too の前のコンマ
コンマの用法について少しまとめておきます。たかが "テン"、されど "テン"。意外に知られていないなと思うことがあります。becauseの使い方 ~Sentence Fragments~ でも紹介したように、学校英語では「思い込み」がいつのまにか「絶対」になっていることがよくあります。以前に、あるテストに出題された「too の前のコンマ」もこれにあてはまります。
問題 次の英文の間違いをなおして、正しい英文を書きなさい。
I like sushi too. →(正解)I like sushi, too.
「too の前には必ずコンマがある」という思い込みをしている方がこの問題を作成したのだと思います。いかに普段の生活で英語を読んでいないかが分かります。旺文社の英和辞典には、「くだけた文体では文尾のtoo は省略することもある」という説明がありますが、TIMEなどの記事を読んでいると too の前のコンマがない文は、いくらでもでてくるので「くだけた文体では」という解説もどうかな、と思います。辞書からいくつか例をあげておきます。
- There was frost last night and in May too!
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)
- beautiful and good too
- I mean to do it too.
- I had some food, and wine too.
(研究社 新英和大辞典)
- be smart, handsome, and friendly too
- He is coming too
- She too is anxious about you.
(小学館ブックシェルフ)
「小学館ブックシェルフ」には、tooの前にコンマがある例文は、ひとつもありませんでした。
「~という…」のような「同格(appositives)」の場合は、コンマを使わないことになっています。例えば、「平和という言葉」は、the word “peace”となります。(” ”内の語が2語以上になると、the words ”world peace” 「世界平和という言葉」となり、wordsが複数形になります。)コンマの用法を引用しておきます。
When appositives is “close”[restrictive] no commas are used:
Steinbeck's novel The Grapes of Wrath caused considerable controversy when it was published.
Do not use commas after quotations like the following:
Do you believe the saying “Fine feathers make fine birds”?
(Writer’s Guide to English Composition and Usage p.31)
生徒に教える必要はないと思いますが、知っておきたいものです。辞書のAppendix などに、コンマやセミコロンなどの用法がのってあります。時間のあるときに、読んでみると新しい発見があるものです。
“ ” や ‘ ’は、「引用符号(quotation marks)」のほかに、「逆コンマ(inverted commas)」とも呼ばれています。“” と ‘ ’の違いですが、“” は米で、‘ ’ は英で主に使われるようです。