永続的識別子(PID:Persistent Identifier)とは、対象を一意に識別・同定し、かつ永続的に利用される識別子を指します。PIDを活用することで、混同やリンク切れを防ぎ、対象への恒久的なアクセスを維持できます。
PIDには、識別する対象によっていくつかの種類があります。これらを相互に引用し、論文や研究データといった研究成果に著者や研究助成の情報を紐づけることで、研究成果の発見可能性を高めることができます。
ここでは、国際的に広く利用されているDOIとORCIDを紹介します。
(1)DOI
DOI(Digital Object Identifier)は、主にWeb上で公開された電子的なリソースを対象として付与されるPIDです。機関固有のプレフィックスと個々のコンテンツを特定するサフィックスで構成され、DOIの前に「https://doi.org/」を付けることでURLとして機能します。
DOIとリンク先のペアは、非営利団体である国際DOI財団によって管理されています。公開元のサーバーやドメインが変更された場合も、新たなURLをDOIに紐づけることでリンク切れを回避することができます。
登録方法
研究成果にDOIを付与するためには、DOI登録機関の提供するサービスを利用する必要があります。
東京大学では、UTokyo Repositoryを通して、DOI登録機関であるJaLC(Japan Link Center)のDOIを取得することが可能です。また、学内の研究所等がJaLC会員となり、DOIを発行している場合もあります。
所属機関を問わずDOIを取得する方法としては、Zenodoやfigshareといった分野を限定しない汎用リポジトリに研究成果を登録し、登録先のリポジトリを通してDOIを付与する方法が挙げられます。
(2)ORCID
ORCID(Open Researcher and Contributor ID)は、研究者個人を一意に同定するためのPIDです。研究者一人につきひとつの番号が付与され、同名の別人との混同を防ぎます。
付与された識別子には、研究者の業績や所属機関を紐づけることができます。登録された情報は、専門分野の変更や所属機関の異動にかかわらず、研究者の生涯を通して引き継がれます。
近年では、論文投稿の際にORCIDの入力を必須としている出版社や学会もあります。ORCIDに業績や所属機関を登録しておくことで、同じ内容を何度も入力する手間を避け、情報発信の手続きを省力化することができます。
登録方法
ORCIDの登録ページ https://orcid.org/register で必要事項を入力し、IDを発行することができます。