2017年 本学会功労賞の表彰

本学会功労賞表彰のご報告と受賞者の談話

 2018年5月27日、第3回定時社員総会前の午後2時から本学会功労賞の表彰式が開催されました。このページの「2017年 本学会功労賞受賞のお知らせ」に掲載されているように、受賞者の片山豊廣先生は1956年から2009年までの長きにわたり、とび職人として活躍され、とび職の技能・技術の向上や後進の教育・指導に貢献されました。この片山先生の多大なるご功績にたいし、本学会の中村理事長から、功労賞の表彰状が授与され、記念品が贈呈されました。

 その後、関係者による懇談の場が設けられましたが、片山先生による興味深いお話しが続き、予定の45分があっという間に過ぎる大変有意義な一時となりました。

片山先生のお話しからは、次のような点が特に印象に残っています。

・いつも「人の信頼を裏切らない」「約束ごとは必ず守る」を信条に仕事をしてきました。

・これまでを振り返ると、負けず嫌いで、人のしないことをしたいという意欲が向上心のもとになっていたようです。

・とび職に就いてから15年間はいろいろな仕事をこなして技術を身につけ、その後も様々な資格を取りましたが、それがなければ人を指導できなかったと思います。

・揚重機の進歩によって、とび職の仕事も機械化され、仮設でもち密なものができるようになってきましたが、機械に頼り過ぎてしまう面が見られます。例えば、クレーンの入らない建物内に足場を組む仕事などは自分しかできないので、お呼びがかかります。このように昔の技術が役に立つことがあります。

・若い人に教えるのは楽しい。ただ、今の若い人は失敗しても悔しがらないことが多いのですが、失敗したほうがよく覚えると思います。

・とび職は高給取りといわれることもありますが、そうでもありません。日本ではきつい・汚い仕事をする人ほど収入が少ない気がします。

・緊張感をもって、痛くないケガ(大きなケガこそ、その瞬間は痛くないものです)をしないように注意してきました。それで危ない仕事を受けないこともありました。

・50年以上のとびの仕事で一番の自慢は、従業員に大きなケガをさせなかったことです。

(お話しされた順序とは異なります。また、内容をまとめたり、言葉を補ったりした箇所があります。写真は、表彰式における表彰状の授与および受賞者を囲む本学会の役員・会員です)