- セミナー、共同作業開始などの集合時間を守る。
- 共同で行う作業(掃除、機器類の廃棄・移動など)はみんなで協力して行う。
- 試薬は常に「試薬カード」に記載された場所に清潔、整頓して置いておく。また「試薬カード」にない新しい試薬を購入したらカードに記載して登録する。
- 共通試薬類(buffer、培地など)のラベルには、試薬名、必要ならば組成、作成日、氏名を記入する。オートクレーブした試薬は「オートクレーブテープ」を貼っておく。
- アイソトープやキット類が入荷したら「プロダクトホワイトボード」に、入荷日、製品名、ストック場所(冷凍庫の場所など)、氏名、を記入する。
- 常備試薬・物品はあらかじめ余裕を持って注文する。(発注から納品まで通常1~2週間かかる)
- 共通器具は常に清潔に保ち、整頓しておく。そのためには、使用者は、使用後必ず掃除をすること。
- 共通器具類の担当者は当該器具のメインテナンスに責任をもつ。
- はじめて使用する機器は、まず「使用説明書」をよみ簡単な機械の動作原理を理解してから使用すること。
- ごみ、空き瓶などは指定された方法に従って分別してすてる。
- 有害廃棄物は指定された区分に従って廃溶媒タンクにすてる。
- 組み換え体生物(大腸菌、アグロバクテリウム、トランスジェニック植物など)はオートクレーブしてから指定された方法に従って廃棄する。
有効に実験を進めるためには、次のような日常的な作業を効率よく行うことが必要である。
1.考えること
(以下のことのイメージトレーニング:仮説の設定、実験の準備、遂行・段取り、そこで進行する化学的・生物学的現象、実験結果の解釈、仮説の検定・訂正)
2.手を動かすこと
(実験の準備、実施、後かたづけをすること、実験ノートを取ること、結果を発表できる形にまとめること)
3.ディスカションすること
(仮説と実験のデザイン、方法、結果の解釈などについて共同研究者とディスカッションすること。毎日だれかれに相談しディスカッションするオープンマインドな姿勢が大事)
4.読むこと
(関連文献を読むこと、実験プロトコールを読むこと)
5.書くこと、発表すること
(学会要旨、発表原稿、論文を論理的な筋道で書いて発表すること)
実験ノートは最も重要で一次的な研究情報であり、実験者以外の人がその実験ノー トを見て実験を再現できなければならない。実際に、何年か経てから他の人が実験ノートどおりに追試したことがある。また、最終的な研究のプライオリティー やパテントは、新しい科学的な事実が標準的な方法によって記載された実験ノートの日付によって与えられる傾向もある。従って、実験ノートを常に傍らに置 き、毎日、研究に関するすべてのことを簡潔に漏れなく記載しなければならない。1日の研究に費やす時間の内10-20%前後がノートに書くこと(ノートを書きながら考えることも含めて)に当てられる。
- 年月日
- 当該実験の立案、討論の内容、仮説
- 試薬の名称、カタログ番号(場合によってはロット番号)、分子量、純度
- Buffer類の調製法
- 反応液の組成(実際にいれたvolumeと最終濃度、サンプルチューブのラベル)
- 温度・時間
- 測定機器の条件
- 結果
- 考察、仮説の修正、結論
- 黒のボールペンで決められたノートに記載する。鉛筆は使わない。また、間違ったところは修正液を使わず、線を引いて修正する。大きな余白は斜線を引いておく。
- 色鉛筆やカラーマーカーを使ってわかりやすく記載する。
- ゲルの写真、クロマトグラムなどのデータも必要な部分だけを切り取りノートに貼ること。ゲルの写真の場合は各レーンのサンプル、サイズマーカーのload量を写真の上に明示する。
- DNAサンプルなどは年月日、サンプル名(濃度)、名前を小ラベ ルに書き、スコッチテープでサンプルチューブに貼りフリーザーに保存すると同時に、ラベルに記載した通りのことをノートに記載し、保存場所を明示する。こ れにより実際のサンプルとノートの記載が一対一に対応できる。
- 一連の実験を整理したデータ、仮説、結論、まとめなどもノートに記載する。
- 卒業するときは、実験ノート、データを整理してひとまとめにして研究室においていく。許可を得て自分のためにコピーを持っていることはもちろんかまわない。
- 文献は休日などにまとめて関連文献を5〜6報づつ読んでいくと能率が上がり身に付く。特に、関連文献はまとめて読むのがよい。特定領域にすばやく精通できる。特に同一グループから出されたの一連のシリーズものなどはまとめてよむ。
