スプーネー
明治20年輸入。新冠御料牧場において種牡馬として無類の働きを見せた。
馬名:スプーネー
性別:牡
父:フォーロルホープ【資料3】
母:スゥイートハート【資料3】
毛色:鹿毛
生年:明治14年【資料2】
死年:明治38年【資料7】
産地:英国
■解説
・明治20年に輸入された英国産の馬。主として新冠御料牧場で種牡馬として活躍した。
・輸入した年は下総で種牡馬として供用され、翌年の明治21年に新冠御料牧場に送られたようである。
・優秀な産駒が多く、スイテン(母:第四エリース)やこれまた種牡馬として活躍する第二スプーネー(母:第三ウォールダンスベリー)などを輩出した。
・また第二スプーネーがミラと交配して生まれた「第二ミラ」と「第三ミラ」がミラ系を大いに拡大させたため、当該ミラ系にはこのスプーネーの血が基本的に含まれている。(2022年に引退したトウケイミラなど)。
・産駒の輩出状況を見る限り、晩年は再度下総御料牧場に送致されたようだ。【資料6】
・新冠御料牧場の馬匹改良に大いに寄与したスプーネーは明治38年に死亡した。【資料7】
・死後にサラブレッドではない事がバレたらしい。【資料8】
■遍歴
・1881(M14):イギリスで生まれる。【資料1】
・1887(M20):日本国に来日。下総種畜場にて種牡馬として供用された。【資料4】
・1888(M21):新冠御料牧場に下付され、種牡馬として供された。【資料5】
・1903(M37)頃:下総御料牧場に移送された。【資料6から推定】
・1905(M38):死亡した。【資料7】
■資料
【資料1】輸入種牛馬系統取調書
・https://dl.ndl.go.jp/pid/842117/1/15
宮内省において購入の分
種類:乗用
性別:牡
毛色:鹿毛
産地:英国
名称:スプーネー
購入価格:英貨525ポンド
輸入年:明治20年
【資料2】宮内省下総牧場における競走馬の育成調教
・https://dl.ndl.go.jp/pid/1067254/1/17
輸入年:明治20年
名称:スプネー
種類:英国産洋種
性別:牡
毛色:鹿毛
生年:明治14年
【資料3】陸軍獣医事(36)
・https://dl.ndl.go.jp/pid/1525730/1/54
洋種々馬血統調査表
種類:英吉利サラブレッド種
名称:スプーネー
毛色:微星鹿毛
年齢:19才
父系馬名:フォーロルホープ
母系馬名:スゥイートハート
【資料4】明治3年度 馬籍原簿(下記宮内庁公文書サイトで検索)
・https://shoryobu.kunaicho.go.jp/Kobunsho
[014/340] 61
馬名:第三高千穂
性別:牝
生年:明治21年5月19日
父:スプネー号
母:高千穂号
産地:三里塚区
種類:サラブレッド種
【資料5】新冠御料牧場沿革誌
・https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/901111/1/17
(明治21年)4月英吉利サラブレット種スプーネー号、布哇国産牡馬赤松号を本省より移牧し、農園に玉蜀黍貯蔵所一棟を新築す。
【資料6】明治3年度 馬籍原簿(下記宮内庁公文書サイトで検索)
・https://shoryobu.kunaicho.go.jp/Kobunsho
[334/340] 2292
馬名:第参スプネー
性別:牝
生年:明治38年4月26日
父:スプネー号
母:第参新笛号
産地:三里塚区
種類:サラブレッド種
【資料7】日本之産馬2(8)
・https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/11209078/1/16
スプーネー号は下総から新冠御料牧場に移され、洋雑共385頭から繁殖し、成績すこぶる顕著なもので38年に死んだ。
【資料8】馬政關係法規 改訂再版
・https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/1351369/1/194
(昭和9年7月)
先に新冠御料牧場ならびに下総御料牧場において種牡馬として供用せられたるスプーネー号は現今までサラブレッドとして取り扱われ居候のところ今回本協会の調査により純血種にあらざること判明いたし候。就いては同馬の系統馬にして従来純血種または純粋種と認められたるものはことごとく内国産洋種と相成り、ひいては速歩馬またはアラブ系競走馬の資格にも影響を及ぼす結果を相生じ候えども既に競走馬として登録済みまたは購買済みのものについては全く影響なきものとして扱う事に致したく、至急何分のご指示相仰度此段及御照会候也。