June Bride

~日本の「6月の花嫁」は幸せになれるのか?~

6月になると June Brideという言葉がよく聞かれ、6月に結婚することを美化する結婚式場を見かけることがありますが、何故に June なのでしょうか。

ローマ神話に出てくるJupiterの妻で、結婚生活の保護神であるJuno(ユノ、英語読みではジュノ)に6月のJuneが由来していることから、6月に結婚すると幸せになれるという伝説が出てきたようです。そのほか、かつてローマでは、3~5月の期間は結婚が禁じられていたから、とか秋の収穫の時期に出産が重ならないようにしていた、などいろいろな説があるようです。

現代では、ご存知のように、5、6月は英米諸国で大学などの卒業シーズンにあたります。学生のときからつきあっていた人たちが卒業後の6月ごろに結婚するというのが多いようです。手元の複数の辞書にあたってみると、「Juneは学校卒業後で気候がよいことにもよる」と解説されています。June Brideを煽る日本の企業がこのことに触れることはまずありません。

日本では3月に卒業時期を迎えるし、梅雨に入り雨がザーザー降る6月(しかも祭日がなくて、まだ五月病が抜けきっていない人がいるかもしれないこの時期)に、“June Bride”に憧れて結婚式を挙げる、というのはちょっと滑稽な気もします。このようにJune Brideというのは、日本の習慣や気候には残念ながら当てはまりません。「ローマ神話のJunoにあやかり6月に結婚する」というだけならまだいいかもしれませんが。「6月の花嫁」もバレンタインと同じような企業戦略なのでしょうか?

最後に、「新英和大辞典」(研究社)から諺をひとつ。“Happy is the bride on whom the sun shines.”「婚礼に日の照る花嫁は幸先がよい。」

それでも June Bride は日本人女性の憧れであり続けるのでしょうか?