私は、このCDの最初の曲マーラーの交響曲第五番、第4楽章「アダージェット」を
初めて聞いたとき、「世の中にこんなに美しい曲があるのか?」と、驚きました。
そして、その時がJAZZ一辺倒だったこの私が、初めて「クラシック音楽」を本気で
聴きたいと思った瞬間です。
良いものには瞬間に心を打たれます。竹内まりやの「駅」を聞いたとき、井上陽水
の「傘がない」を聞いたとき、コルトレーンの「至上の愛」を聞いたとき、NHKの
名曲アルバムで「アルビノーニのアダージョ」を聞いたとき(このときは、”ハ~、
ビバ・アメリカ~(^^♪”とハミングしていました。だって似てますもんねぇ。)。
音楽だけに限らず、絵画(藤田嗣治やクリムト、フェルメール、不染鉄などなど)、
彫刻(高村光雲、無名の根付け作者など)、陶磁器(魯山人など)、良いものには
心を打たれます。そうそう、書を忘れてはいけませんね。私が初めて見てその瞬間
に心を打たれた書は(ありきたりかも知れませんが)、歐陽詢の「九成宮醴泉銘」
でした。その書風がイメージできない人のために、ここに拓本から採取された文字
を貼り付けておきます。こんな書体です。清和秀潤な風格があると評されています。
実に格調高い書ですよね。「成」という字なんか、こんな斜めの「そり」、相当思
い切りよく上方から打ち込まないと書けませんね。どの文字を見ても風格があり、
威厳を感じます。相当な人格者でなければ書けない字だと思います。
(画像をクリックすると拡大画像が見れます。)
そして、もっと驚いたことに、まさにこの書風を常日頃からメモ帳にさらさらと書
いて議事録などを作る後輩がいたことです。彼は、自分の名前に係る面白い話を聞
かせてくれました。一度聴いたら絶対忘れない話です。4人も女の子が続いた彼の
ご両親は、こんど、5番目に生まれてくる子もきっと女の子だろうということしか
頭になかったらしく、どうやら5番目の女の子ということで「正子」という名前を
考えていたらしいのですが、そこへ、あにはからんや、急に男の子が生まれてきた
ものだから、そのまんま「正好」になってしまったという事でした。(笑い)
風格といえば、たったの一文字で圧倒される文字もあります。空海の書いた「風信
帖の『風』」という文字です。一文字の『風』の画像がないので、全部載せます。
このように、圧倒的な「美しさ」や「威厳」や「神聖さ」や「癒し」や「安らぎ」など
を感じられることが、芸術作品を本当に理解できているということの証なのではないか
と思うのですが、どうでしょう?(JAZZの場合はスウィングやビート感も入って来る。)
さて、思いっきり話をブッ飛ばしてしまいましたが、元に戻しましょう。
このCDには、クラシック音楽の神髄と言っても良いような曲ばかりが収められて
います。クラシック音楽を「好きになりたい」と入門を目指すならば、このCD1枚
で十分ではないかと思います。どれもこれも、素晴らしい曲ばかりです。
https://www.youtube.com/watch?v=kgedZo2ZjIE
Tracklist
0:00:00 - 01. Gustav Mahler: Symphony No.5 in C sharp minor: IV. Adagietto (Sehr Langsam) 0:11:58 - 02. Johann Pachelbel: Canon And Gigue in D Major, P 37: I. Canon
0:16:10 - 03. Jules Massenet: Thais, Acte Deux: Meditation
0:22:15 - 04. Johannes Brahms: Symphony No. 3 in F Major, Op. 90: II. Andante
0:29:57 - 05. Antonio Vivaldi: Sinfonia for Strings and Continuo in B minor, RV169 'Al Santo Sepolcro': I. Adagio molto
0:33:28 - 06. Edvard Grieg: Peer Gynt Suite No.1, Op.46: II. The Death Of Aase
0:38:08 - 07. Wolfgang Amadeus Mozart: Divertimento No.15 in B Flat Major, K.287: IV. Adagio
0:45:35 - 08. Tomaso Albinoni: Adagio for Strings and Organ in G minor
0:55:44 - 09. Ludwig Van Beethoven: Symphony No.7 in A, Op.92: II. Allegretto
1:03:48 - 10. Johann Sebastian Bach: Suite No.3 in D, BWV 1068: II. Air 1:10:26 - 11. Jean Sibelius: Valse triste, Op.44
【おまけ】
https://www.youtube.com/watch?v=ygsPrEv5Geo
このララ・ファビアンの「アダージョ」はとても後を引きますね。もし、繰り返し(連続再生)してまで
聴きたくなったら、上のURLをクリックしてYouTubeのタブを開いて、そのYouTube画面を「右クリック」
して、「LOOP再生」を選ぶとよいです。この技は、YouTubeのお気に入りをBGMとして使う方法です。
http://youtube.com/watch?v=ICaNC0LDZJE
どうです。もうこれで、アルビノーニのアダージョは「ハ~・ビバ・アメリカ」としか
聞こえなくなったのでは?
もう一つの ララ・ファビアンいかがですか?
Lara Fabian - Adagio (Video)