投稿日: Mar 26, 2010 11:42:1 AM
この簡単で、しかし奥の深い質問に、連載の形で答えてきましたが、少しはWW(作家の時間)のイメージがつかめたでしょうか? 最後に、これまでに書いたことを従来の作文の授業と比較しながらまとめてみました。並べてしまうと、その特徴は一層際立つのではないでしょうか。
子どもの嫌いな作文の授業 WW「作家の時間」
書くテーマが決まっている 書きたいことが書ける
子どもは書かされる人 子どもは「作家」(主体的に書く人)
バーチャルな体験 本当の体験
材料探しをしない 書く題材探しが重要
上達の方法がわかりにくい 成長を自分の作品から実感できる
嫌いな人が多い/下手な人も多い 書くことが好きになる/上手になる
ジャンルが限られている 様々なジャンルで書ける
読み手は教師 本当の読者が存在する
自分理解/発見の側面が弱い 自分理解/発見のために書く
教師が赤ペンで添削する 自分、友だち、教師のアドバイスで修正、校正をする。
教師が評価 自己評価、友だち、保護者からの評価
読者からの評価、教師の評価
一人で書く 協力し合って書く
振り返りがない 常に、修正して/振り返っている
書いたものを共有する時間がない 書いたものを共有する時間を重視
発表する機会があまりない 作家の仕事は発表・出版すること
完成、結果を重視 プロセスを重視(もちろん結果も)
とっておきたい作品が少ない とっておきたい作品がたくさんできる
教師は書かない 教師は書く人(モデルで示す)
教師は文法的なことを教える 教師は「作家の技」を教える
教えるのは教師のみ たくさんの本物の作家たちも先生
クラスの友だちもアドバイザー
個別のサポートは皆無に等しい 個別にサポートする時間が一番長い
十分な時間が確保されていない 十分な時間が確保されている
●特に、評価については
・評価の対象: <ポートフォリオ評価そのもの>
提出原稿のみ 完成原稿ファイル(たくさんの完成原稿)
創作中ファイル(たくさんの未完成原稿)
作家ノート(題材、メモ、下書き、子ども
たち相互の反応等)
カンファランスの記録
完成原稿への児童の振り返り
出版物には読者からの反応
・評価の方法:
教師の主観(?) 評価基準表
言語事項等のチェックリスト
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子どもが書かされる/嫌いな作文の授業は、教師にとっても「教えるのがいやな授業」である場合がほとんどです。子どもたちを自分で書けるものをもっていない存在として捉えるのではなく、「子どもたちは書きたいたくさんのことを持っている“作家たち”として接する」ことで、子どもたちも教師も書くことが好きになり、かつうまくなり続ける授業に転換してください。