there is, there are

there is, there are の主語は?

there is, there are の主語は、there なのか、be動詞のあとに来るものなのでしょうか。語順から考えると、“there” が主語のような気もしますし、次に来る名詞が単数であるか複数であるかによって be 動詞の形がきまるので、「be 動詞に続く名詞」が主語のような感じもします。

コーパス活用ロングマン実用英文法辞典 は次のように説明しています。

《there + be》という表現型では、thereは(場所を表す副詞ではなく)「虚空の」文法語('empty' grammatical word)である。[p644]

3 there は、次の表現型において主語のような働きをする。

i)疑問文(QUESTION)

例 Is there anything else to eat? [p645]

このように、there は empty grammatical word と呼ばれ、主語のような働きをしていますが、実質的な主語は、「be 動詞の後ろに来る名詞」であると考えることができます。

「複数名詞の前は there are 」

コーパス活用ロングマン実用英文法辞典 の同じページの解説を読んでいると、つぎのような項目がありました。

4 ただし《かたい》英語において、複数名詞句の前では、これが意味上の主語と見なされるので、there are [there were] を必ず使うこと。 [p645]

「(・・? なんでそんな当たり前のことをそんなに真面目に解説しとるんだ!?」と最初は思ってしまいました。実は、この コーパス活用ロングマン実用英文法辞典 はもともと英語版で、私が持っているのはその日本語版です。 日常会話では単数、複数をそれほど意識せずに使ってしまっているのではないでしょうか。中学校の段階で「there is 単数、there are 複数」を叩き込まれる日本人が、もしこの英文法辞典を執筆していたら、おそらく↑この項目はなかったのだろうと思います。それに、オリジナルの英語版の解説を見て、英語のネィティヴスピーカーが「there are の後は、複数名詞句なんだ\(◎o◎)/!」と驚く姿を想像するとなんかちょっと笑えます。

Bookshelf は、there の項目で次のように解説しています。

用法

文法上の there +be の be は後の主語と数が一致するが、《口語》では there is が固定した形式とみなされて用いられることも多い。

“There's a bed, a table, and two chairs in this room.” のような表現はよく使われます。このように、口語では “there's ~” =「~がある」というように固定された表現として使われることがあります。

be動詞のあとは、不特定のものだけか?

“there is” の後であれば、“a (an)” のつく名詞で、“there are” の後なら “~s” などの不特定の複数名詞が来るのが通例ですが、例を挙げるときなどには必ずしもそうではありません。以前あるアメリカのテレビ番組を見ていると、次のような英語 が話されていました。

“We've been to many countries. France, Spain, .... And there's Italy, too.”

このように、「あ、イタリアも!!」といった感覚で使っていました。ドラマなどを見ていてもこうした表現には出くわすことがあるかと思います。

「英米人は、単数・複数など数の概念には厳密で、日本人は無頓着である」と、よくある方がおっしゃっていらっしゃいましたが、意外とそうでもないのではないかと思います。英語にはロジカルではない部分がたくさんあります。そうした部分も踏まえながら、英語教師として基礎をしっかり教えていきたいなと思う今日このごろです(^^♪