ファイナンシャル・プランナー

急速に変化しつつある金融経済に対応していくために、ファイナンスに関する専門的知識と実務の両面から、幅広い視野に立って問題を解決していくファイナンシャル・プランナーが求められています。この資格は金融業界での活躍には不可欠な資格であり、この資格を取得することによる具体的なメリットは、「金融機関への就職についての強力な武器となる」という点にあるといえます。また、生活に必要なお金の知識を身につけるという点でも、ファイナンシャル・プランナーの資格は日常生活にも大変役立つものです。

◆◆ファイナンシャル・プランナーとは何か◆◆

ファイナンシャル・プランナーは、生活設計のためのアドバイザーであり、個人のライフプランをお金に関して総合的にアドバイスする、いわば「家計のホームドクター」ともいえる身近な存在です。就職や結婚、出産、退職や老後など、人生の各場面において、資産運用、住宅・教育資金の調達、保険の見直しや年金、相続の問題など、お金に関する問題が発生します。ファイナンシャル・プランナーは、このような個々の将来のライフプランに応じたお金の設計について相談に応じ、顧客のより良い夢の実現に向けてアドバイスを行っていく仕事であり、その社会的なニーズは、近年ますます高まってきています。

◆◆ファイナンシャル・プランナー関連の試験制度について◆◆

ファイナンシャル・プランナーの資格には、厚生労働省による国家資格と、日本FP協会が認定する民間資格の2つがあります。皆さんは、まず国家資格の3級、次いで2級を目指しましょう。

国家資格

国家資格である「ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士」は、「複数指定試験機関方式」とよばれ、「金融財政事情研究会」と「日本FP 協会」の2 つの試験団体が試験を実施しています。どちらの実施する試験を受験しても、各級ともに学科試験と実技試験の2 つに合格する必要があります。どちらか一方のみの受験も可能で、その場合、一部合格による免除制度もありますが(有効期限あり)、最終的には両方の合格が必要です。学科と実技の両方に合格することにより同一の「国家資格」を取得できることになります。ただし、実施団体により、実技試験の選択科目が異なるため、実技試験の試験内容や合格率には多少の相違があります。3 級レベルの試験範囲も2 級と同様に広範囲であり、6 分野(①ライフプランニングと資金計画、②リスク管理(保険)、③金融資産運用、④タックスプランニング、⑤不動産、⑥相続・事業承継)があります。 

民間資格

学生の間、あるいは銀行系就職のためには、上述の国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士2 級までの取得で十分です。しかし、保険会社や証券会社等、一部の企業によってはさらに民間資格が推奨されることもあります。その場合は、その企業に就職してからでも十分間に合いますが、AFP といった日本FP 協会の民間資格も取得することになります。そのためには、2 級FP 技能士試験の合格とともに、日本FP 協会が認定するAFP認定研修、課題レポート(提案書)の提出などが求められます。2 級FP 技能士の受験には、通常、3 級FP 技能士資格等を保有していることが必

要とされていますが、このAFP 資格を目指す場合には、課題レポートの提出と認定研修の修了により、直接、2 級FP 技能士試験を受験することも可能です。

◆◆ファイナンシャル・プランナーとしての活躍の場◆◆

FPの活躍の場は、主に金融系企業であり、「企業系FP」とよばれています。このことからわかるように、FPは金融業界で必須の資格です。よって金融機関への就職の際には大変有利ですし、その他、住宅、不動産業界などでもその需要は大きいといえます。また、一般企業の場合にも、従業員の福利厚生や確定拠出型年金などに携わる仕事として、この資格の保有が必要とされることがあります。最近は、確定拠出型年金制度の拡充にともない、公務員の場合においても、こうした知識が求められてきています。また、今後、一層、進展していくと予想される金融にかかわる情報化経済においては、どのような業界においても、金融の知識が必要とされてくるでしょう。わが国の現状では、銀行等の金融機関や証券会社、保険会社、不動産会社などで企業系FP として活躍する場合が、一般的です。また少数ですが、金融に関するプロのアドバイザーとしてのコンサルタントなど、独立開業することも可能で、この場合を「独立系FP」といいます。

◆◆学習の目安◆◆

ファイナンシャル・プランナー関連の資格は、在学中に取得が可能です。FP 技能士2 級まで取得できると、申請により「経営学部奨励賞」の対象になります。

授業での学習

経営学部会計ファイナンス学科では、ファイナンスおよび会計関連の基礎科目や専門教育科目を通じて、体系的に基本的な理論を学ぶことができます。とくに「ファイナンス特講C」および「ファイナンス特講D」では、FP 技能士試験の受験を前提として、合格に必要とされる基本的な知識を全面的に学ぶことが可能です。「ファイナンス特講C」では、FP 技能士試験の3 級取得を視野に入れて、ファイナンシャル・プランニングに関わる基礎的な金融知識を身につけます。「ファイナンス特講D」では、これらの基礎的な内容をもとに、2 級取得に向けて、より実践的な内容を学びます。

なお、FP技能士3級または2級を既に取得済みの皆さんは、これらの科目について、履修登録を行なったうえで、担当教員へ事前に申し出ることによって単位取得が可能です(3級の場合は「ファイナンス特講C」、2級の場合は「ファイナンス特講D」)。また、各授業の履修中に取得できた場合についても担当教員に申し出ることで同様となります。その場合の成績評価等の詳細については、「ファイナンス特講C」および「ファイナンス特講D」の講義シラバスを参照してください。

◆◆課外講座での学習◆◆

経営学部では、「エクステンション課」(社会貢献センター)との共同催行により、提携業者への委託のもと、「FP 技能検定対策講座(3 級・2 級)」の開講を、例年予定しています。3 級対策講座は春学期、2 級対策講座は秋学期の開講予定です。とくに3 級の課外講座では、試験に必要とされる基本的な知識や理論の概要を、初めて学ぶ人にも理解しやすい講義計画で進めていきます。さらに、基本事項や重要ポイントの確認、問題演習等を通じて、独学や限られた講義科目の時間内のみでは試験対策が難しい合格に必要な知識、実力を身につけることができます。合格に向けて、ぜひ、課外講座を活用してみましょう。「ファイナンス特講C」および「ファイナンス特講D」といった授業とあわせて受講することによって、より理解度を高め、試験対策につなげることができるでしょう。※ 課外講座についての詳細は、エクステンション課および新学期のオリエンテーションで実施予定の資格ガイダンスを参考にしてください。なお、受講申込者数が最少催行人数に満たない場合には、開講されない場合がありますので注意してください。

◆◆学習シミュレーション◆◆

各自の目標を明確にして、多様な講義科目や課外講座を活用することにより、早い段階から履修計画を立てて学習していくことが必要です。

●● 関連HP 一般社団法人 金融財政事情研究会 ●●

http://www.kinzai.or.jp/ginou/fp/

●● 関連HP 特定非営利活動法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP 協会) ●●

http://www.jafp.or.jp