レポート
大学の講義では、さまざまなテーマについて調査を行い、考察を加え、その内容を文章にして表現することが求められます。レポート執筆はその代表的なものです。レポートを執筆することによって経営学の知識を深め、論理的な思考力を鍛え、豊かな文章表現力を身につけることができます。
経営学部では、レポートの作成、提出に関していくつかの重要なルールを設けています。これらに則って作成されていないレポートは提出しても受理されないか、低い評価しか得られない場合があります。レポートの内容が重要であることはいうまでもありませんが、提出期限や決められたルールをしっかりと守ることが前提となりますので、注意しましょう。
◆◆1. レポートの形式◆◆
(1)表紙
(2)目次
1行目に「目次」と記入し、2 行目以降に各章、各節の見出しとその開始ページを記入します。
見出し番号の付け方は、章 → 節 → 項の順です。なお、目次に記した番号や見出しは本文と同じものを記入します。
(3)レポートの印刷形式
用紙サイズ A4 縦(罫線なしの白紙を使用)
用紙方向 縦
余白 上下25mm 程度、左右20mm 程度
桁数 1 行に35 ~ 40 字程度
行数 1ページに30 行
本文の文字サイズ 10.5 ~ 12 ポイントの間
(4)提出方法
教員の指示に従い、ToyoNet-ACE や電子メールなどにより提出します。
◇電子メールの場合
・宛先のメールアドレスに間違いがないか細心の注意を払ってください。
・教員からメールの件名やファイルの形式、使用するワープロソフトなどについて指定された場合は、必ずそれに従ってください。
◆◆2. レポート執筆の注意点◆◆
(1)「はじめに」と「おわりに」を書く
◇「はじめに」
レポートで取り上げたテーマの意味や選定の理由を簡潔に書きます。講義やゼミで学んだ学説や理論との関係や、テーマの実際的な意義、調査・検証対象(企業・産業・社会現象など)、用いた資料などについて解説し、本論の部分で自分が何を明らかにしようとしているのかをわかりやすく記述します。
◇「おわりに」
自分の研究から得られた知見や最も主張したいことを説明し、残された課題や今後予定している研究テーマなどについて記述します。
~ポイント~
「はじめに」と「おわりに」は、それぞれ半ページ以上、1ページ未満くらいの長さを目安に執筆しましょう。
(2)レポートの文章形式
小説やエッセイと異なり、レポートには所定の文章形式があります。そのような文章形式に慣れるためには、研究論文を読むことが一番の近道です。『経営論集』に掲載されている論文などを読んでみると、そのような文章形式のイメージを理解できるでしょう。文章を執筆したら、相手に誤解を与えるような文章になっていないか、誤字や脱字がないか、「てにをは」が間違っていないか、何度も読み返してチェックしましょう。
~ポイント~
①主語と述語を対応させる。1 つの文で表す内容は1 つのトピックにする。
②内容のまとまりごとに段落を設け、段落の先頭行を1 字下げる。
③語調は「である」調に統一する。
⑤年は西暦に統一する。明治、大正、昭和、平成などの元号を使用する場合は( )内に西暦を記しておく。
⑥外国人名をカタカナで表記する場合は、初出箇所で( )内に原語を示す。例)フィリップ・スクラントン(Philip Scranton)
⑦略語・略名は初出箇所では( )内に正式名称を示すこと。ただし、一般的に使われているもの(EU、ASEAN など)は省いてよい。例)AI(Artificial Intelligence)
⑧アラビア数字(算用数字)は全角ではなく半角で記す。
(3)参考図書の活用
レポートを作成する際には、なるべく多くの参考図書を使用してください。講義のなかで教員から薦められた書籍や教科書の巻末に掲げられている文献などを参考にしましょう。
~ポイント~
文献は、インターネットでも簡単に見つけることができます。大学図書館のOPAC や近隣の図書館のホームページにアクセスして、蔵書を確認してみましょう。もし、膨大な数の文献の中から何を選んだらよいか分からない場合は、教員に遠慮せず質問してください。自分で参考文献を選ぶ場合には、学術書を最低でも1冊は利用するようにしましょう。
(4)引用の方法
参考文献の重要箇所をレポートで引用する際には、引用していることを本文中に明示しなければなりません。本文中の引用した箇所に「著者名(出版年, 引用元)」または「(著者名,出版年, 引用元)」のようにカッコ付き書式で書きます。引用元は、ページ数、章番号、図表番号などを書きます。間接引用の場合は引用元を省略できます。
◇直接引用
原文をそのまま利用する方法です。引用した範囲について「 」を付けます。直接引用する際は、原文に忠実である必要があります。勝手に書き換えてはいけません。
例)
・ 著者名(出版年,pp.xx-yy)は、「・・・・・」と述べている。
・「・・・・・(著者名,出版年,pp.xx-yy)」である。
◇間接引用
原文の内容を要約して利用する方法です。原文の意味を変えてはいけません。
例)
・著者名(出版年)は、○○○について……と指摘している。
・ ○○○の成り立ちについて、以下、著者名(出版年,ch.x)をもとに整理する。…
~ポイント~
①「出版年」は西暦で、「著者名」は著者の名字のみを表示する。
例)岡崎(1995)、Chandler(1977)
(岡崎,1995)、(Chandler,1977)
②著者が二人の場合には、日本語の文献については著者名の間を「・」で結び、欧文の文献については「and」または「&」で結ぶ。
例)佐藤・田中(2000)
Dixit and Pindyck(1996)
③著者が3人以上の場合には、初回の引用では全員の名字を表示し、2 回目以降は、日本語の場合は第1著者の名字の後に「ほか」と記述し、欧文の場合は第1著者の名字の後に「et al.」と記述し、その他の著者名は省略する。
