◇「創薬」という響きのいい言葉が流行しています。これに較べて「製薬」という言葉は古めかしく響きます。編集子は「製薬化学科」を卒業しましたが、いまだにその学科名が「創薬化(科)学科」に変更になったとか、新設されたとかという話は聞いていません。
◇これからの大学での薬学の研究と教育は大きく二極化しつつあるように思います。一つは医療の現場に近い専ら薬剤師としての職能教育と研究であり、もう一つは「製薬」よりむしろ「創薬」の基礎研究と教育であるように考えられます。その中で「創薬」という大木の種子となる資源の研究が忘れられてはならないと思います。
◇しかし、この創薬資源の研究はあまりに実際の医療に遠く一見無駄に見える研究も多いため、この分野の研究者はこの薬学の変革期に声高に自己主張していません。また、自らの立場に安住している様子もあります。これは、薬剤師職能教育系の人たちあるいは創薬でもより最終的な薬に近い人たちの活動性とは対照的です。
◇ファルマシアの名目上の読者は二万人を超えています。しかし、会費を払い会員となれば自動的に郵送されるため、半分押し売りのようなものです。そのうえ、編集は商業誌の編集経験のうすいファルマシア委員によっているとなれば、これはもう正真正銘の押し売りです。二万人の人が書棚の奥にしまう前にあるいはごみ箱に捨てる前に1分でも長く開いて「あまりまともに読まないけれど、たまにはおもしろい記事もあるな」というファルマシアにしたいと思います。
(MAES)