーヒーと言うわけではありませんが,マクドナルドよりはその割合は高いと思われます。一方,コンビニコーヒーは2,210億円。これはほぼすべてコーヒーの売上なので,コンビニコーヒーのすごさがわかると思います。

成長性は評価が難しく,特にここのところコロナ禍が絡んでくるので,過去の業績からも推し測りにくいので,あくまで個人的な感覚でしかないですが,喫茶店は底堅い需要はあるものの,今後大きく伸びるという感じはないでしょう。スタバもひところの勢いはなくなってきているように思います。コンビニもすっかり浸透して,高い需要で落ち着き始めたように思います。マクドナルドとかは,最近あんまりコーヒーは推さなくなっていないような気もします。

そうした中で,一番元気なのは第三波需要でしょう。スタバもロースタリー店を出したり,コンビニもシングルオリジンを出したり,他の業態も第三波需要に寄せようという気配が見られます。しかし,その市場規模はまだまだで,ブルーボトルコーヒーの売上にしても,具体的どのくらいかは不明ですが,おそらく微々たるものでしょう。2017年に,ブルーボトルコーヒーはネスレに株式の64%を売却し,その傘下に入りました。CEOブライアン・ハーミン氏はそのインタビュー記事で,ブルーボトルコーヒーは収益事業としてはinmaterial(取るに足らない)とネスレに言われたと言っています。

少量でも個性で高価格を実現できる市場

現在のコーヒー市場で一番強いのは,コンビニコーヒーでしょう。なんの分析もしていない私の印象だけなんですが,たぶん当たっているような気がします(?)。ひと頃は,マクドナルドなどのファストフードも100円でこれに対抗しようとしていたようですが,コーヒーの品質や購入の手間からして軍配は上がった(?)。スターバックスなどのセルフ型カフェチェーンは,もはやコーヒー以外で勝負している(?)。そもそもこのデフレからの低賃金経済では,スタバのコーヒーは割高に思われているのでは?。スタバもいいけどセルフ型なら結局コーヒーが安いドトールとか。フルサービス型の喫茶店は街の居場所が欲しいわけで,お客さんは必ずしもコーヒーそのものにお金を出しているわけではないですよね。

それに対して,第三波的業態のロースタリーカフェ,コーヒースタンドのコーヒーは,セルフ型カフェ以上に高価格です。自宅ブリュワーは手間だし,自宅ロースターなんて暇人かと言われます。それでも個性があれば買う人がいます。全く独自路線です。それは一部の人たちだけに支持されている小さな市場ですが,そこそこの値段で買ってくれます。大きなロットでないと買い叩かれるというものでもありません。小さなロットでも著名になれば,人気が出れば買ってもらえます。要は個性です。多様性や独自性が求められます。低コスト生産は期待できないし,量も期待できない,けれど個性なら発揮できるかもしれない,そんな沖縄産コーヒーが目指すのはそこしかないでしょう。

▼参考記事

勝者なきセルフ式コーヒーチェーン店の競争

競合店ができても、ドトールの売り上げがあっさり元に戻るワケ

...とか,みなさん勝手に好きな事言っていますが,ほんとのところはどうなんでしょうか。