- 論文を読み始める前に当該論文をよむ目的を明確にしておく。自分の実験結果との対比をしたり解釈をするためなのか、新しい研究展開のアイデアを得るためなのか、単にある実験技術を応用するためだけなのか。
- 自分の研究に非常に近い大事な論文はすみからすみまで丁寧によむ。自分の実験を進めながら間をおいて何回か読み直すことも必要である。
- 一報の論文を読み始めたらできるだけ短時間で最後まで読み通す。
- 本文中大事なところはカラーマーカーや色鉛筆で印をつける。読み終わったら、論文コピーの1ページ目の上の空欄に色鉛筆、色ボールペンなどで当該論文の要点をメモする。これが非常に大事な作業である。後々必ず役に立つ。
- 複雑な内容の論文であったり、論文の背景を知る必要のある場合 は、上記の要点メモだけでは足りない。その場合は、A4の別紙(升目のあるレイアウト用紙がよい)に必要事項をまとめる。論文の背景、実験手法、結論への 論理構成、ディスカションの展開、問題点、など。この用紙は論文コピーとともにファイルする。
- 論文の著者一人一人に思い(?)を馳せる。同一グループからの一 連の論文には一貫した思想や手法の流れがあり、次にでてくるであろう論文もその流れの中にあるはずである。研究はスーパーマンやテレビドラマの主人公が やっているわけではなく、結局私たちと同じ一人一人の生身の人間の所産である。
- 読み終わった論文はまず内容項目で分類し、同一項目内は発表年順に新しい論文を上にして整理する。ばらばらにしないため、必ず2穴のバインダーでとじる。
- そのため、コピーは左側をあけてとり、左上をホッチキスで1カ所とじ、A4の冊子型とする。コピー冊子の1ページ目は論文の第1ページがくるようにする。きれいで鮮明なコピーをとること。コピーのコピーはやむを得ないとき以外にしない。原報からコピーする。
- 論文読みの手抜き(?)の仕方:限られた時間にたくさんの情報を 得ようとするとき、以下のような段階的な効率化の方法がある。(1) タイトル、著者、アブストラクトだけ読む、(2) (1)に加え図、表を見る、(3) (2)に加え序論をみる、(4) (3)に加え結果あるいは方法の必要なところだけ見る、 (5) (4)に加えディスカッションなどの残りを見る(すべて見たことになる)。
- 学会や論文発表の形式は決まった形がある。自分勝手なやり方は決して通用しない。はじめての発表は過去の形式を忠実にまねるべし。
- 学会の数カ月前に要旨を提出することになるが、要旨は関連する研究の前回までの発表要旨をよく見てから書くこと。その形式も参考にする。研究は連続している。
- 自分のデータを整理して図や表とし、それらのアイテムをもとにストーリー(論理)構成を考える。この段階では手書きでよい。古いデータとの整合性に注意する。
- データ中身を一つ一つをチェックしながら、手書き原稿をもとにアイテムをワープロに入力する。
- ポスター発表では、Abstract, Introduction, Materials and Methods, Results, Discussion (またはResults and Discussion), Conclusions, References に分けてテキストを書く(前回の発表を参考にしながら。まず、手書きそれからワープロへ。論理的な日本語で!)。これらに図表などのアイテムが加わる。
- 写真などは早めに作る。(自分は急がせても、写真屋は急がせられない)
- 1枚の図表(スライド)には1つのことだけを書く。また、同じデータは一度だけしか提示してはならない。
- 図表のタイトルの付け方、脚注の付け方、文献の記載の仕方、などは当研究室から発表されている論文を参考にまねする。(自分勝手の付け方をしない)
- ポスター、OHP、スライドの字はゴシックやヘルベチカのように太い字を使う。ポスターではA4紙に18ポイント以上で書く。スライドではそれ以上のポイントで。
- 発表原稿を書く。論理的な日本語で!特に口頭発表では、目的、実験、結果、結論の論理の筋をすっきりさせる。
- 発表の練習をする。口頭発表では暗記し、ポインターで指し示す練習もする。言いにくいところは言いやすい言い方に変える。通常、10分の講演ならば5回位練習すれば暗記できる。メリハリの利いた声で。
- 想定質問を考え、その答えを用意する。グローバルな質問から、実験の細部まで質問されそうな点を入念にチェックする。学会発表の神髄はこのディスカッションの時にある(眠っている人も目を覚ます)。
- 学会が終わったら質問された点をチェックする。外部からの批判を受け入れ反映させることは自らの向上には最も重要な不可欠の作業である。また、何度も同じ質問をされることも多い。