☆最近気のあった人たちとアルコールがはいると出てくる話題がある。それは、研究のスタンダードをいかにして高くするかということとそれにともなってその研究分野に果たす責任のあり方である。今号のオピニオンに模倣から創造へ転換すべきという一文を戴いた。まことに首肯する内容である。大きな創造にたずさわる人は充実した責任感に満たされることであろう。広い意味での創薬についても、明治以来の模倣、改良をむねとした製薬的な考え方から、創造としての創薬的な考え方に移行しなければならないし、その時期にきているのであろう。
☆セミナーでは薬用資源の確保と均質化のためのミクロ増殖の解説を戴いた。地球的規模での環境破壊によって、35億年にわたる生命の歴史の遺産である遺伝子生物資源が急速に失われつつある。われわれの目に未だ晒されていない未知の潜在的薬用資源の遺伝子、細胞、個体のレベルでの確保は、経済成長を遂げた日本の薬学会としての国際貢献と考えなければならないだろう。
☆研究室の壁や実験台のペンキ塗りを毎士曜日にやっている。文部省や大学本部から老朽化の調査は来ても改善はいっこうに進まない。一方企業の研究室は仕事の環境の快適化をますます進めている。このままでは、大学の研究室をのぞいただけで誰一人そこに残って研究をしようとは思わなくなるだろう、というせっぱ詰まった危機感から始めたものだ。誰だってきれいな気持ちのいい環境で仕事をしたいと思うのはあたりまえのことだ。デシジョンメーカーがそのことに早く気がつくべきなのだが。
(K・S)