29. 2017年 新入生ガイダンス挨拶

新入生の皆様、千葉大学薬学部へのご入学おめでとうございます。学部を代表して一言お祝いを述べさせて頂きます。

新入生の皆様は、それぞれ大きな夢を持って薬学部に入学してきた事と思います。社会のなかで薬学部卒業生の活躍の場は極めて多様です。大学・研究所や製薬企業での薬を作る研究者として、病院や調剤薬局など医療現場での薬剤師として、薬事・医療など行政の場での薬の専門家として、社会の広い場面での活躍が期待されています。

薬学部に学ぶ皆さんは、講義と実習を通じて、このように薬の専門家として、社会の要求に応えられる知識と技術を身につけることになります。医療技術の進歩が著しい現代で、優れた医薬品の開発とその適正使用について、薬学部卒業生に対する社会の要求と期待は、ますます大きくなってきています。このように、将来、大きく社会に向かって羽ばたくために、学部在学中ではその基礎をしっかり固めることが大切です。

すでに、ご存じのように、本学部は、高度な薬剤師養成を目的とした6年制、定員40名の薬学科と、創薬および生命科学の研究者、技術者養成を目的とした4年制、定員40名の薬科学科の2学科があります。2学科への進学振り分けは、2年次から3年次への進級時に行われます。

医療の場における薬剤師は、これまでになく「薬の専門家」として医療チームの中で重要な役割を果たすことが要求されており、そのため、6年制の薬学科では、病院と薬局での実務実習を含むカリキュラムが組まれています。6年制の薬学科を卒業すると、薬剤師国家試験の受験資格が得られます。一方、4年制の薬科学科では将来、研究者として活躍するために、基礎学問に加え創薬科学や生命科学を学ぶカリキュラムが組まれています。薬科学科卒業後に大学院に進学する学生は、4年次の夏頃に大学院入学試験を受けることになります。

私からのお願いは、新入生の皆様には、1〜2年次では薬学の専門分野ばかりでなく、人文科学、社会科学、自然科学を含めた幅広い分野に興味を持ち、学んで欲しいと思います。このように、自分の将来の専門に必ずしも直結しない分野を少しでも広く学ぶことは、将来どのような道に進んでも必ず必要とされる、人間性の豊かさや、人間としての懐の深さにつながります。また、当然ですが、薬学の基礎分野もしっかり学んで下さい。他の学部と比べて薬学部の履修内容は幅広く、密度が高いことは事実ですが、1〜2年次で学ぶ基礎がしっかりしていればどのような応用も可能です。

最後に、これから4年間または6年間、いま同じこの教室にいる同級生と過ごすことになりますが、大学で得た友人は、自分の将来の職業に関係する一生の大切な友人になりますので大事にして下さい。同級生同士が近い職業にいるという意味で、今までの小中高の友人とは異なり、長いお付き合いなるでしょう。大学での友人は、今後の長い人生でお互いに困った時は助け合い、励まし合う仲間になります。

最後に、皆様がこれから充実した大学生活を送られることを期待いたします。

千葉大学 薬学部長 齊藤和季

平成29年(2017年)4月4日