レギュリエー

シュペルブと同時に輸入されたペルシュロン種。芦毛排斥の政策により廃用された。

馬名:レギュリエー

性別:牡

父:マデールドウジエーム

母:フクボリック

毛色:芦毛

生年:188年(明治1年)

死年:不明

産地:フランス

■解説

・明治19年にシュペルブと同時輸入された馬。同じく米国からの輸入の仏国産馬である

・フランス語で「régulier(整った)」という意味であろう。英語でいう「レギュラー」に相当。

・輸入後、シュペルブと同じく真駒内種畜場で種牡馬として供用された。

その後明治27年に札幌農学校に移送され、以降の消息は不明である。

・特に優れた体格を持っていたため、輸入当初はシュペルブよりも重用されていたようだ。しかしながらその産駒は蹄が軟弱な個体が見られ、何よりも芦毛であった事が特に響き、これらの理由により種牡馬を廃されてしまった。

■遍歴

・1884(M17):フランスで生まれる。【資料1】

・年代不明:アメリカに移送される。

・1886(M19):日本国に来日。真駒内種畜場で種牡馬として供用された。【資料1】

・1894(M27)札幌農学校に移送された。【資料2】

・その後は不詳

■資料

【資料1】北海道庁種畜場沿革誌

https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/842095/1/69

血統書第6号 農用種牡馬「レギユリエー」

1884年4月 仏国産 芦毛 明治19年米国より輸入

父:マデールドウジエーム(*)

母:フクボリツク

*ドウジエーム(deuxième)はフランス語で「二番目」という意味。つまり「マデール2世」。


【資料2】北海道庁種畜場沿革誌

https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/842095/1/55

農用種牡「レギユリエー」は同じく明治19年の輸入にして数年来種馬となし、そのかつその体格肥大力量卓越なるをもって専ら本畜の配合を図り、却って同種の「シユペルブ」を排斥せり。然れどもその毛色芦毛にして体格を徒に肥大に過ぎ、かつ最も欠点とする所は四蹄不良坦平にして縦裂を生ずるにありの為に産出する所の仔馬蹄裂を生ずるものあり。故に翌27年8月札幌農学校に乗用種牝牡2頭、農用雑種牝2頭を共に移畜せり

(中略)

従前飼養の牝畜はその毛色雑多にして、農用種のごときは種牡「レギユリエー」の芦毛なるをもって産出する仔馬(も)おおむね芦毛なり。しかるに本邦従来軍馬は勿論、農馬に至るまで鹿毛・青毛のごとき色素に富めるものを貴ぶの風あり。故に佐目はもちろん粕毛・月毛のごときその他斑紋あるもののごとき不良の毛質を排斥したるより、本道にもっとも夥多なる粕毛の類いはたちまちその価格大いに下れり。特に軍事上斥候兵馬としては最も白毛を忌むが故にこれらの毛色を除き鹿毛・青毛・栗毛の三色のものに改めんと欲す。しかるに牝馬の及ぶ所(年に)一の産出児にとどまると言えども、牡馬に至りては数多くの牝馬に配するをもってその関する所すこぶる大なり。

もし牡馬芦毛なるときはこれに配するに牝馬(は)青毛、鹿毛あるいは栗毛をもってするも多くは芦毛を生じ、あるいは往々粕毛を生すべし。

これ本道土産馬中繁雑配合の結果より。粕毛多く、大いにその外観を失し価格を低下する所以にして本場の馬匹、特に農用種の最も欠点とする所とす。故に種牡馬「レギユリエー」(芦毛)を廃しまた乗用種に至りては進んでこれらの雑毛ある牝畜をも払下げたり。然れども農用種にありては従来芦毛のみの繁殖を図り来たりしが為め、俄にこれを廃するときはたちまち繁殖上の牝畜に支障をきたすが為、やむを得ず姑息の方法をもって当場備蓄の牡馬よりして改良し、なお進んで漸次回数を重ねもってこれが子孫の毛質を改良せんとす。