例)初回:森・斎藤・川内(2005)、Bodie, Kane, and Marcus(2013)
二回目以降:森ほか(2005)、Bodie et al.(2013)
④同一人著者の同一年出版の複数の文献を引用する場合は、出版年の後に「a」「b」を付けて区別する。
例)岡崎(1995a)、岡崎(1995b)
◇孫引き
レポート作成にあたって参照した文献Aが、その文章中で文献Bを引用していたとき、レポートの中で文献Bをそのまま引用する行為を「孫引き」といいます。孫引きは原則として行ってはいけません。文献Aによって知った文献Bをレポートの中で引用したいときは、文献Bを入手し、その内容を自分で確認した上で、直接引用または間接引用しましょう。
(5)参考文献リスト
参考文献リストをみることで、どれだけ勉強し、どのレベルの知識のもとでレポートが作成されているのかを判断することができます。したがって、レポートの作成に必要な文献を過不足なく参照し、それらを参考文献リストに挙げる必要があります。参考文献の表記方法は厳格に決められています。参考文献の表記方法についてのルールを理解し、正しく表記しましょう。
本文で引用した文献は、文末の参考文献リストに記述しなければいけません。また、参考文献リストに記述した文献は、本文に引用箇所を明記しなければいけません。
参考文献リストの作成の一般的なルール
①参考文献リストは、文末に特別な章立てをして作成する。見出しは「参考文献」とし、章節の通し番号は設けない。
②欧文と和文の文献は別々にリストを作成する。その場合、欧文リストを先に、和文リストを後にする。欧文の文献は第1 著者名のアルファベット順、和文の文献は第1著者名の50 音順に並べる。
③著者名は全員フルネームで記述する。欧文の場合、ファミリーネーム以外は頭文字のみで略記する。
④欧文の場合、雑誌名あるいは本のタイトルを斜体にする。
⑤ 和文の場合、論文名は「 」で、雑誌名あるいは本のタイトルは『 』で囲む。
⑥1つの文献を1 行で掲載できない場合は、2行目以降の冒頭を全角2 文字分下げる。
⑦インターネットで得た文献・資料の場合、参照日を明記する。
(インターネット上の情報は事後に書き換えられる可能性があるため、自分が参照した日を明記しなければなりません。)
参考文献の具体的な表記方法
①論文の場合
著者名 (出版年).「 論文名」『雑誌名』巻, 号, はじめのページ-おわりのページ. の順に記す。和文論文の論文名は「」に、雑誌名は『』に入れる。英文論文は、論文名の最後にピリオド(.)を打ち、雑誌名をイタリックとする。巻号の情報は「Vol.1, No.2」または「1(2)」のように表記する。
例)塩谷剛 (2013).「薄型テレビ市場におけるオーバーシュートの実証分析」『経営行動科学』26(3), 189-200.
Jermakowicz, E. K., Reinstein, A., & Churyk, N. T. (2014). IFRS framework-based case study: DaimlerChrysler–Adopting IFRS accounting policies. Journal of Accounting Education, 32(3),288-304.
②洋書、邦訳書の場合
著者名 (出版年). 書名. 所在地: 出版者. の順に記述する。著者名はファミリーネーム, ファーストネームの頭文字(, ミドルネームの頭文字)の順に記す。編著の場合には、著者名の後に「eds.」と記す。書名はイタリック(斜体文字)とする。著名な出版者の場合は、所在地を省略してもよい。邦訳を引用した場合には、書名の後に( )で邦訳名を記す。
例)Winer, R. S., & Neslin, S. A.(2014). The History of Marketing Science. Singapore: World Scientific Publishing Co. Pte. Ltd.
Chandler, A. D. Jr. (1962). Strategy and Structure. Cambridge, MA: MIT Press. (有賀裕子訳 [2004].『組織は戦略に従う』ダイヤモンド社)
③和書の場合
著者名(出版年).『書名』出版者. の順に記す。編著の場合には、著者名の後に「編著」と記す。政府機関、業界団体、学会などが著者の場合には、その名称を著者名に記す。
例)富田純一・糸久正人(2015). 『コア・テキスト生産管理』新世社.
例)今田高俊編著(2000).『 社会学研究法 リアリティの捉え方』有斐閣アルマ.
例)組織学会編著(2013). 『組織論レビューⅠ』白桃書房.
④新聞記事の場合
記事執筆者名 (記載がなければ新聞名). 「記事名」『新聞名』発行日, 朝夕刊の別, ページ. の順に、参考文献ではなく文末脚注に記す。
例)日本経済新聞(2015).「パソコン3 社事業統合 東芝・富士通・VAIO交渉へ」『日本経済新聞』2015 年12 月4 日, 朝刊, 1.
⑤インターネットで得た文献・資料の場合
著者名 (発行年).「文献名」URL (参照日). の順に記す。
例)経済産業省(2015).「平成26 年度商業統計確報」
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syougyo/result-2/h26/index-kakuho.html (2015 年12 月28 日参照).
(6)脚注
本文の内容を補足したり解説したりする場合は、脚注を使用します。脚注は、本文中の記述、データ、グラフなどの出所を示すためには使用しません。脚注番号は「(1)、(2)、(3)、…」のようなカッコ付きの通し番号とします。