ショートケーキは "short cake"にあらず

同じ職場の音楽の先生から「ショートケーキ」について質問がありましたので、まとめました。日本のショートケーキがshortcakeではないというのを私が知ったのは「めざましテレビ」の「めざまし調査隊」のコーナーでした。

インターネットで shortcake の写真を探して、イングランド人ALTにも確認をすると、次の写真が「イ ングランド人の思い浮かべるshortcake」だと言ってくれました。

↓ここの部分が、ビスケット生地 中は、イチゴや生クリーム

shortcakeを辞書でひいてみると、辞書によっては単純に「ショートケーキ」と書いてあります。しかし、この解説では不十分です。親切・丁寧な研究社の新英和辞典には次のように書いてあります。「バター・ラードなどのshortening(パンなどをさくさくさせるもの)を入れて焼いたケーキ;いちごなどを入れて層状に焼いたものもある。」shortening を入れて焼くから、このお菓子に “shortcake” と名前がつけられたようです。

さらに、“short” という語の意味をさぐっていくと、おもしろいことが分かります。「〔料理〕(菓子などが)かりかり(さくさく)する」という意味が辞書に載っています。ぜひチェックを!!「短いケーキ」なわけがないですね。この意味を考えただけでも、日本のショートケーキが “shortcake” ではないことが分かると思います。

不二家の創設者である藤井林右衛門が明治43年に横浜市で洋菓子店を開店後、大正元年にアメリカへ洋菓子事情視察に行っています。その後、「ビスケット生地に生クリームといちごをのせる shortcake」を日本人好みのスポンジケーキを使ってアレンジしなおし、“ショートケーキ”として大正11年に販売し始めました。これが現在日本人の食べているスポンジ生地の“ショートケーキ”になったということです。

ということで、日本の“ショートケーキ”を英語で説明するときには、“sponge cake”と言いましょう。