荒磯(武蔵野・武蔵)
同一馬なのではないかという推論(根拠は不十分気味)
同一馬なのではないかという推論(根拠は不十分気味)
馬名:荒磯(あらいそ)
前名1:武蔵野(むさしの)
前名2:武蔵(むさし)
性別:牡
父:不明
母:不明
毛色:鹿毛
生年:明治5年
死年:不明
産地:雉子橋御厩(?)
■解説
・血統不明の洋種牡馬。東京で生まれて明治12年に福島に送られた。
・【資料3】には「仏蘭西サラブレッド種」とあるので両親ともにナポレオン三世の馬であった可能性が高い。
・【資料1】では「荒磯がのちに武蔵と改称した」と記述されているが、いろいろな情報を集めて勘案したところ、これは逆で「武蔵が荒磯になった」のではないかという考えに私が至るようになったので、この説で以下進めていきたいと思う。
・さらに当時「武蔵野」という馬がいたがこれも「武蔵」と同一の馬なのではないかとも考えている。
・そのような考えに至った理由はいくつかある。まず【資料6】や【資料7】によって武蔵野は福島に送られ、種牡馬として活躍している事が明白であるのに【資料1】の一覧に全く出てこないという点がどうにもおかしい。また東京で生まれた馬に「荒磯」なんていう名前を果たして付けるだろうかという疑問点なども挙げられる。
・福島に送られたのは明治12年【資料2】で、受入時の年齢は7歳【資料1】であるので、生まれは明治5年という事になる。東京生まれである事も【資料1】に書かれているので雉子橋御厩で生まれたものと推定される。
・その後明治8年に雉子橋と交配を行い、雉子橋は明治9年に第二四ツ谷を出産する。(父名は武蔵野)
・さらに明治10年に吾妻と交配、翌11年に玉川が産まれる(父名は武蔵)。吾妻と交配しているので荒磯は高砂の子では無いという事になるだろうか。いくら血統管理の意識が希薄な明治初期であっても姉弟交配は流石に行わないであろう、多分…、おそらく…。
・前述した通り、その後明治12年に福島県へ送られ、福島の地で「荒磯」と改名した。
・さらにその後明治18年に鳥取県に送致されたようだ。
・荒磯・武蔵・武蔵野は同一馬だというこの説。果たしてこの考えで正しいのかどうか、真相は不明である。
■遍歴
・1872(M5):雉子橋御厩にて生まれる。
・1872(M5):内藤新宿試験場に移送される。
・1876(M9):産駒である「第二四ツ谷」が産まれる。(父:武蔵野、母:雉子橋)【資料3】
・1877(M10)頃:取香種畜場に移送される。【資料4】
・1878(M11):産駒である「玉川」が産まれる。(父:武蔵、母:吾妻)【資料5】
・1879(M12):福島県に移送される。【資料2】【資料6】【資料7】
・年代不詳:馬名を「荒磯」と改名。【資料1~2】
・1885(M18):鳥取県に移送される。【資料8】
・その後は不詳
■資料
【資料1】福島県産馬沿革誌
・https://dl.ndl.go.jp/pid/901145/1/69
馬名:荒磯 後に武蔵と改む
種類:アラブ
毛色:鹿毛
受入時年齢:7
産地:東京
配布地:耶麻郡関都牧場
【資料2】農務顛末 第4巻
・https://dl.ndl.go.jp/pid/2468750/1/134
拝借馬 明治15年1月~12月 交尾報告
種類:洋種
名号:荒磯
年齢:10
毛色;鹿毛四ツ白
産地:不詳
拝借年月日:明治12年3月31日
繋養地:岩城国耶麻郡関都村
右の通りに有りの候也
明治16年4月 福島県
【資料3】明治3年度 馬籍原簿(下記宮内庁公文書サイトで検索)
・https://shoryobu.kunaicho.go.jp/Kobunsho
[007/340] 十
馬名:第二四ツ谷
性別:牝
生年:明治9年4月
父:武蔵野(仏蘭西サラブレッド種)
母:雉子橋(仏蘭西サラブレッド種)
産地:東京内藤新宿元試験場
摘要:明治29年10月16日 斉藤依吉へ代金11円にて払い下げ
【資料4】富里村史 史料集 2(近・現代編)
・https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/9641696/1/375
取香種畜場請求牛馬其他現在畜養頭数調(注:明治11年5月27日現在)
洋種牡馬10頭 米買い入れ4頭、武蔵野、下総、駒場野、第一東京、第二東京、チヤキ
【資料5】仙台産馬沿革史
・https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/901076/1/55
乗用玉川栗毛(父武蔵号、母吾妻号)明治11年生牡馬を下総種畜場より借入れ~
【資料6】富里村史 史料集 2(近・現代編)
・https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/9641696/1/376
同(注:洋種)牡馬 壱頭 武蔵野
是者福島県へ貸与
【資料7】農務顛末 第4巻
・https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2468750/1/53
明治17年中貸与種牡馬交尾報告統計表
県名:福島
種類:洋種
名号:武蔵野
【資料8】東伯郡誌:2巻下
・https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/992110/1/55
馬種の改良は明治18年倉吉町渡辺所平その筋よりアラビヤ種牡馬荒磯号(下総御料牧場産)の貸付を受け洋種馬の繁殖に勉めたりし当時をもって初めとなす。