蘭
明治14年に濠州より購入。血統不明ながらもわりと良馬であったようだ。
明治14年に濠州より購入。血統不明ながらもわりと良馬であったようだ。
馬名:蘭(あららぎ)
旧名:ヂヤクソウス
性別:牡
父:不明
母:不明
毛色:黒鹿毛
生年:1876年(明治9年)
死年:1896年(明治29年)?
産地:オーストラリア
■解説
・明治14年に宮内省が濠州より購入した。何故か日本に到着した日まで明らかになっており、それは7月7日であるとの事。【資料4】
・「蘭(あららぎ)」という馬名は非常に読みづらい。少なくとも後ろに「号」が付かないと馬名だという事も分かりにくい。そして検索もしづらい。後世のコンピューター社会を見据えた命名をして欲しかった、と無茶も言いたくなる。
・購入当時から血統が不詳であったようだ。また、「輸入種牛馬系統取調書」には旧名ヂヤクソウスと書かれているが、旧名のみで書かれている資料は存在せず国内では使用しなかった名前なのであろうと思われる。【資料1】
・輸入後3年間は主馬寮で繋養され、その後新冠牧場に送られた。【資料2】
・明治21年に「下総・新冠」間の一大トレードが行われ、当馬は下総御料牧場に引き取られる事となった。【資料3】
・さらに明治25年に外山御料牧場へ売却された。特に調べてはいないが御料牧場を3地点制覇した馬はあまり多くないだろう。【資料4】
・その後の行方は不詳。外山御料牧場の明治33年時点の名簿には記載されておらず、同名簿においても明治30年生まれを最後に蘭の産駒が途絶えている事から明治29年あたりで同地で亡くなったものと推定される。【資料5】
・明治24年の下総御料牧場の紹介記事においては数ある洋種馬の中で特に「ユスーフ」と「蘭」が最駿逸であると書かれている。血統が分からずとも見た目とその脚力で評価を得られた良い馬であったのだろう。【資料6】
■遍歴
・1876(M9):オーストラリアで産まれる。【資料4】
・1881(M14):宮内省が購入した。【資料1】
・1884(M17):新冠牧場に移送された。【資料2】
・1888(M21):下総御料牧場に移送された。【資料3】
・1892(M25):外山御料牧場に移送された。【資料4】
・1896(M29)頃:この頃に死亡したものと推定。【資料5】
■資料
【資料1】輸入種牛馬系統取調書
・https://dl.ndl.go.jp/pid/842117/1/14
宮内省において購入の分
種類:乗用
性別:牡
毛色:黒鹿毛
産地:濠州
名称:蘭号 旧名ヂヤクソウス
購入価格:英貨147磅(*)
輸入年:明治14年
*「磅」=「ポンド」
【資料2】新冠御料牧場沿革誌
・https://dl.ndl.go.jp/pid/901111/1/16
この年(明治17年)本省下付濠州産種馬驊騮号、蘭号、牝馬橘号、菱花号、薩摩国産牡馬大山号及び先に米国に注文せしトロッター種牡馬グランドエンペロー号及び青森地方にて購入の牡馬11頭を移入す。
【資料3】新冠御料牧場沿革誌
・https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/901111/1/22
従来本場に畜養せる洋種馬はその血統すでに繁殖して重胤の憂いあるをもってキングリチャーヅ号、キングスレー号、グランドエムペロー号、赤松号、蘭号の5頭を主馬寮に納れ、更に下総御料牧場畜養の洋種牡馬第二モンマース号、第四ブラドレー号、第三ローストン号、第二マンブリノーベルモント号、同牝馬第三ウォールダンスベリー号、第六吾妻号及び主馬寮畜養の澳国産牡馬富士ヶ根号、濠洲産牝馬横浜号の8頭を移畜す。
※青色が新冠御料牧場が供出した5頭。緑色が下総御料牧場が供出した8頭。
【資料4】明治3年度 馬籍原簿(下記宮内庁公文書サイトで検索)
・https://shoryobu.kunaicho.go.jp/Kobunsho
[014/340] 487
馬名:蘭(旧名チヤクソウス)
性別:牡
生年:西暦1876年(明治9年)
父:(空白)
母:(空白)
産地:濠斯太利
種類:濠斯太利サラブレッド種
減籍:明治25年4月10日 外山御料牧場へ代金400円にて売却
備考:明治14年豪州よりご購入。同年7月7日到着。代金英貨150ポンド。明治17年宮内省より新冠御料牧場へ御下付。血統書は御下付ナシ。
【資料5】外山御料牧場一覧表/明治
・https://shoryobu.kunaicho.go.jp/Kobunsho
[20/40]
馬匹調書(明治33年5月19日現在)
種類:二面雑種
馬名:第五田母木
生年:30年5月
産地:外山御料牧場
父名:蘭
母名:田母木
※「蘭」自体は記載されておらず。
【資料6】陸軍獣医志叢 (28)
・https://dl.ndl.go.jp/pid/1525656/1/13
三里塚区 同区第一号牡馬厩には洋種牡馬10頭を畜養す。その種類はアラブ、ソーローブレット、ツロッター及びアルゼリーとす。アラブ種イスープ、アララギ号は最駿逸たり。