兵庫県三木市の刃物職人

投稿日: 2016/08/03 23:07:13

刃物職人・池内久徳さん

2014年10月9日に放送されたテレビ東京の番組「和風総本家」の中で、親子三代にわたり「美貴久」ブランドの小刀を作り続けている兵庫県三木市の刃物職人が紹介されています。世界19ヶ国に輸出されている製品の種類や形状は、(有)池内刃物のホームページhttp://www.miki-japan.com/namera/kogatana/kogatana.htmに詳しいので、そちらをご覧になっていただければと思います。

放送当時、鍛造によって鋼(はがね)をつくり、地金に鋼を接合する作業をする二代目の池内久徳さん(職人歴45年、63歳)と成形および研ぎを担当する三代目の広海さん(職人歴17年、37歳)による言葉が印象に残っています。また、小刀を使う側として登場するハイダ・グアイ(旧クイーン・シャーロット諸島)でトーテムポールをつくっているカナダ先住民族ハイグ族のレジ・デビットソンさん(60歳)の逸話も興味深いものでした。

レジさんによるトーテムポールづくりの話し

高さが7.2m、直径が1.2mもある様々な動物が重なる形のトーテムポールは、一族や家族に伝わる神話などを表しており、特徴のある嘴を持つ鳥は、ワタリガラスです。また、材料にするヒノキ科のウエスタンレッドシダーの丸太は、コルクのように柔らかく、彫りやすいにもかかわらず、耐久性があり、建物の外壁や電柱にも使われています。ただ、切れない小刀で削ると木の表面が潰れて水がしみ込み、耐久性を損なうばかりでなく、塗装もきれいに仕上がらなくなります。

レジさんによる「美貴久」小刀の使い心地

鋭い形の(切出し)小刀は隅々まで削ることができ、平らな形の(白柿)小刀は表面を削る時に使いますが、いずれも表面を綺麗に仕上げられるので、耐久性が上がるんです。この小刀は、兄や甥も使っていて、トーテムポールづくりには、なくてはならないものなんです。

レジさんによる池内さんへのエール

「このトーテムポールづくりは、曽祖父、祖父そして兄と、昔から受け継がれてきた我々ハイグ族の民族の証です。三代続くあなた方と同じようにこちらもものづくりを受け継いでいきます」

二代目久徳さんの言葉

こういう仕事は自分で納得したら終わり、ちょっと上を、ちょっと上を目指さないと腕は上がらない

三代目広海さんの言葉

どこがゴールか分からない、自分たちが満足してしまったら終わりみたいな商品をつくっているので、海外の遠い所で使っていただいて、良い品物と言ってくれたら、今後も一生懸命つくっていかなければと・・・

(撮影用のライトを消してもらうように頼んだ理由として)「目で(炎の状態から)温度を確認しながら作業をするので、明るすぎるとそれが見えないんです」

※1080℃を超えると鋼の組織が壊れ、強度が低くなってしまうので、鋼の焼ける炎の状態を見て、1020℃~1080℃の間になるように熱しているそうです。

(聞き違いなどありましたら、ご容赦のほどお願いいたします。腕の毛に触れるだけで切れてしまう鋭利さで、仕上げた小刀の刃がついているかどうかを判断しているのには驚かされました。会員№102 中村記)