「本当の僕は」
本当の僕は、N中学校に入学したかったです。友達と話がしたかった。友達と同じ学校に行きたかった。
でも、僕は今、盲学校にいます。
僕が盲学校に入学した1つ目の理由は、ゆっくり授業ができる学校がいいなと思ったからです。2つ目の理由は、大きな音が苦手で、静かな場所がいいなと思ったからです。盲学校に入学した僕は、友達の名前を覚えるのが大変でした。でも、今はスラスラと友達や先生の名前を呼ぶことができます。
そして、いろいろな挑戦ができるようになりました。遠足や手で見る作品展、ギターや写真など初めてできたことばかりでした。
一番心に残っているのは、学園祭の太鼓でした。僕は太鼓をたたくのは好きだけど、聞くのは苦手でした。大きな音が嫌いだからです。僕は最初、耳をふさいでたたいていました。だから、小さい音しか出ませんでした。でも、そんなとき、先輩の愛菜さんの言葉に救われました。
「失敗してもいいから、やってみようよ。」
その言葉を聞いて、がんばるぞと思いました。バチをぎゅっと握りました。足を大きく開いて、天井を壊すくらいに高く腕をあげました。
「どーーん!」
勇気を出して叩きました。
太鼓が揺れました。床も揺れました。僕の心臓もどくどく揺れました。
たくさん練習をしました。3人同時にたたいたら、さらに迫力がありました。本番では、僕たちのパワーがお客さんに届いたらいいなと思って、精一杯叩きました。やってよかったなと思いました。
盲学校に入学した僕は、この1年間でたくさんの挑戦ができました。できることが増えました。
これからの自分は、最初からあきらめるのではなく、初めから思いっきりやろうと思います。
一年前までの僕は、N中学校に入学したかったです。
でも、今の僕は、盲学校に入学してよかったと思っています。
盲学校で、これからも僕はがんばります。