イエメンの薬箱

投稿日: 2017/12/07 3:24:17

薬を保管する木製の箱

2002年に旅したイエメンの国情については、以前に投稿した「イエメンの気付け薬入れ・携帯に便利な真鍮製の気付け薬入れ」に概要がありますので、そちらを参照していただければと思います。今回ご紹介するのは、イエメンの中央部に500戸以上の高層住宅が立ち並ぶシバームという街で買い求めた木製の薬箱です。そこの建物は、5階から9階の高さがありますが、石造りの基礎部分を除くと全て日干し煉瓦でつくられ、上方の壁には日射を防ぐ白いプラスターが塗られています。下の写真は、世界遺産に登録され、摩天楼都市と呼ばれるシバームの全景や街並みです。

なお、余談になりますが、現地では日本車の人気が高く、写真の建物前にもトヨタの車が映り込んでいます。特にそのランドクルーザーは、過酷な砂漠をものともしない性能が評判で、私たちもこれに乗ってイエメン中を旅しました。

うだるような暑さの街は閑散としていて、写真のように建物の扉や錠前を模した木彫りとか真鍮製のランプなどを観光客目当てに売る土産物屋が二、三軒開いているだけでした。その中に、正面の縦横と奥行きがそれぞれ23.5㎝、27.5㎝、8.5㎝で、模様が隙間なく彫られた箱を見かけたので、店主に聞くと薬を保管するとのことですが、把手や引出しがあるので、何かを入れるには便利かと考えて購入したものが下の写真です。

ただ、帰国してしばらくすると、扉形の蓋や引き出しが閉めにくく、収納には使えなくなりましたが、砂漠の地で作られた木製品が、湿気の多い日本で変形してしまうのは仕方のないことかもしれません。今では単に眺めるだけですが、その度にシバームを思い出させる置物にはなっています。(会員№102 中村記)