東京都文京区の銀器職人

投稿日: 2016/08/03 23:14:40

銀器職人・石黒光南さん

2015年12月24日に放送されたテレビ東京の番組「L4 You! プラス」において、江戸時代に銀師(しろがねし)と呼ばれていた銀器づくりの伝統を受け継ぐ東京都文京区の職人・石黒光南さん(職人歴半世紀以上、年齢の公表なし)が紹介されています。銀器づくりの歴史やその工房でつくられる茶道具、香炉、酒器などの形状は、光南「KOHNAN」のホームページ http://www.to-ho.com/main_jp.htmに詳しいので、そちらをご覧になっていただければと思います。

石黒光南さんによる銀器づくりの概要

石黒さんの工房の壁には製作に欠かせない、ほとんどが手づくりの木槌や金づちがズラリと並んでいますが、今回の放送で取り上げられた茶器の急須づくりでは、10種類以上の道具を使い分けているそうです。素材は、厚さが0.6~0.7mm、直径18㎝ほどの円形の銀板で、それにバーナーの炎を噴射して銀板の色を見ながら適正な温度になるまで熱します。次にこの銀板を冷水でさまし、まだ柔らかいうちに木型の上に置いて太い棒状の木で叩いて皿状にくぼめていきます。この時、普通に叩くと薄く伸びるだけで形にならないので、叩きながら縮めていくのがコツのようです。さらに銀板をバーナーで熱しては曲がった棒状の鉄の上で回しながら木づちで打ちつけて締める(鍛金:たんきんという)作業を繰り返して皿から円筒、壺の形、急須の本体へと成形していきます。また、霰(あられ)と名付けられた凹凸模様をつける場合は、本体をとがった鉄の台にのせ、タガネという先端が窪んだ金具で挟み込んで一つ一つ叩き出していきますが、この技ができるのは今では数人しかいないとのことです。この後、本体に取っ手と注ぎ口を付け、薬品で色を落として完成するまで、一週間以上を要します。

石黒光南さんの言葉

「これ(本体を成形する作業)は、一人でやらなければダメ。相手に持ってもらったりすると、思ったようにできないので、全部自分で集中してやらないとできない」(銀器をどういった方向でつくっていきたいのか、夢はありますかと問われて)「この技術だとか昔のそういういろんな技を伝えていこうと一生懸命やってきたんだけれど、やはりちょっとおろそかにしてきたのは銀器を使う人ね。これからはそういうことで、なるたけね、身近に銀器を使えるように、自分から率先して銀器をいっぱい使って、日本の人に、みんなに使ってもらえるように、そういうことをあちこちでやっていきたいと思っています

(聞き違いなどありましたら、ご容赦のほどお願いいたします。会員№102 中村記)