Post date:Dec 29, 2020 10:31:43 AM
角番で令和2年度の製図試験に合格した者です。
箇条書き形式で合格までのことをまとめてみました。これからのお受験に向け、ご参考にしていただければ幸いです。
■ 合格に至るまでの経緯
□ ~2014年 : 毎年受験申し込みはしましたが、仕事と受験勉強のバランスを保つことができず、受験料を無駄にした時期を過ごしていました。
□ 2014年 : 最初の学科試験を受験しました。しかし法規が合格基準点を超えず、不合格となりました。真剣に受験されている方には大変失礼なことを申し上げますが、線引をしていないまっさらな法令集で試験に臨んでいました。
□ 2018年 : 4年ぶりに学科試験に再挑戦しました。法規がまた足を引っ張りましたが、構造で点数を稼ぐことができ、かろうじて学科試験に合格しました。製図試験の対策としては、職場の合格者たちにならって、何も考えず大手資格学校に通いましたが、1ヶ月経った時点でドロップアウトし、試験会場にも行きませんでした。
□ 2019年 : 台風19号の影響で12月に延期された製図試験を受験しましたが、ランクⅡで不合格となりました。当初の予定日に合わせて仕事を調整していたことや同僚の離脱の影響で、10・11月はなかなか再試験の準備をすることができず、不合格へとつながりました。
□ 2020年 : 台風14号が本試験の日に上陸する恐れがありましたが、奇跡のUターンをしましたので、無事予定日に受験し、合格しました。
■ フォーラムを選んだ理由
□ 資格学校の一貫しない指導内容についていけなかったため
(教室に4人の講師がいて、ある課題では講師たちのエスキスを見せてくれたのですが、それぞれ全然異なるものでした。復元法の立場からするとありえないですね)
□ 資格学校の朝早くから夜遅くまで気合で乗り切る雰囲気についていけなかったため
□ ウェブ検索で偶然に出会ったフォーラムの体験談が非常に魅力的で、“復元法”というものの正体を突き止めたかったため
■ 復元法について
課題文に示された条件を復元法という公式に代入すると答えが返ってくるイメージです。
この公式は、適用タイプが低層階か基準階かで最初の分岐があるものの、その以降はどの課題に対しても同じ内容なので、公式通りに解けば、“いつものような”エスキスが完成します。
本試験にはサプライズが用意されているとよく聞きますが、それも公式に代入する条件に過ぎないので、課題文の読み取りからエスキスの完成まで、“いつものような”ことができていれば、合格へつながると実感しました。
■ フリーハンドについて
先生からフリーハンドを勧められて、最初は、えっ?マジで?と思いましたが、本試験の緊張の中、誰よりも濃い図面を仕上げるためには、いかに作図のストレスを減らすことが重要で、このフリーハンドだと、練習を重ねれば腕一つだけで思ったことをすぐ描けるので、ストレスがたまりません。
ただし、定規で引いたようなまっすぐな線は引けませんが、それよりも濃い図面を仕上げることに注力してください。フリーハンドの濃い図面が出来上がると、手書きの図面としての全体の印象がアップし、線のまっすぐさはもはや気になりません。
シャーペンの持ち方についてですが、文字を書く場合はいつもの持ち方をし、線を引く場合は親指の付け根にシャーペンを当て、シャーペンを包むような持ち方をして、手の震えの影響を軽減するように対応しました。緊張して手が震える方は、時間をかけてご自身に合った安定した持ち方を探し出してください。
なお、フリーハンドは体調に左右されます。体調が優れないときのフリーハンドは結構苦痛ですね。本試験までに体調管理をしっかり行うことも大事です。
■ 本試験当日の話
□ 試験会場を見渡した限り、全員が製図板を持っていましたので、製図板無しで試験に臨んだのは私だけだったと思います。
□ ですが、机の奥行きが短く、製図用紙がはみ出すなど、よい作図環境ではありませんでした。心配な方は製図板の持参をおすすめします。
□ 下書用紙(エスキス用紙)を1/4に折ってA2をA4サイズにしてからエスキスを始めました。“いつものような”エスキスなら、A4サイズで十分です。
