Cockney English

ロンドン英語 ~オーストラリア英語との共通点~

Cockney English とは「ロンドン英語」のことです。Cockney というのは「伝統的にはボウ教会 (Bow Church) の鐘の音が聞こえる地域に育った人々をさすといわれるが, 主としてロンドンの East End 地区に住みロンドン方言を話す労働者階級の人をさす」(Bookshelf)ということです。Cockney Englishの特徴としては、次のようなものがあります。

・/ei/ を /ai/ と発音する。

例えば、today を「トゥデイ」を「トゥダイ」と発音するようです。これってオーストラリア英語の特徴として有名ですよね。このオーストラリア訛りの原点は、実は、この Cockney English にあります。講談社 Grand Universe によると、オーストラリアはイギリスの植民地として開発されたため、イギリス系が圧倒的に多く、住民全体の約95%を占めるそうです。そして言語についても「ロンドンの下町なまりが強く、a[エイ] を [アイ] と発音するものが多い」と解説しています。

・語頭のhを発音しないことがある

これは、フランス語の影響(まね?)のようです。フランス語が母語の人は、h の発音にかなり苦労します。例えば「ハイスクール」が「アイスクール」になったりします。私がカナダのモントリオールに留学していたときに、私の所属していたESLのクラスには地元ケベック(フランス語圏)出身の生徒が多かったので、h の発音練習をすることがありました。そんなとき hの発音が普通にできる日本人の私は暇でしょうがありませんでした。

フランス語がどのように影響したのかも、興味があるところです。きどってフランス語風にしたのか、それとも h を発音できないフランス人をちょっと小ばかにして真似したのか?これはよく分かりません。

・韻を踏む

“wife” のことを、“my war and strife” と言うなどして韻を踏んだりします。「争い」という意味も含めながら… Cockney Rhyming Slang というサイトにこのような表現が多く載っていました。“Cockney rhyming slang used to be a form of Pidgin English designed so that the working Eastenders could have a right good chin wag without the toffs knowing that they were talking about them.” と Cockney Rhyming Slang に書かれてあるように、労働階級の Eastender たちが、toff(上流階級の人)の話をしているのを、彼らに悟られずに chin-wag(おしゃべり)をするために特有の表現を作ったのがはじまりだったようです。このあたり、アメリカの黒人英語と共通点がありますよね。

・その他

I sings, you sings, he sings, のように動詞を3人称単数形でそろえる。

このような特徴のある Cockney English 「ロンドン英語」ですが、かっこいいイメージがあるわけではないようです。これもまたいつものように語源からさぐっていくと、古英語の cock’s egg「無精卵」に由来するそうで、「意気地なし」「あまえっ子 (pampered child)」という意味があります。そんな名前を自分たちでつけるわけがない、と思うのですが、いろいろ調べてもこのあたりを解説している文献などが見当たらないのではっきりしたことは分かりません。

イングランド出身の市ALTの友人が学校に来たときに、出身地を尋ねてみるとロンドン出身だったので Cockney English の語源について質問してみました。私が Cockney English の語源について説明すると、「確かにロンドンに住んでいない人たちが、ロンドン特有の英語を Cockney English と名づけたんだろう」と言っていました。

何はともあれ、聞いてみるのが一番。今は YouTubeでいろいろな英語が簡単に聞けるので本当に便利です。

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