日本のものづくりは、古代から受け継がれた技能の伝統に近代以降の科学技術の進歩・発展を重ねて産業の基盤となり、現代の経済活動を支えていますが、さらにグローバル化の中、世界のものづくりを主導・推進する期待も高まっています。
このような情勢にあって、技能を生かし、科学・技術を活用し、芸術的で美しく、環境にもやさしい次代のものづくりを担う人材を教育し、育成する場として、2001年にものつくり大学が設立されています。
それ以来、ものづくりという言葉が日々溢れるほどに重視されるようになりましたが、日本のものづくりをさらに実あるものにして世界に発信する学会をつくる機運が高まり、2015年6月16日、一般社団法人日本ものつくり学会が発足しましたが、諸般の事情により、2022年6月4日に解散いたしました。
本学会はこれを引き継ぎ、2022年6月11日に任意団体として再発足したものです。
ところで、ものつくり大学の名称は、古来の大和(やまと)言葉が濁点をふらないことから、故梅原 猛名誉総長によって「ものつくり」とされたものです。また、大学の英文名「Institute of Technologists」にあるテクノロジストは、ものづくりに必要な思考と労働の双方が可能な人、すなわち理論を構築できる知識だけではなく、製造の工程や作業を設定して実行できる技術・技能をも併せ持つ人のことです。これは、社会生態学者の故ピーター・F・ドラッカー氏によって名づけられ、日本ものつくり学会(The Japanese Society for MONOTSUKURI Technologists)の名称もこれらに由来します。
本学会も以下にある法人学会の設立趣旨をそのまま踏襲いたします。
社会ではモノ自体がインターネットを介して情報をやりとりするIoT(Internet of Things)が普及しつつあり、ドイツの第4次産業革命ではインターネット上を情報が行き交う生産システムによるスマート工場が実現するとさえいわれています。
日本ものつくり学会を設立する目的の一つは、そうした次代のものづくりを視野に入れ、ものつくり大学にも呼応して、ものをつくる技術・技能、マネジメントに関する研究およびものをつくる人材の教育に関する研究を促進し、発展させることにあります。
また、日本のものづくりは、仕事に誇りを持ち、採算を度外視して、納得のいくものを追求する技術者・技能者・職人によって支えられていますが、こうした自己の利益を二の次にする気質から、恵まれないところがあり、支援していく必要があります。
日本ものつくり学会を設立するもう一つの目的は、彼らのものづくりにたいする正当な評価と処遇の改善を促し、活躍の場を国内外に拡げて支援するとともに、ものづくりにかかわる企業・団体との連携において寄与・貢献しようとするものです。