ミャンマーの風鈴

投稿日: 2016/08/04 1:31:24

鳴子数を増減できる真鍮製の風鈴

世界三大仏教遺跡の一つであり、仏塔(パゴダ)が林立するミャンマーのバガンを調査した際、道端の露店から聞こえてきた涼しげな音色に惹かれて入手した風鈴をご紹介します。

真鍮の厚板から同じ釣鐘形の鳴子をいくつも作り、それぞれの頭頂部に穴を開けて細いひもを輪にして通し、他の鳴子の両端部に吊り下げます。このように次々と吊るしていく鳴子の数さえあれば、限りなく大きな風鈴を形づくることができます。そして、一番上の鳴子を軒先などにかければ、その下に吊るされた鳴子が風に揺れて互いに接触し、チリンチリンと澄んだ良い音を奏でてくれます。もう定かではありませんが、昔見た外国映画の一場面で、この風鈴が吊るされていた記憶があるので、知る人ぞ知る、隠れた名品なのかもしれません。

(写真は、バラバラにした鳴子と風鈴にして吊り下げた様子で、太線の格子は5cm間隔です)

また、一番上に掛ける一回り大きい鳴子もありますが、すべてを同じ大きさの鳴子にした風鈴でも、その音色の美しさには変わりがありません。さらに、吊り下げる高さやスペースに応じて鳴子の数を増減するとか、いくつかの風鈴に分割して様々な場所に吊るすことなども容易です。

これらの鳴子の両面にはミャンマーで性格や吉兆などの占いに用いられる八曜日を表す動物の絵柄が彫金細工されており、素朴で味わい深いものになっています。余談ですが、この八つの曜日には、固有の方角、星、守護動物が決められていて、人が生まれた日の曜日に当てはめるようになっています。因みに、日曜は太陽、北東、ガルーダ(鳥)、月曜は月、東、トラ、火曜は火星、南東、ライオン、水曜の午前は水星、南、牙のある象、水曜の午後はラウ(架空の星)、北西、牙のない象、木曜は木星、西、ネズミ、金曜は金星、北、モグラ、土曜は土星、南西、ナーガ(ドラゴン・竜)です。なお、これらの動物は、画題としてもポピュラーなようで、写真の布絵では、中央に仏陀を据え、左上のガルーダから時計回りにトラ、ライオン、牙のある象、ナーガ、ネズミ、牙のない象、モグラの順に描かれています。

(この布絵は、約60cm四方の大きさです。会員№102 中村記)