寒天メーカーの最高顧問(本社:長野県伊那市)

投稿日: 2019/12/22 4:13:06

伊那食品工業の塚越寛最高顧問

NHKが平日の朝、4時30分から7時45分まで放送している「おはよう日本」というニュース番組がありますが、その2019年12月11日(水)6時36分から43分の「おはBiz・Eyes on」コーナーの中で、伊那食品工業が取り上げられていました。

この会社は「かんてんぱぱ」ブランドの様々な寒天製品を製造・販売していますが、その経営理念が話題になっているそうです。

放送は高瀬耕三アナウンサーの「今朝は大企業が手本に!“年輪経営”。聞きなれない言葉ですね」、関口博之キャスターの「長野県(伊那市)の寒天メーカーの最高顧問の塚越寛さんの経営理念なんですけれど、それを学ぼうと会社には大手企業の視察も相次いでいる、その年輪経営について伺いました」から始まります。

それから「従業員およそ500人、シェア80%を誇る寒天メーカーです。(この会社が掲げる)年輪経営とは、いたずらに規模を拡大せずに樹木が年輪を重ねるように、ゆっくり永続的な成長を目指すという考え方なんですね」と続きます。

関口さんの「急成長はかえってよくない?」の質問に、塚越顧問は「急成長が続けばいいんですよ、未来絵永劫に。(しかし)絶対にないですね、それは。それに急成長の後には急激な下降もあるから、その時にリストラとかいろんな問題が起きてくるわけですね。そういうことがないようにすることで、いい世の中になるのではないかという希望があるわけですよ」と答えておられます。

この後、関口さんによる次のような説明があります。

・年輪経営では事業の拡大より、社員の幸せの実現を一番の目標に掲げています。

・社員が安心して働けるように、終身雇用・年功序列を維持し、リストラも行いません。

・特に大切にしていることは、社員のモチベーションを高めることなんです。

(例えば)伊那市は、冬の寒さが厳しい地域。そこで、社屋には床暖房を整備しました。また、休憩時間にはおやつを支給。社員旅行も豪華で2年に一度は海外旅行に出かけています。

・こうした施策に社員は「ありがたいプラス頑張らなくてはと感じます」となり、社員の自主性が高まり、活発な議論が生まれ、新たな商品開発にもつながっています。

・(これによって)大きな市場拡大のない業界にあって、長年増収増益を達成しています。

・こうした経営論を学ぼうと、トヨタ自動車の豊田章男社長、そしてパナソニックといった大企業から講演依頼も相次いでいます。一見、古い日本的経営に見えるんですけれども、逆に今大切にすべきヒントがあるのではないかと皆さん考えるようです。

関口さんの「年輪経営を参考にしたいといって訪ねてこられる企業が最近多いと?」の言葉に塚越顧問は「価値観の変化が始まったと思うんです。私は、生産性とか、お金、成長そういったものだけではない、価値観が生まれつつあると思います。“マネーイズハピネス”というような、ちょっと早とちりがあるが、決してそうじゃない。幸せはもっと違う形だろうと私は思っています」とおっしゃいます。

また、塚越顧問は「思いやりを持った経営者であるべき。社員の幸せを達成しないと自分の幸せもないと思っていますのでね」とも話されています。

関口キャスターは最後に「塚越さんの考えは、会社の利益はそこそこでいい。でも社員の幸福度は最大に!こういうことなんですね。目先の利益を追う経営に疑問が持たれる時代だけに、今、改めて注目されているようです」とまとめられています。

(聞き取った内容の前後を入れ替えた箇所があります。また、間違いや誤解などがありましたら、ご容赦のほど、お願いいたします。会員№102 中村記)