設計してはいけません!

Post date: Dec 31, 2013 12:14:12 AM

この試験を受け始めたのが平成15年で、製図だけだと今回で8回目になります。

大手資格学校2校で教えを受け、頑張っても頑張っても結果は不合格・・。

1回目、2回目がランクⅣで3回目以降はⅡとⅢを行ったり来たりでした。

1年目、2年目くらいまではエスキスの手順を追うのがやっとで、3年目くらいからやっと一通りの手順が身についてきました。

しかし何課題もの問題を解くうち、この頃くらいから勝手なルールのようなものが出来上がってきていました。

さらに講師からの指導で、こうした方が「ベター」と言われたことが自分の中で「マスト」になり、色々なルールでがんじがらめとなり、最初の頃よりエスキスが出来なくなっていました。

エスキス用紙は失敗した何パターンもの1/400エスキスで埋め尽くされ、あらゆるパターンを検討した結果、最初のエスキスに戻るということは頻繁でした。

講師に「割り切りが必要!」と言われ、減点覚悟の割り切りをすると「割り切り方が違う!」と言われ「木を見て森を見ず」なんて言葉は何度も言われましたが、具体的な打開策はさっぱり分かりませんでした。

2時間30分は必ずエスキスに時間がかかってしまうので、その分記述や作図のスピードを上げるしかありませんでした。

しかし、どんなにスピードを上げてもエスキスが周囲より遅れる焦りは後の作業に影響し、ミスを連発する要因となっていました。

何度受けても結果が出なかったため、学科の免除がなくなったらこの資格から潔く足を洗おうと思いました。

そして今までと全く別の環境で勉強しなおそうと思ったのが、建築士フォーラムにお世話になるきっかけでした。

建築士フォーラムの決め手となったのは合格率の尋常ない高さと、1講義3時間 講師とマンツーマンということでした。

大手学校では講義の時間は長いものの、講師と直接向き合える時間は30分あるかないかでしたので、これはとても魅力的でした。

合格体験記も大変説得力があり、もしかしたらこの先生ならこんな私でも合格に導いてくださるのではと思い、迷いなく受講を決意しました。

そして最初に先生が言われたのが

・エスキス1時間

・作図はフリーハンド

体験記を見て分かってはいましたが、やはりありえないと思いました。

問題の読み込み、ゾーニング、ボリューム出しとかで既に1時間かかってるのに、ただでさえ人より遅いのに、すべてを1時間だなんて見落とししまくりなのではと。。

作図も平行定規で2時間30分で書けるのに、なぜフリーハンドにするのかと。。

それにフリーハンドは最終手段だと教えられてきましたし。。

初めてのフリーハンドは余裕で3時間を超え、線は汚く曲がり、元来の不器用さも手伝ってそれはもう本当に酷い有様でした。

書いても書いてもスキルアップしない自分にうんざりし、平行定規に逃げたいという気持ちになりいつか先生もあきらめて平行定規で書きなさいと言ってくださる日が来るかもと、かすかに期待をしたりもしました。

(結局そんな日は来ませんでした)

心折れる度にフリーハンドで書く理由を何度も何度も教えて頂き、汚いながらも最終的には2時間30分で書けるようになりました。

そしてフリーハンドで書くと、細かいミスや見落としが減ったのが分かりました。

エスキスの手法に関しては本当に不思議としか言いようがありませんでした。

確かに先生と一緒にエスキスするとあっさり1時間以内で終わるのです。

しかし自力でやってみると、結果はいつもの2時間30分超え・・。

そのたびに「あなたは設計をしている」と言われました。

図面から文章化されたものをまた図面として復元する。

とてもシンプルなことですが、すっかり捻くれた頭にはこれがとても難しく、

培ってしまった「固定概念」が、エスキスするたび発動し、それを払拭するのにはかなり時間がかかってしまいました。

それでも何度も先生の講義を受けるうち、意味のない拘りがどこかが何となく分かってきてエスキスのスピードもあがってきました。

講義も後半に入った頃、提出した作図を先生と一緒に問題文と照らし合わせて見直しする時間がありました。

小林先生の見直しのチェックはとても細かいもので、課題文の一言一句も見落とさない感じでした。

「計画に当たっての留意事項」など、読み流ししてしてしまいそうな所も

図面や記述のどこに図示したかを聞かれ、言葉に詰まってしまいました。

具体的な表現方法を細かく指導されていくうち、全て見直ししたと思っていたのは完全な思い込みで、都合の悪い所を採点者の判断任せにしていたことに初めて気が付きました。

そんな事もきっかけとなり、試験に対するスタンスがこれまでと全く変わってきて、本試験は 淡々と復元し、それを確実に表現する という姿勢で臨みました。

試験当日はあまり緊張もせず、エスキスは1時間15分くらいで終わりました。

過去の自分だとここからさらにプランを詰めるところですが、一通り見落としが無いかを確認し、作業を先に進めました。

エスキスが短縮出来たおかげで、記述は丁寧に書くことが出来ました。

ここまでは良かったのですが、いざ作図に入ると慣れない空間、狭い机間で、なかなか作業が進まず、曲がった躯体の線を消しては また曲がった線を描くという無駄な作業に時間を費やした結果、下手なフリーハンドがさらに下手になり、最終的にはこれが自分のものとは認めたくない図面が出来上がってしまいました。

そこまでやって残り15分となってしまい、今年もダメじゃん、と思いましたが最後の足掻きで先生に言われた、要求されていることは全て示してくるというのをするべく、見直ししながら図面に補足を書き込みました。

具体的には、建ぺいオーバーしていないアピールのために、断面図の屋根の出の部分に1mと寸法表示し、さらに注意書きとして「庇の出は全て1mとする」と記入したり平面図の吹き抜け部分や廊下幅などパッと見で分かりにくいところには寸法を記入したり、記述との整合性を高める書き込みをしたりと必死のアピールをしてきました。

結果、手応えを感じることは出来なかったものの、見落としや凡ミスも大して思いつかず、発表までの日を過ごしました。

ただあまりに図面が汚かったのと、見直しも完全とはいきませんでしたので落とされる覚悟はありました。

そして結果発表の日、合格者のなかに遂に自分の名前を見つけることが出来ました。

悔しい思いを何度もしてきてやっと手に入れた合格ですが、不思議と喜びの感情はあまり湧いてきませんでした。

時間が経つに連れ感じているのは、周囲への感謝の気持ちと、底なしの開放感です。

久々にブルーじゃないクリスマスを過ごすことも出来ました。

私のように何度もトライしているのに結果が出なくて悩まれている方は、フォーラムで新たな合格へのアプローチ方法が見つかるのではと思います。

また初受験の方にとっては固定概念がない分、小林先生の手法を素直に手に入れることが出来るのではと思います。

常に頭の片隅から決して離れず、うっとおしいほど頑固な存在だった「建築士試験」から解放してくださり、こんな不器用で、大手学校でも匙を投げてしまうような私を合格させてくださった小林先生には言葉にならない程の感謝の気持ちで一杯です。

稚拙な文章で分かりにくくて申し訳ないですが、これから試験を受けられる方の参考に少しでもなればと思います。

本当にありがとうございました。