論文を誤って粗悪学術誌へ載せることのないようにチェックポイントを紹介します。
一部のオープンアクセスジャーナルには、査読誌であることをうたいながら、APCを搾取することのみを目的とする粗悪な学術誌(Predatory journal、通称ハゲタカジャーナル)が存在します。
粗悪学術誌に論文が掲載されると、不当に高額なAPCに関わるトラブルが発生するだけではなく、以下のようなリスクがあります。
著者や著者の所属研究機関の評価・信頼が損なわれる
もし粗悪学術誌にたとえ質の高い論文を投稿したとしても、研究成果の妥当性への疑義が生じ、正当な評価がなされない
研究業績の信頼性への疑念を長期間にわたって引き起こし続け、将来的なキャリアが損なわれる
Webサイトの閉鎖等により論文へのアクセスが保証されなくなる
投稿後は論文の撤回ができず、再投稿ができなくなる
質の保証されていない論文が出回るようになるため、査読論文や学術雑誌全体の信頼に悪影響を及ぼす
論文を投稿する前に (Think, Check, Submit)のチェック
投稿しようとする雑誌が適切なものかどうかを判断する際のチェックリストです。
投稿予定の雑誌が信頼性の高いデータベースに収録されているか
DOAJ(Directory of Open Access Journals)
OA誌の検索が無料でできるデータベースです。採録には厳しい審査基準があります。
投稿予定の雑誌の査読プロセスに問題点が指摘されていないか
SciRev
研究者が自身の投稿経験にもとづき、各ジャーナルの査読プロセス情報を投稿するレビューサイトです。分野ごとの平均の査読にかかる期間も集計されているため、他と比べて明らかに期間が短い場合は、適切に査読が行われていない可能性もあり注意が必要です。
投稿予定の雑誌の出版社が以下の団体に登録されているか
オランダ大学図書館・王立図書館コンソーシアム(UKB)“Predatory and Questionable Publishing Practices: How to Recognise and Avoid Them”のRisk Tableのチェック
以下にリンクしたガイドには、ジャーナルが捕食的または疑わしいとみなされるリスクを判断する際の一般的な出版特性とそのリスクレベルの概要を提供するRisk Tableが掲載されています。(pp13-15)
(最終更新日:2025/03/10)