□ 課題文の読み取り開始からエスキスの完成まで約40分かかりましたが、すんなりエスキスができたことと、課題が例年に比べやさしいと感じたことから、今年は競争率が上がりそうな気がして緊張感が増してきました。
□ 試験終了の時刻で課題文の最終チェックと図面の書き込みが十分ではないことで挫折しそうでしたが、終了時刻を過ぎても会場に何も起きないことがおかしく、前方の黒板を見つめると終了時刻が18:30と書いてあるのではありませんか。緊張のあまり18:00と思い込んでいたのです。30分のボーナスタイムを若干空行が目立つ記述の方に使おうかなと思いましたが、とある大手資格学校の図面:記述の点数配分=6:4に対して、“4時間かける図面と1時間かける記述がこの配分になるはずがない”と以前先生の放った言葉を思い出し、図面の書き込みと課題文の最終チェックに残りの時間を当てました。その結果、今まで見たことのない濃い図面を仕上げることができました。
□ 各作業を通して行ったわけではありませんが、本試験は、課題文の読み取り及びエスキス40分、記述1時間、作図4時間20分、課題文の最終チェック30分の配分で行いました。
■ 製図用具について
□ シャープペンシル
・ パイロット ドクターグリップ0.5mm : 一般にこちらを使用
・ パイロット ドクターグリップ0.7mm : 壁を描くときに使用
(0.7mmは国内で販売されていないため、逆輸入品をアマゾンで購入しました)
・ ぺんてる マークシートシャープ1.3mm : テンプレートで柱を描くときに使用
・ いわゆる製図用のシャーペンは使っていません。ご自身のフリーハンド作図に適したものを使うなら何でも良いと思います。
・ 芯は、0.5・0.7mmはB、1.3mmはHBを使用しました。雨が降る日は製図用紙が湿気を含み、濃さが今ひとつかもしれませんが、本試験に配られる紙はサラサラなので、Bの濃さで十分だと思います。私の場合、2Bでは結構図面が汚れました。
□ 消しゴム : トンボ鉛筆 MONOダストキャッチ
□ テンプレート : 資格学校の青いテンプレート
□ 定規 : 100円ショップの30cm定規(寸法線を描くときや急いで直線を引くときだけ使用しました)
□ 製図用ブラシ(資格学校のときに買ったもの)
□ ストップウォッチ : dretec 学習用デジタルタイマー
□ パイロット フリクションカラーズ 黒色(課題文の最終チェックに使用)
□ 以上が試験会場に持参したもので、リュック一つだけ背負って会場に行きました。
□ 製図用紙 : レモン画翠 A2建築士試験練習用紙(10枚当たり500円程度のリーズナブルな価格なのでよく使用しました)
□ エスキス用紙 : コクヨ キャンパス ルーズリーフA4 5mm方眼罫
□ その他
・ 電卓 : アスカ Asmix C1234B(1000円未満の安価なもの)
・ 手袋 : 図面汚れの防止のため試してみましたが、感触が馴染まず本試験まで使いませんでした。
・ 製図板 : 試験会場に身軽な格好で行きたかったため、使いませんでした。
・ 座布団 : 試験会場は大学の大きな講義室が大半ですが、椅子が結構硬いです。私は持参しなかったため、試験後半は体に蓄積された疲労感との戦いでした。座布団があれば、もっと楽に試験に臨めたと思います。
■ 記述について
□ 課題は異なりますが、資格学校のときにもらった回答例を暗記して、自分の言葉として書き直す練習を繰り返しました。
□ ゼロからはじめる「~」シリーズ(原口秀昭著)の設備編や計画編を持っていましたので、これらを読み直して記述のネタを増やしました。この本、漫画になっているのでとても読みやすく、著者が大学教授なので、内容も信頼できると思います。
■ 最後に
私はフォーラムを受講して合格まで2年もかかってしまいましたが、欠席せずしっかり受講して、“いつものような”ことを繰り返していけば、1年で合格を掴み取ることができると思います。
(フォーラム受講1年目は出席率が80%未満でした)
資格学校の雰囲気や指導内容についていけず、途方に暮れていた私にフォーラムは救世主でした。
小林先生、2年間大変お世話になりました。本当にありがとうございました。